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悪魔の笑み【1】

『ぐるるるる』


「…………」


 茂みに隠れる狼が低い声で唸りながら俺を睨む、数は1体、大きさは1mそこら、とても痩せこけている、群れから離れたのだろうか。


 そして、食べる物がなくなり、腹ペコそして目の前には俺か…


「シッシッ、俺は美味しくないぞ、どっか行け」


『ぐるるるるる』


 狼は俺の忠告を無視し、鉄のような鋭い牙を剥き出しにしながら、走り出す。


 ダラダラとよだれ垂らして、そんなに俺は美味しそうに見えるのか、どこからどうみても普通の魔法使いだ、美味しそうな贅肉はない。


『グガァ!!』


 牙を剥ける狼に俺は手のひらを広げる。


 そして、力を込めて魔法陣を生成し、使う魔法の名前を唱える。


「《ファイア》」


 そう唱えると魔法陣から火が噴き出す、狼はその火に驚き、牙をしまい茂みに逃げる。


「…ま、こんなもんか」


 覚えててよかった、覚えてなかったら普通に襲われていた、しかし…この森にあんな狼は居ないはずだが、相当群と逸れたんだな。


 生物が群れに逸れると再開するのは難しいだったな、群れに再開できなくとも、ここら辺は強い魔物もいない、なんとか生きていけるだろう。


「……なんの心配をしてるんだ俺は、とっとと崖に行こ」


 俺は足を目的の方向に向け1歩1歩ずつ進んでいく。



 いつからだろうか、俺の日常には魔物と呼ばれる生命体がいて、それを倒すギルドがあった。


 魔法や能力を自由に使い、仲間と共に生活を脅かす魔物を殺し、魔王の侵略に抵抗する為の力を徐々に手に入れる。


 そんな日常が当たり前

 だけど今はない。


「…なあ、なぜ消えたんだリーダー」


 俺は目的地の崖に着くと、その崖に座りながら呟く。


「はぁ…」


 俺達をまとめていたギルドのリーダーが突然消えた、なんの前触れもなく、置き手紙もなしだ、今じゃリーダーは死んだ事にされて、次のリーダーが誰になるかの話し合いが起こってる。


