表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カノトキ巣食うは超進化恐竜  作者: ズーマ
第1章『血塗れの丸鋸』 第1編『芽生える殺意』
3/14

第2話「制限と代償」

2話から見る猛者はいるでしょうか?念の為。

〜前回のあらすじ〜

前回(第1話)を見れば分かる!!!!


あ……すみません、また説明回です。でも今後の展開には必要なんです。次、次は冒険と戦闘ですから……。

ではどうぞ。



追記:2024/9/19 改稿

碧月流羽へきづきりゅうは。君は日本人と名乗ったな。日本ってのはどこの地名だ?」

 ラズ御一行に連れられて、俺は今骨折登山をしている。なぜ登山をする必要があるのか。肩を貸してくれているラズ曰く、

「防衛に適した土地じゃないと危険だろ。平和ボケしてるのか?」

 だそうだ。お前からしたらしてるんだろうな。防衛に徹するために標高が高い場所に拠点を構えたらしいが、俺にとっては苦行でしかない。脚が使えなくなるのは体感1日で2回目、数にして3本目だ。

「地球の極東の島国」

 実にありふれたつまらない答えだ。

「地球……ねぇ……」

 やはり半信半疑らしい。俺の出身地が異世界だってことは伝えたには伝えた。理解こそされなかったものの、少なくとも口では嘘だとは決めつけられなかった。

 話してみると分かるが、冷淡凶暴に思えたラズは意外にも会話のキャッチボールができる人間だ。質問にも棘がある言い方で答えてくれる。文化の違いでどうしても齟齬があるけど。

 他の2人に関してだが、ジューンはラズやクランより感覚が常識的なので会話が円滑に進む。クランは落ち着いていて優しいし気遣ってくれる。2人ともあまり口数が多いタイプではないのでラズとしかまともにキャッチボールが通用しない悲しい現実がここに。

 第一印象は良くはなかったものの、決して悪くはないヤツらだ。

「その……地球っていうのは、やっぱりカノトキと違うものなのかしら?」

「……あぁ。地球じゃ超進化恐竜に近い動物はとっくの昔に絶滅したし、一部の人類が平和ボケできるぐらいには繁栄している。世界を支配していると言っても良いし、同じ人類が天敵とも解釈できる。特に出身地の日本は平和な方だし、あと技術がスゴい。これに近いの作れるくらいには」

 そう言ってスマホ亜種を見せた。正式名称はゼフォンというらしい。ついついスマホと言ってしまうけれども。

「スゴ……何その世界……」

「まぁ互いに奇妙に思うだろうな……。俺からしたらカノトキは超危険な世界だし、君らからしたら地球は高度な世界だろうし……」

「カノトキが超危険、っていう認識は私達も持ってるよー。だからこそ生き残るために訓練したしねー……」

「人口はどれくらいなんだ?」

「……概算で400人だな」

 少ないなぁ……地球で一番人口の少ないバチカン市国でさえ800人ぐらいだろ?

「……それは世界全体で?」

「私達の行ける範囲で」

「……と言いますと?」

「世界中どこまで探しまわっても、超進化恐竜のいない土地は無い、ってのが通説だ。探しに行っても道中で殺されるのがオチだから、移動は難しいんだ。だから周辺の集落が固まって1つの集落に統一された」

「1つの場所に集まったんじゃなくて自然を開拓してできた集落だからそりゃもう広いよー。しかもつい数ヶ月前にねー……」

「ジューン、その話は一旦終了だ」

 ラズがジューンを制止した。

「あ……ラズ、ごめんね?」

「別に怒ってはいないさ。ただ今はそれについて触れるべきではない。君も気になるだろうが、触れないでくれるか? 落ち着いたら説明する」

「ういっす。ところであとどれくらいだ?」

 陽が沈んでゼフォンのライトで照らして歩いている。曰く彼女らが持ってきたランプの燃料は、ある種の生物からしか取れない貴重な資源らしい。鯨油みたいな感じか。

「あと……10分ぐらいだと思うわ。着いたら治療してもらえるはずよ」

「……その間に特殊能力について聞いても?」

「ちょっと待った。まだ自覚が無いのか?」

「持っているのは確定なんだが……生憎、どんな能力かは認知していない」

「はぁ~っ……」

 溜息をかれても。

「……特殊能力。約20人に1人の割合で手に入る、先天的な能力。大抵幼少期に認知するからあとは努力と工夫次第。ただし超進化恐竜とカノトキ人の特殊能力では異なる点がいくつかある」

