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13/20

あれから2年………

お待たせしました。

 光輝12年

 東京都・町田市-



 けたたましい非常ベルの音が周囲に響き渡り、血まみれの死体が複数転がる室内を武装した全身タイツの戦闘員十数人近くが、紙幣や硬貨などの現金が詰まったケースや宝石類や貴金属等の金品の詰まったバッグ、子供1人分よりも大きな陶器や絵画等の美術品を持って行き交っていた。


 時刻は深夜3時。


 その夜、突如としてブレイカーズの武装部隊が天草銀行・町田支店の貸金庫を襲撃した。


 警備中のガードマン達は無惨にも血まみれの蜂の巣となり、金庫をこじ開けた戦闘員(ブレイクソルジャー)達は中に納められていた品物を現金も宝石類も美術品も関係無くケースやバッグに詰め込み、自分たちが乗ってきた大型トラックのコンテナ内へと運び込んでいった。


「キヒキヒキヒキヒキヒキヒィ……」


 陣頭指揮を取っているのは、頭部からドリルを思わせる一本角が生えている擬人化されたウサギのような姿の怪人だ。


 黄色い体毛で覆われている体はモフモフしていて可愛らしいが、口からは鋭い2本の牙が飛び出て、両目は真っ赤に染まっており、腰に装備されたブレイカーズのシンボルマークである『翼を広げた(ドラゴン)』の姿が刻まれたベルトのバックルと相まって、見るからに凶暴そうな外見をしていた。


「……」


 ウサギの怪人の長い耳がピクピクと震える。


 怪人は銀行内の柱の一つに備え付けられ、今なおけたたましい音を立てている非常ベルに目を向けた。


「……キヒィィィィィ!!」


 ウサギの怪人は手に持つドリル状の穂先が特徴的な槍を非常ベルに突き刺した。


 非常ベルは哀れにも粉々に粉砕され、同時に周囲に響き渡っていたけたたましい音も収まり、銀行内には運搬作業を行うブレイクソルジャー達の足音と銀行内にコンテナ部を突っ込んでいるトラックのエンジン音だけが聞こえていた。


「ふぃ~、静かになった……」


 ウサギの怪人は非常ベルが付けられていた柱から槍を引き抜き、ため息を漏らしながらまるで髪型を手櫛で直すように自身の長い耳を整えたのだった。


 ウサギのような姿にも関わらず、怪人の声はまるで声優のN尾R聖氏を思わせるシャープで甲高い物だった。


「ギギィ!アルミラージモストロ様!」


 ブレイクソルジャーの1人がウサギの怪人の前に膝間付いた。

「金庫内の物は全て運び終わりました!」

「……よし。お前ら、引き上げだ!」

『ギギィ!』


 ウサギの怪人……アルミラージモストロの一喝で、ブレイクソルジャー達は金品を詰め込んだ大型トラックやその脇に停まった数台のジープへと乗車していく。


 トラックもジープも、取り付けられているナンバープレートに書かれているのは地名と数字ではなく、ブレイカーズのシンボルマークである『翼を広げた(ドラゴン)』の姿だった。


 ブレイクソルジャー達が全員乗車したのを確認してから、最後にアルミラージモストロがジープに乗車する。


 そして……そのままブレイカーズがその場から立ち去ろうとした時だった。


 どこかから、『ブオォン!』というバイクのエンジン音が聞こえてきたのだ。


「ギ!?」

「ギギィ!?」


 突然聞こえてきたバイクのエンジン音に反応するように、ブレイクソルジャー達はマシンガンを片手に周囲に注意を向ける。


「くそっ!来やがったか!?」


 指揮官であるアルミラージモストロも、得物であるドリル状の槍を手に取ってジープから飛び降り、自身の長い耳に神経を集中させる。そして……


「……そっちだぁぁぁ!!」


 自分たちとは反対方向の道路を指差して叫んだ。


「ギィ!?」

「ギギィ!?」


 ブレイクソルジャー達が、アルミラージモストロの指差した方向に向けてマシンガンの銃口を向ける。


 まさしくその方向には、流線形のフルカウルオフロードバイクが一台、ブレイカーズに向かって突進してくるように疾走してきていた。


 そのバイクには、上半身部が青、下半身部が赤く染め分けられたピチピチのライダースーツを着た人物が跨がっていた。


 顔はフルフェイスヘルメットに覆われていてうかがい知ることはできないが、ライダースーツによって浮かび上がった体のラインからして、性別は男性で間違いなさそうだった。


「う、射てぇ!射つんだぁぁぁ!!」

『ギギギギギギィィィ!!』


 アルミラージモストロからの指示を受け、ブレイクソルジャー達は自分たちに向かってくるバイク乗りに向けてマシンガンの引き金を引く。


 マシンガンの銃口から雨のように銃弾が発射され、ライダーとバイクに襲い掛かる。


 しかし、ライダーは怯む様子一つ見せずにスロットルを回してバイクのスピードを上げていく。


 銃弾はバイクのボディに容赦なく命中していくが、塗装が剥げるだけでバイク自体にはダメージは一切なかった。


「……シルバァァァァ!トランスフォォォォォム!!」


 バイクに跨がったライダーが力強く叫ぶと、彼の体は銀色の光に包まれて形を変えていく。


 光が晴れた時、そこにいたのは……


「くそっ!現れやがったなぁ!!」



「シルバースレイヤー!」



 氷山リク。

 男

 19歳

 現在、大学生

 兼

 正義のヒーロー『シルバースレイヤー』。

ようやくここまで書けました。

次回もお楽しみに。

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