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残酷な現実

明けましておめでとうございます。

「……ハァ」


 リクはナハトリッター基地内にある浴室でシャワーを浴びながら、深いため息をついた。


 リクは鏡に写った自分自身とにらめっこしながら、シャンプーで何度も髪を洗う。


 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も………


 念には念を入れて幾度も髪を洗うが、リクの髪の毛は青と赤のまま変化する事はなかった。


「……ハァ」


 いくら髪を洗っても黒に戻らない事にリクは再び深いため息をついた。


(これから……一体どうなるんだ……?)


 ブレイカーズに対して宣戦布告してしまったとは言え、リクは正式な戦闘訓練などしていない素人だ。


 いくら改造人間になったとは言っても、それはブレイカーズ側も同じ事。


 しかも、向こうは正式な戦闘訓練を積み、数の上でも上回っている……ナハトリッターはリクのインターハイでの優勝経験を誉めていたが、それが命懸けの実戦でどこまで通用するかは甚だ疑問だった。


 そして何よりも……


「……ウミオ」


 無二の親友である氷河ウミオは無事なのだろうか?

 リクはそれが最も気になっていた。


 ☆☆☆


「フゥ……」

 一風呂終えたリクは、着替えとして用意されていたジャージを着用し、バスタオルで頭を拭きながら浴室を出た。


 浴室の入り口には、ナハトリッターと十六夜京子の2人が待っていた。


「よぉ!さっぱりしたか、リク?」

「あ……あぁ……まぁな。てかおっさん、馴れ馴れしいから、名前で呼ぶの止めろよな」

「はっはっはっ!すまんすまん!」


 ナハトリッターはフレンドリーな態度でリクに接していたが、リクの方はまだ、ナハトリッターに対してつっけんどんな態度を取ってしまっていた。


「それでは、こちらへ」


 一方、ナハトリッターの助手である京子の方はあくまでクールな態度を取っていた。


 京子とナハトリッターに案内されるまま、リクは基地内にあるエレベーターに乗った。


 まるで戦前……大正時代頃に作られたような、レトロチックな内装が印象的なエレベーターだ。


 ブザー音と共に扉が閉まると、エレベーターはワイヤーや機械類が軋んでいるような『ギシギシ』とも『ガタガタ』とも聞こえる音を響かせながら上昇を始めた。


 リクは途中でワイヤーが切れてしまったり、エレベーター自体が停止してしまったりしないか、少し不安だった。


「……悪いな。ろくに修理も整備も出来てないんだよ。悪人にここの場所がバレると不味いから、外部の人間を呼べないんでね」


 リクの不安を察したのか、ナハトリッターがすまなさそうな声色でリクに告げた。


 しばらくすると、エレベーターはガタッ!と大きく揺れた後に停止し、扉が開いた。


 ナハトリッターと京子に続いて、リクもエレベーターを降りる。


「ここって……探偵事務所か?」


 エレベーターから降りたリクは、思わずそう呟いた。


 そこはまさにドラマなどに出てくる私立探偵の事務所を彷彿とさせる部屋だった。


 壁際には複数の金属製の戸棚が並び、部屋の中央には長方形の小さな木製テーブルが置かれている。


 白いテーブルクロスの上から透明なビニールが敷かれた木製テーブルを間に挟んで向き合うような形で二つのソファーが置かれ、リク視点で見てテーブルの左側には曇りガラスが嵌め込まれた金属製のドアがあり、ドアの曇りガラスには『呪井探偵事務所』とゴシック体のフォントで大きく縦書きされていたのが内側からも確認できた。


 一方、リク視点でテーブルの右側には木製の大きなデスクとデスクトップパソコンが置かれた木製デスクの半分程の大きさの金属製デスクが置かれていた。


 二つのデスクの背後には白いブラインドが備え付けられた大きな窓があり、窓に嵌め込まれているガラスにはドアの曇りガラスと同じ文言が大きく横書きされていた。


「……ご名答。ここは探偵事務所さ。俺は表向き、『しがない貧乏探偵』を名乗ってるんでね」


 リクの呟きにナハトリッターが答えた。


 同時にリク達が乗っていたエレベーターの扉が閉まり、戸棚がスライド移動してエレベーターの扉を覆い隠した。


「しがない……貧乏探偵?」


 リクはナハトリッターの発言をおうむ返しに繰り返しながら、頭上に大量の?を浮かべて首をかしげた。


 あんな秘密基地やスーパーマシンを持っている癖に、どこが『貧乏』だと言うのか?


 悪人へのカムフラージュのつもりなのか?


 リクには理解できなかった。


「……まぁ、細かいことは気にしないでくれ」


 頭上に?を浮かべるリクにそう告げると、ナハトリッターは木製デスクの椅子に、京子はその隣の金属製デスクの椅子に腰を下ろした。


「ほら、気楽に座ってくれて良いぞ」

「あ、あぁ……」


 ナハトリッターに促され、リクは手近にあったソファーに座った。


「………」

「………」

「………」


 数分の間、オフィス内は静寂で包まれ、デスクトップパソコンの駆動音と京子がパソコンのキーボードを打つ音以外は、建物の外からの自動車の音だけが聞こえていた。


 先に静寂を破ったのはリクだった。


「なぁおっさん……いくつか聞いていいか?」

「……『答えられる範囲内でなら』、構わないぞ」


 ナハトリッターからの了解を得ると、リクはデスク上で腕組みしているナハトリッターに向き直った。


「それじゃまず……俺がブレイカーズに拉致られてから今日まで、何日くらいたったんだ?」

「……だいたい2~3週間くらいだ」

「えっ!?」


 ナハトリッターの返答にリクは目を丸くした。

 リクの感覚ではてっきり2~3日くらいだと思っていたのに、まさかそんなに経っていたとは……下校中に道草食うにも程があるというものだ。


「……正確には、君とご友人の捜索願いが警察に出されてから今日まで15日間。君とご友人が拉致されたのがその2日前だから……約17日間ですね」


 ナハトリッターの言葉を隣でパソコンを操作している京子が補足した。


「……あっ!」


 京子の言葉を聞き、リクは一番大事な事を思い出した。


「そ、そうだウミオは?ウミオはどうなったんだ!?俺と一緒に奴らに拉致されたんだ!!」


 リクは血相を変えてナハトリッターに親友の安否を聞いた。


「その……」


 ナハトリッターは一旦視線をリクから反らした後に、告げた。


「残念ながら……俺が基地から解放した人達の中に君の友人……氷河ウミオ君はいなかった」




あまり詳しく言えないけど・・・ウミオ君はリクにとって、キャプテンアメリカ(実写版)にとってのバッキー的な存在です。

ですので、後々再登場する予定です。


感想よろしくお願いいたします。

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