「ほう」

 じゃあ後天的に手に入れた俺はやはり例外と。

「1つ目。超進化恐竜は種族に与えられるが、カノトキ人には個人に与えられる。サーモノプスはどの個体でも濁流昇泳ブラインドストリームを持っているし、それはサーモノプスに限らない。例外ありとの報告もあるが、何せ古いし、その報告の真偽は不明。そんな超進化恐竜に対してカノトキ人の能力者は1人1人異なる特殊能力を持っている。同じ特殊能力を持って生まれたことは歴史文献に確認されていない。2つ目。カノトキ人の特殊能力には例外無く、次の3種類のうちいずれかの弱点が存在する。制限性弱点と代償性弱点、それら2つの特徴がある双方性弱点だ。カノトキ人が超進化恐竜に蹂躙される最大の理由がそれだ。弱点が有るのか無いのかでは大きな差がある」

「……要約すると、俺の特殊能力には絶対に何かしらの弱点があると」

「君がカノトキ人に分類されるかは知らないがな」

 分類て。

「ラズの特殊能力は出血で、ジューンはツタを操れる。違う?」

「違う」

 即答かよ、マジか。

「私の特殊能力は[ 圧加パスカル ]だ。物理的、または精神的に圧力をかけることができる。さっき君が見たのは血圧の強制変化」

「精神的にも?」

「あぁ」

 そう言うと彼女は俺の目をじっと見て……

「へ……」

 身体が激しく震える。寒さからではない。恐怖だ。蛇に睨まれた蛙。こんな恐怖はアイツ以来だ。

「今のが威圧だ。感想は?」

「もう二度としないでくださいお願いします」

「よろしい」

 なるほど。怖さは身に染みて解った。バグってる……。

「ただしさっき言った通り、弱点がある。変化させた圧力に応じて、自身にストレスがかかる」

「それが代償性弱点?」

「そうだ。だから乱用は危険なんだ」

 なるほど。

「……あ」

「どうした?」

「特殊能力を調べる方法に気が付いた」

「……認知に10年のラグがあるぞ」

「18年だ」

 簡単な話だ、自分自身をスキャンすれば良い。どうして気が付かなかったのか。


変幻自在へんげんじざい

……制限性弱点。身体を構成する要素(骨、臓器、筋肉、脂肪、色素、皮膚、体毛、歯、爪など)を人間の姿を著しく逸脱しない限りで自在に操れる。

 他者の身体と神経は操れず、また1度自身から離れた要素を再び操ることはできない。変化させた組織に付随した神経が意思と関係無く構成される。感覚や運動能力の強化もできない。


「おぉ~っ、便利な能力じゃーん。私の[ 刺薔薇シバラ ]よりも汎用性あるんじゃないかな?」

「刺薔薇?」

「そう、刺薔薇。触れている刺薔薇の種子から自在にツルを伸ばせるの。刺薔薇属なら何でも操れるけれど、自然の刺薔薇は操れないし、ある程度の光と水と空気が要るの。だから陽が沈んだ今は無力だよー」

 ……いや、刺薔薇って何だよ。そういう植物があるのだろうか。でもそう言えばツタと言うより某テーマパークにあるアトラクションの薔薇のツルみたいだったかも。

「クランは特殊能力持っているのか?」

 彼女だけサーモノプス戦で確認していない。

「え? 持ってるわよ? ……あぁそうか、認識しにくいのね」

「と言いますと?」

「私の特殊能力は[ 接続部品アタッチメント ]っていうの。10種類の接続部品を生み出すことができて構築完了まで5秒かかるの。構築完了まで使えないし、併用はできないけどね」

「アタッチメントって……例えば?」

「暗視だったりスコープだったり……。あくまで狙撃の補佐になるものが多いの」

 特殊能力でスコープした上で更にスコープを覗き、しかもそのスナイパーライフルは特殊武器? クランだけに限った話じゃないが、絶対に敵に回しちゃダメなタイプだ。

「……カノトキ人は戦いの訓練がされるものなのか?」

 当たり前、無論、平和ボケ。そんな返答がまたされると思いきや、

「いや、それは自分の意思で決める。特殊能力を持っているからと言って、前線に赴く必要は無い。そんな者達も何人かいる。優秀なバックサポーター達だ」

「俺も戦える……かな?」

「戦意のある者を拒みはしないさ。人手不足なのも事実だが……」

「にはまず外硬殻斬れる様にならないとねー……」

「やっぱり見てたのか? 俺の戦闘」

「あぁ。言ったはずだが……ああ、通じてなかったな。運動能力が良いのはすぐに分かった。が、詰めが甘くて超進化恐竜をナメてる。外硬殻を斬れないのは論外だ。厳しい言い方をするが……威勢と運動能力だけで勝てると思うなよ。まずはその折れた脚を……」

