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第1話 虐げられた日々と出会い

和風シンデレラストーリーです。

 私がどんな悪さをしたのでしょうか。

 神様、どうか教えてください──




「お前なんて妾の子でいらないんだよ!」


 私の実の母ではない方からの暴言を受ける日々、そして毎日わずかな具のない味噌汁だけが牢屋のである納屋に持ってこられます。

 そんなわずかな味噌汁でさえ、お母様に足で蹴られてこぼされて巻き散らかされてしまう。

 生きるためにはそんな泥水のような味噌汁でさえもすすって飲まなければ生きられない。

 私が床を這いつくばってすする様子をお母様は嘲笑って、そして醜いものを見る目で見つめました。


 そんな日々が続いていたある日に、納屋にある人が入ってきたのです。


「立てますか?」


 私が倒れるように寝ているとそっと声をかけてくれる優しい人。

 だめ……私はもうこのまま動けなくて死んでしまうんです。

 そう言いたいけどもう私は声が出ないほどに憔悴しきっていて、髪も着物も荒れ放題の中その人は頭を撫でて抱きかかえてくれました。


 なんて人のぬくもりは心地いいんでしょうか。

 天国にきてしまったのかと思い、もう目を閉じそうになります。


 私は元々妾の子だからとお父様からもお母様からも疎まれて過ごしてきました。

 私を産んでくれたお母様譲りの亜麻の髪と目は、『災厄のもと』だと言って蔑まれました。

 それでも私はお母様から言われた言葉があったのです。


「この髪と目の色はね、幸せを呼ぶ色なのよ。だからいつか必ず撫子なでしこを迎えに来てくれるひとがいるから」


 その言葉をふと思い出して私の頬を涙が流れる。


「どうしてあなた様は私のことを見つけてくださったのですか?」

「気づきませんか? あなたは昔私を助けてくれたのです。だからあなたを助けに戻ってまいりました」


 私はこんな麗しい方に出会ったことは一度もありません。

 それなのにどうしてでしょうか、この懐かしい感じは。


 そうして戸惑いの顔を浮かべている私に、彼はこう言いました。


「撫子、私のお嫁さんになってくれますか?」


 納屋から助け出されて、寒く雪が降るその日に私は彼の妻となりました──

読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや評価などいただけますと幸いです。


それでは、和風令嬢ものをお楽しみください!


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