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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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お母さんは死んだ

作者: 今井キマリ
掲載日:2020/01/21

私、お母さん辞める。


母が妹のクシナに、こう宣言したのは、


二ヶ月前だった。


クシナは病弱で、生活も介助が必要だ。


クシナが震えながら、


私に電話してきたのは、


その三日後だった。


私が家へ駆けつけると、


母はベッドで眠っていた。


部屋は異様な匂いがした。


私はクシナのトイレをまず交換し、


クシナの身体を拭いた。


私を見て、泣き出したクシナに


私は


ごめんね、おねえちゃんが、


毎日連絡してあげれば、良かったね。と言った。


思えば、母は父が亡くなってから、


様子が変だった。


口から出まかせのように、


物語を書き殴ったような、


話し方をした。


私はクシナの周りの事が終わったので、


母を起こしに行った。


母は起きなかった。


死んでいるわけではない。


うわ言で、


お母さんは死んだ、


お母さんは死んだ、


と叫んでいた。


私は泣きたくなった。


母は強い人だった。


なんでも笑って解決してしまう、


母が誇りだった。


しかし母はこと切れた。


あれから二ヶ月。


母は、療養している。


お医者さんはこう言う。


お母さんはお父さんが亡くなって、


完璧な母であることに、


耐えられなくなったのでしょう。


お母さんはもういないと思ってください。


ただの一人の人間として、


見てあげてください。


お母さんと思って、叱らないでください。


お姉さんにはわかりますね。


私はクシナも母も引き取るつもりだ。


幸い私は、夫が世間より稼ぎのいい人で、


理解してくれているので、安心している。


母は死んだ。


でも大好きな母は娘のように話しかける。


春には母にもクシナにも、


チューリップをあげよう。


沢山の幸せでは無いけれど、


二人が笑う姿がみたい。


私はそんなことを考えながら、


家族の為の、シチューを作る。

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