「……俺の脚、能力で治せるんじゃ?」

 折れても斬れてもいない脚。想像イメージを膨らませる。

「……良しっ」

 ほとんど元の状態に戻った。初めてなので微妙な誤差はあるだろうが、回数制限は無い。後々修正できるだろう。何にせよ、ラズの手助けは要らなくなった。

「ありがとな、ラズ」

「どういたしまして。治して早々言うが、もう到着だ。ようこそ、私達の集落へ」

 てっきり山頂にあると思っていたが、中腹に構えられていた。暗くてはっきりとは見えないが、曰く高い石壁で囲われているらしい。燃料を燃やす火が照明の様だ。文明はあれど、やはり地球ほど科学技術は発達していないらしい。にしては高度な武器がある様だが。

 真っ暗な夜間に出歩く者はいない。ラズに連れられて集落の大通りを歩く。

「話は明日にする。さて、今夜はどこで寝る?」

「……空いてる個室あるか?」

 マンションクラスの集合住宅が何軒か建っている。あまり男がいるとバレるのはマズいらしいので、ラズとしてはしばらく存在を隠しておきたいらしい。

「あるけど整頓はされてないぞ」

「ガチか……。ひとまず内覧して良いか?」

「良いけどバレるなよ」


「隣が私の部屋だ。何かあったらノックしてくれ。もう一度言うが、許可無く外に出るなよ」

 3階の角部屋に案内された。

「分かってるって。今日は何から何までいろいろと有難うな、おやすみ」

「おやすみ。また明日」

 俺のものとなった部屋のドアを開けた。日本の建築様式に近く、2DKだ。バルコニーもある。トイレはあるが風呂は無い。

 整頓されていないとは言われたものの、物は丁寧に仕舞ってある。恐らく男の部屋だったのだろう、タンスに仕舞っている服が男物だ。

(男がいた、ってことなのか……?)

 公衆風呂に行くことすら許されていないので今夜は大人しく汗だくで寝ることを強いられた。フカフカのベッドに転がって、今後の方針を決めることにした。

 残念ながらベッドの下にも机の上にもエロ本は無かった。カノトキに出版社があるとは思えないが。

「結局、戦闘技術は学ないとダメかぁ……」

 対人格闘ならそう難しくはない。だが相手が未知の生物となると話は違う。外硬殻を斬るのは訓練でどうにかなりそうな言い方はしていたけれども。

 想像よりアイツに勝つのは容易ではないのかもしれない。

 それから何回か特殊能力のテストを兼ねて、不完全な治癒をしていた左脚を完全に治した。繰り返して分かったが、回数制限や代償は無いらしい。使いたい放題の便利な能力だ。

「ふわぁ~っ……。流石に寝るかぁ……」

 今日は身体を酷使した。傷は全て治ったが精神的な傷痕は残る。眠りにつくまで、そう長くはかから……


「お~いっ、朝だぞ。起きろ~っ!」

めろぉぉぉ……。俺は眠いんだぁぁぁ……」

 カノトキで1番聞きなれた声の主の隣人が、俺を起こしにきた。出ないで放置していたら合鍵で入ってきやがった。学校が始まるワケでもないのに。本来あと4日なのに。青春ラブコメで起こしに来る幼馴染か。

 ……正直言うとラズの顔は整っているが、表情と感情が冷たいのでそういう気ははなから起きない。そういう趣味も無いし、ついでに言うと胸板が薄い。

「まだ寝てるのか……早く起きろ。遅くなったら私が文句言われる」

「……誰に?」

「集落の治安維持に務める組織があるんだ。そのほとんどのメンバーが特殊能力を持った戦闘員。それの定例会が今日の夕方に行われるんだよ。毎回夕方に行われるとも限らないし、早起きするのに不都合は無い。そもそも君の言う早起きは世間的には普通の時間だ。寧ろ遅い。とにかく、訓練の一環と思って早く起きろ」

