プロローグ
光輝12年-
その日、東京中がパニックに陥っていた。
『ブレイカァァァァズ!ばんざぁぁぁぁい!!』
伝説上の怪物や神話の神々、歴史上の英雄の姿を模した無数の怪人達が、下は一軒の人家から上は高層ビルまで、街に立ち並ぶあらゆる建築物と駅や役所や交番といった公共施設を無差別に襲撃し……
『ギギギギィ!!!』
その怪人達に率いられた全身タイツに竜を象ったマスクを着けた何万もの兵士達が、マシンガンやロケットランチャーなどの重火器を使って怪人達が破壊した建物や施設から逃げ出してきた人々を更に無差別になぶり殺しにし……
「うわぁぁぁ!!」
「キャアアアア!!!」
「た……助けてぇぇぇ!!!!」
東京中の人々を、恐怖のどん底に叩き込んでいたのだ。
だが、その混乱のただ中にあって……人々を守る為に怪人軍団に立ち向かう者の姿があった。
「シルバァァァァァァァ!スラッシャァァァァァ!!」
「ギャアアアア!!」
「……地獄でわびろ」
銀色の仮面と強化服、純白のマフラーに身を包んだ剣士の刃が怪人の体を一刀の元に切り伏せ、
「どぉぉぉけ!どけどけどけどけぇぇぇ!!」
『ギギィ!?』
帽子とコートに身を包んだクライムファイターが純白のスポーツカーで兵士達をボウリングのピンのように次々と突飛ばし、
「うおりやあ!!飛んでいけぇぇぇ!!」
『うわぁぁぁ!?』
空中に浮かんだ紺碧の騎士甲冑姿の騎士が持つ蒼い長剣から放たれた青いエネルギー光線がスプーンのような形に変化して怪人の一団を包み込んだかと思うと、そのまま怪人達を空高く放り投げ……
『デヤァァァァ!!』
『ああぁぁぁぁ……』
空高く飛び上がった怪人達に向けてオレンジ色の巨人が両腕をX字に組んで光線を放ち、怪人達を灰も残さず蒸発させる。
「食らえぇぇぇ!!」
「トゥインクルゥゥゥゥ……スマッシャー!!」
『イマダァァァ!!?』
上空では、飛竜に跨がった竜騎士と白いフリフリドレス姿の魔法少女の兄妹が飛行能力を持った怪人達を片っ端に撃墜させ……
「……急急如律令!」
『ギニャアアアア!!』
黒い虎の姿の退魔師が印を結んで呪文を言ったならば、街のあちらこちらにばら蒔かれたお札から雷撃がほとばしって怪人達を黒焦げにし……
「ハアァァァァ!!」
白いカラスの退魔師が『電光石火』という言葉では言い表せない程の速さで全力疾走したならば、怪人達は断末魔の叫びを挙げる暇もなく糸の切れた人形のようにバタリと倒れてしまい……
「……フェニックスゥゥゥゥ!ブラスタァァァァ!!」
鳥を模した空飛ぶバイクに跨がった不死鳥の戦士は、光線銃からの極太ビームで次々に怪人達を狙撃していった……。
彼らは何者か。
何故一同に集結して怪人達に立ち向かっているのか。
そして、この怪人軍団は?
時計の針を戻して、順を追って見ていこう……。
この作品の世界観では、平成の次の年号は『令和』ではなく、『光輝』となっております。