表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

正体

 二重スパイと思われる男を拘束してから一時間後、D班は偽装バンでセーフハウスへ逃亡していた。ダリウス、マーブ、サム、ロバートは顔をこわばらせ、中心に横たわる男を見つめていた。


「さて」


 煽り運転をしていた車も去り、一瞬だけ車内の雰囲気が軽くなったが、ダリウスの声に皆の表情が強張る。


「やりましょう」マーブが力強く言い、C班の副リーダ・アルバートを睥睨した。


 ダリウスは手術機材を準備する。その指は微かに震えている。


 準備が整い、ダリウスがメスをマーブに渡す。マーブの指が止まる。


「大丈夫か?」


「少し、信じられなくなりまして……データを解析しても、完全に生身の人間です」


 ダリウスは額の脂汗を無視し、自分の考えが誤っていないか再度確認する。


 アルバートが二重スパイではない可能性も十分ある。しかし、初めから勝負が決まっていたゲームをひっくり返すには、この方法しかなかった。


「確証はある」ダリウスはマーブと目を合わせ、言った。


 マーブはボールペンを取り出し、ハンカチを巻き、口にくわえた。恐怖、罪悪感、極度の緊張で歯が欠けそうなほどに食いしばっていたためだ。


 震える手を何度も開閉し、メスを受け取る。


「確認作業をはじめます」


 慎重に傷を広げていくマーブだったが、その手が止まる。


 ダリウスは充血した目をマーブに向け、「続けろ」


「分かりました」


 マーブは傷口を器具で広げ、ライトで照らす。


 通常のガワならとっくに中の人間が見えている所まで開いていたが、何も出てこない。


「ボス……」マーブは顔を上げた。


「俺がやろう」


 ダリウスはメスを受け取り、さらに奥を開く。


 誰もが失敗を確信した。


 ダリウスの額はびっしりと汗でぬれていた。充血した目を光らせ、皆を見渡す。


 肉の奥に機械部品と、真っ白な肌が見えた。


 ダリウスとマーブは、同時に嘔吐した。

 読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