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作戦立案2

 ダリウスは、質素で味気ないオフィスに戻った。大量の付箋がはってあるパソコンを見て、目を伏せる。


 CIAとの諜報戦、簡単な仕事ではなかった。むしろ、今までで最も難易度が高く、危険な作戦と言えた。だが、CIAが狙っているシステムは兵士の治療に関わっている。掌握させるわけにはいかない。


「どんな厄介ごとが舞い込んだんです?」


 マーブ・エイマーズがコーヒーを持ってきて、ダリウスに渡す。この赤毛の伊達男は、D班のサブリーダーで、ダリウスの相棒だ。軍にいた時も同じ部隊に所属し、共に地獄を潜り抜けてきた。


 ダリウスはブドウ糖が入ったコーヒーを飲みながら課長補佐との会話を伝えた。


「二重スパイを見つけるためには、特別プログラムがどのような物で、どのような人が集められるのか把握している必要がありますね」


 マーブはメモを取りながら言う。


「残念ながら、B班が入手したのは、大まかな概要だけだ。だが、B班の仕事を待つわけにもいかない」


 マーブは眉を上げ、「D班でも独自の調査を行う必要がある、と」


「B班の邪魔にならない程度に、ではあるがね。調査方法を考えておく必要がある」


 ダリウスはそう言って、ホワイトボードに情報を書いていく。



・正規の方法で特別プログラムの情報が得られるのは、SOH社の特定の幹部、カウンセラー、エンジニアに対して行われる不定期な会議のみ。


・会議の会場、日時も当日まで不明。


・幹部、エンジニアは数人が参加するというが明確な人数は不明。出席した者の中には、作戦の内容をほとんど知らされない者もいる。



「何も知らされない出席者ですか……特別プログラムに関する偽の情報を覚えさせられている可能性もありますが」


「そうだな。敵が特別プログラムについて調べてきた時にそれを察知するための罠である可能性も十分にある。例えば嘘の関連組織を覚えさせ、その関連組織に監視網を張るとか」


「尋問は難しいですね」


「言うのを忘れていたのだが、会議の内容は他言を封じられ、たまに情報を話していないかのテストが行われるという。会議の内容は、作戦の進行についての報告、助言などだ」


 マーブがへの字に口を曲げる。


「諜報活動に利用する生体データ分析プログラムの改良ってことは、参加するカウンセラーの数もそこまで多くないはずですよね?」マーブが訊く。


「そのはずなんだが、会議には20~30人のカウンセラーが呼ばれているという。それも入れ替わりで」


「今のところ、負け試合ですね」マーブが無精髭をさすりながら、低く唸った。


「今やっている特別業務は別の班に引き継ぐ……一カ月はかかりそうだな」ダリウスは口を曲げ、言う。


 2人で目を合わせ、深いため息をついた。


「通常業務Bのオペレータ増やしますか?」


「そうだな」


 マーブは膝を叩き、「それじゃ、やりますか」


 ダリウスは時計を見た。今日から深夜まで残業になると考えると、深いため息が出た。

 読んでいただき、ありがとうございます。

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