えぇ(困惑)
振り返ると、学校で俺の事を凄くイジメてくる嫌な奴3人がいた。
「ほらほら、ちょっと静かなところでお話しようよぉ〜HAHAHA」
「あひゃひゃ、見ろよコイツ完全にビビってるぜ!」
「お前が俺たちとの約束をすっぽかすのは100万年早ぇんだよ!」
俺は近くの人気のない公園に連れてこられた。異世界ならチンピラに絡まれるのなんてデコピンだけで解決したのだが、今は能力が消えている。非力な高校生の俺がヤンキー3人相手にまともに戦えるわけが無い。
「ねぇ、金持ってこないと殺すって言ったよね?なに黙り込んでんの?HAHA、舐めてんの?殺しちゃうよ?ねぇ殺しちゃうよ?」
ドゴッ!
鈍い音と共に鼻に強烈な痛みが走った。
「うがぁ…」
久しく攻撃を受けていなかったため殴られるのがこんなに痛いことを忘れていた。俺の鼻から物凄い量の血が吹きでている。
「金持ってこないと殺して山に埋めるって言ったよね??HAHA」
「す、すびません。許してくだざい…」
俺が命乞いするとヤンキー3人組が爆笑し始めた。
「HAHAHAHAHAHA!だっせぇ!」
「あひゃひゃひゃひゃ!もう殺そうぜコイツwwww」
「あー腹痛てぇ、十分笑ったしもう要らねーなw」
俺は覚悟を決めた。せめて1発ぐらい顔面を殴ってやる。そう思い俺は発狂しながら殴りかかった。
「うわぁぁぁああああああ!」
「HAHAH……」
殴った感触がしなかった。多分避けられたんだろうと思い目を開けると、そこには頭部がグチャグチャになったゲロみたいなピクピク痙攣している死体が転がっていた。
「う、うわぁああぁ……!テ、テメェ!何しやがった!」
「う、うぷ…おぇえぇぇ…」
俺自身も何が起こったのかわからなかった。能力は女神が消えると言っていたのに…奴らのうち1人が粉々になったことで1人はゲロを吐きもう1人は発狂している。
「嘘…だろ…能力消えてねーのかよ…」
「あぁぁあ、やめてくれぇ!殺さないで!」
事件の現場を見た奴は全員殺さないと捕まってしまうと思い焦って残りの2人も殺してしまった。
パンチ1発で粉々にならなかった魔王って強い方だったんだなと思いながらその日は家に帰った。
人を殺したら普通の高校生は精神が病み部屋に閉じこもって出てこないだろうが俺は散々異世界で魔物やら人間を殺しまくったので殺したことで病むことはなかったのだが。
「あーやべぇ、捕まったらどうしよう…」
俺は自分の部屋で考え込んでいた。
家に帰った直後両親との再会はなんかじーんと来るのかと思いきやそうでもなかった。向こうからしたらさっきコンビニまで行って帰ってきただけなのでなにも思わないだろう。
そんな事よりこれからの事だ。
公園の死体を何処かに埋めることもなく異世界での癖でそのまま死体を放置してしまった。多分警察の捜査が進むにつれコンビニの防犯カメラから俺の身元が割れて恐らく逮捕されるだろう。そうなると少年院送りじゃ済まされない……。
「あー、元の世界に戻るんじゃなかった…こんなことなら俺が求めた冒険のできる世界に連れて行ってくれとか言う願いの方が良かった…」
考え込んでいても仕方が無いのでとりあえず寝て明日の自分に任せることにした。