ゆいこのトライアングルレッスンJ 〜たくみのJ〜
『小説家になろうラジオ』より
子供の頃、ひろしとたくみというイケメン二人が塾に迎えに来てくれるという妄想をしていた巽さんに、恋愛小説のような胸キュンの三角関係を味わわせてあげようという企画…にて、投稿したものです。
「ハッピーバレンタイン!」
今年もゆいこから、俺とひろしに同じ箱が渡された。
今回も本命じゃ……ないか。
ゆいこは俺の気持ちに気付かない。
ひろしは義理チョコでも嬉しそうな顔をしている。
この関係は、一体いつまで続くんだろう。
それは、ずっと心地よい関係だと思っていたけど、近頃はそうも思えなくなってきていた。
俺の頭の中には、ゆいこを俺だけのものにしたいという願望がある。
それは、日に日に強くなっていた。
けれども、俺はひろしとも仲良くありたい。
そんなある日、ゆいこの友達の会話を偶然聞いてしまった。
「知ってた? ゆいこ、今ひろ君に夢中なのよ!」
俺は耳を疑った。
ひろ君? あのひろしと!?
いつの間にあいつら、そんな関係になったんだよ!!
俺に何も言わずに!!
あのチョコは、もしかして中身は本命だったのか?
突然ゆいこが、コンタクトから逆にメガネっ子になったのも、あのひろしの影響なのか!?
おいおい、嘘だろ?
俺は、真相を確かめずにはいられなくなった。
「おいひろし! お前、どういうつもりだ!」
「え、何が?」
「俺ら3人はいつも一緒で、友達以上で、だけどそれ以上じゃなくて、それはこれからも変わらなくて……」
違う!
俺が言いたかったことは、こんなことじゃない!
口から出た言葉は、まるで俺の心の中と真逆だった。俺は、ゆいこをひろしにとられたくないのに。
「たくみ、どうしたんだ? そんなに3人一緒がいいのか?」
ひろしは笑った。
「なぁ、今度の金曜、ゆいこの家で勉強会するんだけど、たくみも来るか? テストも近いしさ」
これはもともと、2人がイチャイチャするための勉強会だったのか?
そこに俺を仕方なく入れてやるって?
くそっ! ふざけんなよ!!
金曜日、俺らはゆいこの家で勉強会をした。
「ひろしー! この問題教えてー」
「ったく、ゆいこ、そんなのも分かんないのか?」
ひろしが、ゆいこのノートを覗き込む。
2人の距離が近い。
俺はソワソワしていた。
やがて用があると、ひろしは先に帰った。
俺はというと、ゆいこの家で夕食までよばれてしまい、だらだら長居をしてしまった。
気付けば23時になる。
ゆいこは突然、ラジオをつけた。
「え、ラジオ?」
「うん、なろラジ!」
「なろラジ?」
「わたしね、近頃ひろ君にときめいてるのっ」
「はっ?」
ひろ君というのは、どうやらひろしのことではなかった。そして、ゆいこがメガネっ子になったのは、そのひろ君の影響だったようだ。
ゆいこはラジオの前に座り、とても嬉しそうにしている。そんな顔は、見たことがなかった。
「何、嫉妬でもしてんの?」
「バーカ! そ、そんなわけねーだろ」
「ふーん」
「お前、そんな顔もするんだな」
「え?」
「俺の前以外で、そんな嬉しそうな顔見せんなよ」
「な、ちょっと! 何するのよ!」
俺は、ゆいこがかけてるメガネを強引にはずした。
「普通高校デビューってのは、メガネをはずすもんなんだよ! 何逆やってんだ!」
「ちょっと! メガネとらないでよ! 全然見えないじゃない!」
「これでもか?」
「たくみ、距離! ち、近いってば……!」
「ゆいこは、俺だけを見てろ!」
「へっ……」
俺は、ゆいこにそれ以上何も喋らせないようにキスで口をふさいだ。
ひろしのJ、ゆいこのJ、たくみのJ、皆さんはどれがお好みでした??(^^)