 そして俺は、そのリーダーを探すようにこの崖に訪れるようになっていた、崖に居るわけもないのに


「今じゃ俺がするんじゃないかって噂になってる、なぁ生きてるなら出てこいよ、俺にはお前の座は重すぎる」


 そんな事言っても、お前は来ないよな。


 本当なにをしてるんだか、まず生きてるのか、生きてたとして何で話の1つしてくれない。


「…帰ろ」



「おいぃ、クソやろぉ」


 もう帰ろう、そう思った時後ろから声がした、聞き覚えがある声だ、この声は同じギルドに所属していた…


「…ボルフェス」


「その座ぁ、重いならぁ俺がやってやるよ」


 俺の後ろには、赤い鎧を見に纏う、ボルフェス・マーガ、がそこに居た。


 よく見ると、ボルフェスがきている装備はいつも違う、そして奴からは隠しきれない殺気が漏れている気がする。


 …前々から思ったけど殺気が漏れるってなんだ、本とかの表現でよくあるが、実際どんな感じなんだ、目の前のボルフェスみたいな事を言うのか。


「何のようだよ、こんなところまで来て」


「おいおい、察しが悪いなぁ、気づけよぉ」


 いつもとは違う装備、まぁそう言う事だろう。


「俺を殺しに来たのか」


「そうだ」


「何のためだ、別に争う理由なんてどこにも」


「リーダーの座ぁ、それだけじゃ不十分か」


「お前がそんなのに興味があったなんて意外だな」


「それ自体に興味はねぇ、だがなぁ…俺より弱ぇ奴が、リーダーに君臨するのが気にくわねぇだけだ」


 そう言い剣を抜く。


 いや待て

 こいつ本気で俺を殺す気なのか。


「待て、別に戦う必要はないだろ、まだどっちがリーダーになるなんて決まってないんだ」


「なに甘メェ事言ってる、可能性はゼロじゃねぇだろ、剣を握れぇら三下が」


 奴のあの目殺す気満々だ


 と言うか、殺す気だったなら話しかけずに崖に突き落とせば良かったのに…いや、そうじゃないな、奴は俺より強いことを証明したいのか、そのためにわざわざ声をかけた…


 勇者かなにかのつもりか。


「そこまでする理由は?」


「俺が求めるは、圧倒的勝利のみだ、その勝利の上で貰える座、興味があるのはそこだ、楽して手に入れる座なんて興味ねぇ」


「そう興味で全てを進めるよな、そう言うところ嫌いだよ」


 俺のその発言が気に障ったのか、ボルフェスは剣身(ブレイド)を俺に向けながら走り出した。


 あいつやる気満々かよ。


「《シールド》」


 説得は無意味だと察した俺は、魔法で光の盾をボルフェスの目の前に作り出し、一歩後ろに下がる。


「そこで止まれ、俺は仲間バチバチやり合う趣味はない」


「だったら俺が一方的に蹂躙するのみ!!こんな盾がなんだってんだ!!」


 ボルフェスがその盾に触れると同時に、その盾は爆発した。


 まぁ、説得に応じるつもりなら最初からここに居ないか、なら仕方ない。


「《エイムアシスト》」


「あ?」


 割れた盾の破片から赤い射線がボルフェスを狙う、遠距離での攻撃の際に使われる照準を調整するだけの魔法。


 だが、こう割れた物でも使える。


「《グラビティー》」


 俺は手を握りしめ引力操作の魔法を使う。


 魔法で引力の中心をボルフェスに設定する、それにより割れた盾が一斉にボルフェスに襲いかかる。


「どうだ」


「それがなんだってんだ!!」


 ボルフェスは剣を軽く一振りするだけで、その破片を全て吹き飛ばす。


「クソ、やっぱりダメか、なら…」


「させるかよ」


 鉄パイプをどこからか取り出し、ボルフェスはそれを投げた。


 俺はかわそうと横に避けたが、その鉄パイプは交わした途端その形を変え、5cm程の無数のナイフに形を変えた。


「な!?」


「終わりだ」


 ナイフが俺に向かってくると同時にボルフェス走り出した。


「《テレポート》」


 俺は移動魔法でナイフをかわした、だがかわした先にはボルフェスが居た。


「そう来ることは読んでんだよ!!」


「《サンド》!!」


 俺は砂を操作しボルフェスの剣を吹き飛ばしつつ、目潰しをした、だがボルフェスの攻撃は止まることはなく、思いっきり殴られる。


「く…」


「怯むと思うのかよ!!」


「お、おい…」


 殴られてよろけた俺に、ボルフェスは思いっきり突っ込み、腹を蹴った。


 とてつもなく痛い、胃の中のものが逆流しそうだ。


「ヴァ!!」


 俺はその反動で後ろによろける。


 だが俺の後ろには足場がなかった、そう気づいた頃には遅かった。


 気づけば俺は宙に浮いていて、真っ逆さまに落下していた、真下には荒れ狂う波と剣のように尖っている岩が待ち構えている。


「……クッ…」


「終わったな」


 落ちてく中で、ボルフェスの素顔が見えた、嘲笑うような満面の笑みが…最後に見た光景がこれかよ。


 最悪だ


 そう思いながら、俺の体は水に叩きつけられた。

第1話スタートです。


はい、その…色々訳あって投稿遅れました、まだ他の作品が終わってないのに、別のに手を出すのは危険なのはわかっているんですが

他の作品に関してはネタが思いつかないし、あまり伸びないので、少し手を引こうかなと思います。


この作品は…一応ビギニング編は全部書いてあって、切りのいい所で終わっているので、続きを書くかどうかはとりあえずビギニング編を書いてから決めようと思います。


のらりくらりな作者ですが、よろしくお願いします。

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