能力が消えた日
初投稿です。暖かい目で見てください。。。
「チッ…なんて姿だ…」
「フフハハハ、勇者よ私を楽しませてくれよ?」
俺は今最後の戦いをしている。
アニメや漫画で言うところ最終回だ。
このThe・魔王って感じの翼と角のある黒いオッサンを倒せばこの世界は救われる。
「なーんてね」
「へ?」
ドギャッ!!!
俺は思いっきり懐に飛び込みオッサンの顔面を殴った。
「ふぇ…?」
ペタンッ!!!
するとオッサンは気の抜けた声を出し地面に叩きつけられ、角は折れ白目をむき泡を吹いて痙攣しながら気絶し、あろう事か股間が凄く水力発電してしまっている。凄くジョロジョロ聞こえてくる。
「おーい…お、おーい…おじさん?漏れてますよー?大丈夫…?」
心配して足でツンツンしながら、股間が三途の川みたいになってるオッサンに声をかけていると、突然目の前に俺をこの世界に召喚した赤髪のセクシーな女神が現れた。
「よく、魔王を討伐しましたね、勇者ヒイロ。では、約束通り…」
「ちょ、ちょっとまって…え、あの俺、勝ったの?」
「はい、勝ったから私が現れているんですけれど…」
「ごめん…ちょっと言い方悪かった…え、死んだの?オッサン?」
「死に…ました…けど…?何か問題でも?」
俺は頭が真っ白になった。
まさか、魔王がこんなに弱いだなんて思っていなかった。ここに辿り着くまでに相当な数の魔物と戦った、まぁどれも手応えなんてものはなかったのだか…でも魔王ともなれば手応えや歯ごたえの一つや二つはあるだろうとここまで旅をしてきたというのに、あったのはいいパンチが入ったいつもの手応えだけだった…
「では、約束通りあなたの願いを一つだけ叶えて差し上げましょう。」
女神は俺の様子を気にすることも無く仕切り直してきた。
「あ、じゃぁ…元の世界に返してください…」
「え、そんな願いでいいのですか?」
「あ、はい…もう、戦うとか強くなるとかそういうのいいんで…あの、本当に…」
「は、はぁ…」
女神は困った顔でこちらを見ていたが俺は不満をぶちまけた。どうせ最後だし。
「だいたいね、全モンスターワンパンで終わるとかそれ皆どっかで見たことあるんですよ。ていうか魔法使えるのに拳だけで終わるとかそれもう魔法要らないじゃん!魔法でもメ〇みたいな下級魔法でポンポン溶けてくんだから!途中から戦闘を少しでも楽しむために魔法禁止なんかしたけど、なんにも変わらなかったし俺の夢見てた仲間との熱い友情とか血のたぎるような戦闘とか一つもなかったよ!!あーもう異世界最っ高だね!」
俺は鬱憤をぶちまけると床に大の字で寝転がった。
「あ、あの…本当に元の世界に帰るのですか?」
女神はどうしたらいいかわからなくおどおどしていた。
「あ、はい、お願いします。出来れば俺が召喚された直後に戻りたいです。」
「わかりました。では元の世界に戻った場合能力は全て使えなくなりますが本当に宜しいですか?」
「あーもう、そうしてくれると逆に嬉しいです。そろそろ人間に戻りたかったので、ハハハ…」
すると女神はゲートを出した。
「では、お疲れ様でした勇者ヒイロこのゲートをくぐれば元の世界に帰ることが出来ます。」
「あ、どうもお世話になりました。じゃ…」
ゲートをくぐった先は俺の家の近所のコンビニだった。
「はぁ、召喚された直後って夜のコンビニなんか居たんだっけか…なんかそれどっかで見たことあるよなー…」
俺は気を取り直してあの時読めなかった、週間ステップを手に取り立ち読みし始めた。
「おー、この漫画!本当に召喚された直後に戻してくれたんだな…」
俺は長くに渡る一人旅のせいで独り言が極限レベルMAXになっていた。
周りの客の目が痛い。すると後ろから懐かしの声が聞こえてきた。
「よぉ、ヒイロちゃん?今日なんで体育館裏に来なかったのかな〜??」
「(げ、この声は……)」