「それって俺行かないといけないヤツ~?」

「君、戦闘員志望の能力者だろ……」

「そりゃそうだけどさぁ……」

【ギュルル……ッ】

「悪い、トイレ貸してくれ」

「おう……」

 隣にお前の部屋あるじゃん。急なら拒まないけれども。そっちの趣味も無いし。

「さ、先に行っててくれ。きっとあの2人のどちらかが来る。言っとくけど、男がいるとバレたら面倒だからな、君も。まぁ何とかしてくれ。うぅっ……」

「……大丈夫か?」

「特殊能力の代償の副作用だから気にするな。割と日常茶飯事だ。だから気にせず……」

 言い切る前にラズはトイレに駆け込んだ。確かストレスだったか。代償性弱点ってのは大変だな。

 いつまでも扉の前に居座っても需要無いし、行く準備を……

「何とかって言われてもさぁ……」


「中々に良いんじゃねぇか? いや、良いんじゃないかな?」

 姿見を見て確信した。これなら大丈夫だ。ちなみに20分は経過したが未だにラズは腹痛と格闘しているらしい。

「先に行ってるね~」

「……?」

 サイズの合わない服を着て、堂々と部屋から出ていく。行こうとしたが、ドアを開けたすぐそこでジューンが仁王立ちして待っていたワケだが。散々待たされて膨れっ面だったが、俺の姿を見るなり表情が一変した。

「ええと……。どちら様?」

「碧月流羽」

「え!? ウソでしょ!?」

「まぁ正しくは、碧月流羽、女体化Ver.だけどね」

「そんなことできたの!? てかホントに!?」

「意味の無い嘘を吐く心当たりが? それに元の姿に戻れるし」

 そう。変幻自在で肉体構造を変化させた。今の俺は元の俺の面影は全く無い、美少女の姿だ。男物の服に違和感を覚えない程度の。完全に元に戻る技術も手に入れた。

「声まで女性じゃん……」

「声帯も変えたからね。さ、行こっ」

 2人で喰堂に向かう。が、相変わらずジューンは信じられないといった目でまじまじとこちらを見てくる。すれ違う人は皆一瞬見て二度見するだけなのに。連れがキョドってどうする。

 喰堂はこことは違う建物にあるので、少し時間がかかる。昨日10kgになったサーモノプスの肉塊を冷凍室にぶち込みに訪れた。今朝は焼き鮭だろう。

「……性格も変わってて怖い……。それも特殊能力?」

「違うよ? でも元のままだと怖いじゃん?」

「確かに私達以外からしたらそこまで違和感無いと思うけどさー……。せいぜい新しい人がいるってくらいで。……少なくともクランは絶対に驚くよ?」

「そうだろうね。ラズにも見せてないし」

「それでラズはー? 部屋をノックしても反応無かったけど」

「私の部屋のトイレで格闘中」

「あぁなるほどー……」

 本当に日常茶飯事らしい。

「ねぇ、流羽君。……いや、ちゃん?」

「好きに呼んで良いよ」

「なら流羽さん、で。流羽さんはさー、ラズの代償についてどう思う?」

「……基準が無いからどうとも言えないけれど、どう思わせたいの?」

「代償性弱点の孕んでいる危険性を分かってほしいの。私達制限性弱点とはワケが違う、人生や人命にすら危険を及ぼすものなの。実際に死んだ人は見たことないけど」

 あぁ、結構真面目な話だ。表情は第一印象通り緩いけれど、声が真剣だ。

「ストレスが溜まる代償を、軽く思うはずがない。真面目な話はそれだけか?」

「……流羽さん、今身体の中はどうなっているの? 中途半端に変える人だとは思っていないの」

「……可能な限り、いや、ほぼ完璧に女性に近付けてる。昔教科書に載ってたから覚えてる。中途半端な変化はまだ俺には厳しい」

「正直に言うとね……。女体化はめた方が良いよ」

 ジューンが初めて見せた真剣な表情でそう言われたら、動揺せざるを得ない。

「……いちいち理由を聞くのも野暮か……」

「そう捉えてもらって良いよ。ラズの圧加の最大の代償は、ストレスがかかることじゃない。そこから生まれる二次災害の方が大変なの」

「あぁ、成程。完全に察した」

「彼女は私達や君が思うよりずっと苦しみを感じて生きてる。好戦的な性格も相まって、戦うたびに身体を壊してる」

「日常的な腹痛よりずっと重い代償……」

「そう。だから流羽君も分かって。日常的に女体化することは相応のリスクを負うことにもなるの」

「分かった。ただ……今だけは許してくれ。周囲に理解してもらえるまで」

「うん、分かった。約束だからね」

「あぁ」

「それともう1つだけ。これだけは絶対にしちゃダメってこと。それをすれば、私は君を殺しかねない」

「何?」

「ここでは誰も襲わないで。やるにしても、許可をとって」

「何と言われなくても、初めからその気は無い。日本じゃ裁かれる」

「なら良いよ。さ、お腹減ったでしょ? 朝ご飯にしよう」

 ……何だったんだ。まるで何か起こったみたいに。


「え、何? 葬式?」

 遅れてやってきてお盆を抱えたラズがこちらを見て言った。お盆に乗っているのは皆仲良く焼き鮭定食。それに勿論、誰も死んでない。が、さっきまでのシリアスな話の後に会話を弾ませるのは無理がある。下手に刺激しない様に俺は空気を読んで黙々とサーモノプスは喰っている。正面のジューンと、後から合流したクランも同じく。互いに空気を読んで地獄を構成している。クランは俺だとは気付いていなさそうだが、既に凍り付いた雰囲気で朝喰なのだからなんとも不憫である。俺が言える立場じゃないが。

