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報酬確定

 マスタースライムを倒してから数分が経つと、パーティーメンバー達はようやく目を覚まし始めた。


 彼女が目覚める前にマスタースライムの一部を服状に捏ねた事で【創造】スキルlv.1も手に入れたので、応急処置的だがニアにはスライムスーツを着せてある。まだ起きていないニアが目覚めたら、さっさと鉱山を出よう。


「あれ、さっきの大きなスライムは……どこに行ったの?」

「あぁん? なんでレインがここにいやがるんだよ。おいおめぇ、でかいスライム見なかったか?」


 起きたパーティーメンバー達は、まだ恐怖が残っているようで辺りを必死に見回していた。怖がらせたままでも可哀想なので、俺は素直に教えてやった。


「でかいスライムは俺が倒したよ。だからそんなに心配しなくて良い」

「はぁぁ? おめぇ何馬鹿なこと言ってんだ、笑っちまうだろうが!」

「あれじゃない? レイン君、ちょっと大きめのスライムを倒せて調子に乗ってるんじゃない?」

「ぶひゃひゃひゃ、絶対それだわ! おいレイン、俺達は普通とは全然違うスライムと戦ってたんだよ! おめぇなんかと一緒にすんな!」


 俺が命の恩人だとも知らず、彼らは俺の事を嘲笑する。ああもう、だから素直に教えたくなかったんだよなぁ……。


 スフィがもの言いたげな顔をしていたが、彼女も被害を喰らうだけなので俺は手で制した。笑いたいなら笑えばいいですよ。


「ん、んぅ……?」


 彼らの笑い声が聞こえたのか、ニアもとうとう目を覚ます。彼女は半開きの目で辺りを見回し、視線が俺のところで止まるといきなり顔を赤らめた。……おや?


「ニアぁ、レインが自分ででっかいスライム倒したとか言ってんだけど。笑っちまうよな!」

「え? そ、そうね……」


 俺に矢として使われたゲイルがニアに笑いかけると、彼女は少し躊躇うような調子で頷いた。何だこの反応。まさかとは思うが、この子さっきまでの事を覚えてらっしゃる……?


 首筋を冷や汗が伝うが、ニアはゲイル達を否定するでもなく、ただただ俺を横目で見る。これは……怒ってるのか? いや、そういう感じでもないけどなんなんだろう?


「ニアちゃん。さっきのスライムはこの辺りにいる筈だし、そろそろ鉱山を出よ?」


 だがパーティーメンバーのファムがそう切り出したことで、俺はニアが何を思っているのかは分からぬまま鉱山を撤退する破目になってしまった。




 鉱山を抜けた俺達は、クエストの達成状況を示すために冒険者ギルドへと向かった。


 ただ一つだけ、俺には懸念事項があった。幼いパーティーメンバーはそこまで気にしていなかったが、ニアが着ているスライムスーツはスケスケで中がぼんやりと見えてしまっているのである。それが大人達にどう見えてしまうのかが、凄く怖かった。


「ちょっとあの子……すごい服着てない? 今時ビッチでもあそこまで攻めないわよね?」

「若さって怖いな……」


 ああ! やっぱり心ないヒソヒソ声が聞こえる! ごめんよニア、スライムの死骸くらいしか服の素材がなかったんだ……!


 心の中で謝りながらギルドの受付嬢の前まで行くと、彼女は少しだけ顔を引き攣らせながらも普通に対応してくれた。仕事人だ。


「あらあなた達、いつもより帰ってくるのが遅かったわね?」

「はい……でもすいません。今回はスライム30体倒せなくて、クエストを達成できませんでした……」

「へぇ、珍しいわね」


 美人のお姉さんの前だからか、ゲイルがいつもとはうって変わって丁寧に話す。あれ、こいつら30体倒しきれてなかったのか。本当に雑魚は放置して奥へと潜っていったんだな。

 帰り道は俺のせいでスライム全然いなかったし、まぁクエストを達成できてないのは仕方ないか。


「皆には言い忘れてたけど、クエストなら達成できてるよ? ほいこれ」


 酷い目に遭ってその上クエストも達成できないのでは流石に可哀想なので、俺は珍しく彼らに気を遣ってポケットの中身を取り出した。


 ポケットから溢れ出てきたのは、約250体のスライムの死骸。思っていたより勢いよく飛び出したそれらは、一瞬にして冒険者ギルドの床を埋め尽くした。


「う、嘘ぉ!? この数のスライムは一体なんなの!? あれ、というかあそこにいるのマスタースライムじゃない!?」

「そんな、マスタースライムなんて上級の冒険者でも苦戦する相手だろ? 十歳の子供に倒せるわけがない!」

「でもあそこにあるの、そうですよね……」


 さっきまで俺を馬鹿にしていたパーティーメンバーは呆然とし、周りの大人達は逆に混乱しながら騒ぎ立てる。あれー、クエストさえ達成させてくれれば、それで良かったのになぁ……。


「やっぱり、夢じゃなかったんだ……」


 だがその様子を見ていたニアだけは、混乱するでもなく何故か顔を赤らめながら俺を見ているのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.5

【弓術】lv.195

【散弓術】lv.33

【高速装填】lv.53

【強制装填】lv.8

【技能装填】lv.15

【背後射撃】lv.18

【近接射撃】lv.24

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.70

【空握】lv.5

【投擲許容量増加】lv.15

【索敵】lv.98

【索敵範囲拡大】lv.17

【砥ぎ師】v.47

【足払い】lv.10

【回し蹴り】lv.14

【風転撃】lv.8

【浮遊】lv.30

【単独撃破】lv.3

【並行作業】lv.38

【鷹の目】lv.20

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.31

【創造】lv.1

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