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妹に全てを譲ってきましたが王太子様に見初められ幸せになりました

作者: ®︎amu

初めて投稿します。誤字脱字あったらすみません...

「お姉様ずるいわ!そのドレス、私の方が似合うはずよ。私にちょうだい!」


「でももう私のドレスこれしかなくて...」


「ひどい!うわーん。お母様、お姉様が虐めるわーっ」


一つ下の妹、セレーナはそう言いながらお母様の所へ行きしがみつく。


「セシル!また貴女はセレーナの事を虐めて!どうして妹に優しく出来ないの?ドレスくらいあげなさい」


「でもこれをあげてしまうと今日の夜会に来ていくドレスが...」


「まぁ!セレーナのいらなくなった物を着れば良いでしょう?どうせ貴女は何を着てもパッとしないんだから。今日も王家主催じゃなければ行かなくても良いくらいよ。しかも今日は王太子様の婚約者を探す会だと聞いているわ。きっとセレーナが見初められるわ。絶対にセレーナの邪魔をしないで。」


「はい...お母様。」


いつも父と母はセレーナの味方だった。

セレーナは社交界で最も美しい夫婦と言われる父と母そっくりのサラサラの美しい金髪に美しい顔立ち。

それに比べてセシルはどちらにも似ていない、ゆるいウェーブのかかったくすんだ金髪に平凡な顔立ちだったため、父と母は私の容姿が気に入らず幼い頃から比べられていた。そして成長するにつれ、欲しいものは何でも与えられ甘やかされたセレーナがセシルの物も欲しがるようになりその度に奪われていった。

セシルの着るもの身につけるものはセレーナが着なくなった古くなったり流行遅れになったものになった。


今着ていた最後のドレスも父1人で行った夜会で酔っている時にショップをやっている貴族に勧められセレーナとセシル2人に色違いで買った物だった。(いつもはセレーナの物しか買わない。)


ちなみにセレーナがもらった方のドレスは引っ掛けて破ってしまったらしい。


「やっぱりこうなるのね...」



セシルは古いドレスに着替え馬車に乗り込んだ。

しばらくして、私のドレスを着たセレーナと両親がやってきた。

「お姉様お待たせ!どう?やっぱり私の方が似合うでしょ?」


「えぇ似合うわ。」


「でしょう?お姉様、またそのドレスを着てるの?新しいのを作れば良いのに。」


「セレーナ、セシルは良いのよ。美しい貴女のドレスを作った方が作る方も嬉しいはずよ。貴女に着てもらえるのだから」


「そうだぞ。セレーナは何を着ても似合うからなぁ」


父と母は笑いながらセシルの事を見る事もなくセレーナに言った。セレーナも「それもそうね。」とセシルを見るのをやめた。

馬車が発車してからもセシルを除く3人は楽しそうに話をしていた。

しばらくし馬車が付き入場すると3人はセシルをおき挨拶回りに行ってしまった。


「みて、セシル様よ。また同じドレスを着ていらっしゃるわ。」


「本当だわ。でもあのセレーナ様達と並ぶと何を着ても同じだからじゃないかしら。」


「確かにそうよね。」


くすくすと笑い声が聞こえる。

これもいつもの事だった。だが居心地が悪いのには変わりない。そっとその場を離れ庭へ出た。



「ひっ」

庭に出てしばらく歩くと男の人が倒れていた。

不審者かと思ったがよく見るとどこかで見た事がある顔。だが誰だったか思い出せない。


「あの、大丈夫ですか?」

「ん?あぁ、すまない。寝不足で少し気を失っていたみたいだ。くそ。仕事多すぎだろ。」


「えっと...」


「ああ、こっちの話だ。所で君は?今は夜会の真っ最中だろう?何故こんなところに?」


「申し訳ございません。わたくし、ランファ伯爵家の娘、セシルでございます。ちょっと外の空気を吸いに来たのですが...えっと...」


誰だか思いだせず言葉に詰まる。


「あぁ、俺が誰かわからないのか。まぁこんな所に寝てるようじゃ仕方ないか。俺はオスカーだ。王太子という名の王の雑用係だよ。全く。

それより、君はランファ家の変わり者と呼ばれているが服装は確かに古めかしいが綺麗に整えてはいるし話してみると普通だな。まぁそうかあのランファ家だもんな。」


「も、申し訳ございません。オスカー様。どうぞご無礼をお許しください。」


「あぁ、いい、いい。そんなの。

それより決めた。よし、一緒に中へ戻ろう。」


そう言って笑顔で手を差し出された。

あのランファ家とは何か。手を取ったら色々とややこしいのではと考えるが王太子の手を拒否することは出来ない。

セシルはまた帰ったら怒られるなと思いながら恐る恐る手を取った。オスカーの笑みがさらに深まり、手を引かれるまま会場へ戻る。

すぐにみなが気づきコソコソと噂をする声が聞こえた。


「お姉様?!どういう事ですか?ずるい!ずるいわ!変わってください!」


「セレーナ...」


「お前は何だ。急に。」


オスカーの顔から笑みが消え冷たい声が聞こえた。だがセレーナは構わず続ける。


「オスカー様!お姉様みたいなつまらない者は置いておいて私とお話しませんか?オスカー様には私みたいな美しい者が合うと思います!」


自信溢れる笑みでオスカーの服を掴むセレーナ。不敬だがセレーナなら許されるのかと思わず下を向くセシル。だがオスカーはすぐ振り払いチラリともう一度顔を見ただけですぐに目を逸らした。


「誰かこの不敬なものをつれていけ。

そしてここで発表する。私の婚約者はセシルに決めた。以後セシルを馬鹿にするものは許さん。心得ておけ。」


「そんなっお父様!お母様!何とか言ってください。お姉様が婚約者だなんてずるいわっ」


騒ぎを聞きつけて慌ててやってくる両親。


「そ、そうです!何もこんな娘を選ばなくても。セレーナの方が美しく、そして良い子です。」


「その通りですわ。お考え直しを。」


オスカーはため息をつき言う。


「くだらない。おい、この2人も連れて行け。話は後から聞くとしよう。だが、婚約者は変える気はないがね。

セシル。そう言う事だがいいね?」


「は、はい...」


セシルは何が何だか分からないまま頷く。

オスカーは満足そうに笑いセシルを連れ会場を後にした。




それからこの夜会でのことはあっという間に広がりあっという間に正式に婚約者となった。

両親とセレーナは不敬罪で裁かれたが反省しておらず両親は引退させられ田舎に行く事となり、セレーナは修道院に入れられる事となった。もともと容姿だけで全てを判断する両親は王家で問題視されていたようだ。

そして両親が引退した事で一時的にセシルが伯爵位を持つ事となったが王太子の婚約者となった為、子どもが産まれたらそのうちの誰かに引き継ぐ事に決まった。



それからまた月日は流れ、セシルがオスカーに少しずつ惹かれていったり、多忙なオスカーの仕事をセシルが手伝うと意外な能力が発揮したり、隣国の姫がオスカーを狙ってやってきたり、セレーナが隣国の皇太子に見初められたりと色々あったが2人は手を取り合い乗り切って無事結婚した。

セシルは自信をもち美しい花嫁となった。


セシルは笑顔で言う。




「妹に全てを譲ってきましたが、王太子様に見初められ幸せになりました。」






拙い文章を読んでくださりありがとうございました(´;Д;`)


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