 ちなみにサーモノプスは塩のかかっていない焼き鮭の味がする。海まで行くのも危険なので塩は貴重な資源らしく、黒胡椒の実を砕いてかけて喰べてる。あと謎の植物のサラダでだけで、地球の野菜とは違う。それに米もパンもケーキすらも無い。

「え、何でこんなにシリアスなの」

 君の話をしたからですが? 皆スルーしているが、ラズが平静を隠せていない。珍しくないのだろうか。俺にとっちゃキャラ崩壊なんだが。

「え、誰も何も言わないの……?」

 言えない。まるで話したら殺される様な雰囲気。お前よく喋れるな。

「……私死んだ? ……聞こえてるー?」

 俺の前で手を振って意識の確認をする。俺は黙って頷いた。安心しろ、まだ生きてるから。……と言うか仮にも今は見ず知らずの女の子なんだが。

 はぁ。いつまで続ける気だよ……。

「……君、結構ラフに話せるのな」

『!?』

 ラズとクランが同時に俺を見た。結構、いや、かなり驚愕している。

「……俺は碧月流羽。の女体化Ver.」

「……え?」

「コホンッ……き、君。何とかしろってそういう意味で言ったんじゃないんだが?」

「今更元の話し方されても……」

「っ……」

 顔を赤らめて恥ずかしがってる。もしかして強がってただけで意外と普通の女子だったりする?

「苦手なのよ……。男性と話すの……」

 どうやらこっちが素らしい。

「素の方が話しやすいと思うけど」

「ちょっ……めて……」

「オケ、分かった」

「えっ?」

「どしたん?」

「そんなあっさりめるの?」

「嫌なんだろ?」

「あ、うん……」

「だったら素で話せるまでに関係深めれば良いんだろ?」

 返答無し、か。よく分かんねぇ奴だ。さっきからクランとジューンはヒソヒソ話してるし。どうした。

「君……結構良い人だね」

「そうか?」


 これを皮切りに、俺達は焼き鮭が冷えるまで談笑した。……俺はまだ、この4人で楽しむ余裕ができたばかりだった。



 ……だがこの世界は甘くない。理由は単純、超進化恐竜が巣食うからだ。

 ……運命ラプラスってのは、ひどく残酷だ。

どうも。現在9/11の22時前。前回からは意外に早く書けました……が、内容は物凄ーく薄いものとなりました。正直つまらないですが前書きにも書きました通り 今後には必要なので……。


さて、最後にモヤモヤが残ることでしょう。まぁ流石にここまでやると意外性は無いかもですが……。

この第2話ですが、当初は次、もしくはその次の話まで含む予定でした……が、頭に浮かんだモノを整理せずに無駄にいらん文章書きまくるのですぐにノルマの6000字に到達してしまいました。次話からは10000字に増やします。

さて、今回のメインは「特殊能力」ということで、漸く初期組の能力が判明しました。便利なのか不便なのか。まぁ俺つえーには断固としてしませんが。単に反骨精神ですよ。

あと、ジューンが説教しますが、本来ならこの役割はクランでした。何故変わったのか。端的に言えば、ジューンの方が動かしやすいからです。グイグイ行ってくれるので。キャラはブレブレですが、次回からはちゃんと皆に動いてもらいます。直接的な表現は避けましたが、後半はアダルトな内容でしたし。

それにしても流羽の心理描写の尺の占め方がエグいエグい。筆者の性格に似せたせいで、脳に思ったことを文章に書きすぎるんだな〜これが。ちょっとは自重しろ。絶対サーモノプスの食レポあんないらんやろ。

ま、カノトキの集落の過去は次回明かす予定で、その後が大規模イベントの予定なので、いつも通り期待せずに楽しみにしてください。その後のプランは未定ですが。


ではその次回で。


あれ? 今回「バグってる」ノルマ達成してなくね?

(追記:改稿で達成させときましたー)

ズーマ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