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次の一手

 ダリウスは課長補佐室にいた。


「ミラーの失敗、あれはミラー自身が仕組んだものだ」課長補佐が目に暗いものを浮かばせる。


ダリウスは冷笑した。自身もこれから行われるカウンセラーへの攻撃をする際に、ミラーの作戦失敗を組み込んでいたのだから。


「だが、CIAの反応は妙だと思わないか?」


 ダリウスは頷き、「なかなか慎重なようですね」


 課長補佐がため息をつく。


「ガワの交換ミス、あれは本当に急に行われた物だった……二重スパイがC、D班のどちらかにいたとすれば、偽アーネットの作戦をCIAに報告し、CIAがそれをSOH社に突きつけるだろうと考えられた。だからこそ、CIAがアーネットに群がってくれるだけで、C、D班のどちらかに二重スパイが潜んでいることが証明できた」


 確かに、CIAはSOH社が機密を盗もうとしたとして、特別プログラムへの関与を止めることもできる。


 今回の作戦が成功したにしろ、失敗したにしろ、二重スパイはミラーを監視する必要に駆られる。監視すれば、ミラーから何かしらの影響を受けることとなる(監視をするということは、必ず監視対象の行動から何かしらの心理的影響を受けるため)。黒羊はそれを利用して、二重スパイを暴くこともできる。


「どちらにせよ、ミラーは二重スパイの監視対象となったはずですから、何人かの二重スパイは釣れます。ま、偽の二重スパイである可能性も否めませんが」


「もしくは重要度が低いか、そのどちらかだな。どちらにせよ、二重スパイを捨てる準備をしているという事だろう」


 課長補佐は少し考え、「ミラーへの監視を行う……つまりCIAが捨てる二重スパイは重要度が低い者だろう。重要度が高い二重スパイは息をひそめていると考えた方が自然だ」


「C、D班のどちらかにいると?」


 課長補佐がゆっくりと頷いた。


 D班に二重スパイがいるといわれ、少し心外だった。


「CIAが二重スパイを持っていない可能性もあります。今回の作戦に介入してこなかった理由にはなる」


 課長補佐は微笑み、「そう思うか?」


 ダリウスも笑ってため息をつき、「俺の作戦が実行されればそれも判明すると」


「その通りだ」


「もし、奴らが乗ってこなかったらなんですが……」


 ダリウスは次の作戦について語り始めた。

 読んでいただき、ありがとうございます。

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