野原望海の野望
脳科学の世紀の大発見によって、今までフィクションでしかなかったフルダイブのVRゲームが作られるようになった昨今、多くのゲームはディスプレイとコントローラーを使用するものからフルダイブVRギア【DIVE】を使用するものに変わっていった。
フルダイブゲームの台頭によりeスポーツ人気は大爆発。多くのプロゲーマーが誕生していった。
「エンジョイしながらガチのプロゲーマーに勝ちたい」
それが野原望海の夢であり、野望であった。
彼女が小学五年生だったときのこと。ゲーム会社主催のとある大会で日本でもトップレベルに近いプロゲーマーが一勝もできずに負けたという出来事があった。しかもその対戦相手プレイヤーはエンジョイ勢の普通の社会人であったのだ。
舐めプという意見もあったが、アマチュアも参加できる大会ではあったが一応公式の大会であったためキャリアに傷がつくようなことはしないだろうという意見もあり、アンチとファンと一般ゲーマーが意見をぶつけ合う、お祭り状態になっていた。
当時この大会のライブを視聴していた望海は思った。
今までプロゲーマーは雲の上の存在であると思っていた。しかしエンジョイ勢でも頑張ればプロには勝てるということが証明されたのだ。ならば自分でも頑張ればワンチャン勝てるのではないかと。
そこから彼女はその野望を叶えるために多くのものを捨てることにしたのだった。