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ボス=経験値、です

なんと、六話にして日間ランキング288位に到達しました!ブックマークや評価などしてくださった方、本当に有り難うございました!


またもう一つ報告ですが、二話目を三話目に移動して二話目を新規に書き上げました。それに伴い、習得スキルも一部変更しました!

 ニアを体に入れて操っているマスタースライムは、弾かれた剣を拾うために天井を伝って移動していった。


 俺は上半身だけ出ているニアに当たらないよう気を付けながら、魔物の背に矢を放ちまくる。


「レイン君! あのスライム、物理攻撃が殆ど効いてなさそうだよ!?」

「うん、分かってる。でも殆ど効かないだけなら、俺の【弓術】スキルで十分にダメージを与えられるから」


 スライム殺戮でレベルを上げまくった【弓術】スキルの前では、物理攻撃が半減されてもそれなりにダメージを与えられた。剣の方へと向かうマスタースライムの体には既に数十本の矢が刺さっていて、歩みも苦しそうになっている。


「そして何より、強敵相手だとスキルレベルが上がりやすいからね」


 俺は目にも留まらぬ速さで弓を番えて射っている内に、関連したスキルのレベルがどんどん上がっているのを感じていた。


 この調子なら、とうとうあれを覚えられる。俺は興奮しながら、新たなスキルの習得を自覚した。


「よし来た! 【高速装填】lv.50で……純派生スキル、【強制装填】習得! それに伴って、条件を満たしたから【技能装填】を習得だ!」


 【強制装填】の習得と、スキルレベルの総計が500を超えていること。この条件を満たした事で、俺は念願の【技能装填】スキルを手に入れた。

 これが使いこなせてこその射手だ。ようやくやりたいことが出来るようになった俺は、意気揚々とそのスキルを使う。


「【技能装填】・【風転撃】!」


 俺は番えていた矢に【風転撃】スキルの効果を装填し、ニアが拾おうとしている剣に向かって放つ。すると矢の当たった剣は風の力で吹っ飛んで、またマスタースライムから遠ざかった。


 【技能装填】というのは、どんな物にでもスキルの効果を1つだけ付与できる効果なのだ!


「ジュウウウウウウウウッ!」


 執拗な嫌がらせを受けたマスタースライムは、とうとう剣を拾う事を諦めて俺へと向かってきた。


 恐らく【洗脳】もかなり進み、マスタースライムはニアのスキルも利用できるようになっている頃だろう。ニアの体に矢を刺さないように気を遣えば、さっきまでなら不利になっていたかもしれない。でも、今なら問題なかった。


「打撃技が通じないなら、それ以外の技を使えば良いだけだ。なぁスフィ、ゲイルは【毒の体】とかいう触るだけで相手を毒にするスキルをセットしてたよね?」

「う、うん。そうだと思う。でもゲイル君は、もう倒れちゃってるよ?」

「それは問題ないさ。【強制装填】」


 俺は先ほど覚えた【強制装填】という技を使って、地面に倒れていたパーティーメンバーの体を弓に番えた。【強制装填】というのは、その名の通りどんな物でも弓などに装填できるスキルなのである。


 パーティーメンバーを弓につがえる、という新たな言葉を生み出しつつも、俺は平然と他のスキルも使う。


「そんで、【技能装填】・【回し蹴り】!」


 矢の代わりにゲイルを放った瞬間、【技能装填】により回し蹴りの効果を付与されたゲイルの体は、くるくる回りながらマスタースライムの方向へと吹っ飛んでいった。


「行っけー! ゲイルぅっ!」

「レイン君何やってんのおおおおおお!?」


 操られているニアはスキルを使ってその矢を弾こうとしたが、ゲイルの【回し蹴り】に腕を弾かれて不発になった。


 吹っ飛んでいったゲイルの体は、マスタースライムの体に着弾すると【毒の体】でダメージを与える。これまで与えていたダメージや着弾時の衝撃もあり、マスタースライムはぐったりと項垂れた。


「わっ! やり方はちょっとアレだったけど、あの大きなスライムもう倒せそうだね!? スキルって、鍛えたらこんな事も出来るんだ……」

「あぁ、そうだよ。でも、ちょっとまずいことになった」

「まずいこと?」


 てっきり今の衝撃でニアは目覚めてくれると思っていたが、まだ幼いからか未だ【洗脳】から抜けられずにいた。


 【洗脳】を解かない内にマスタースライムを殺してしまうと、【洗脳】を受けた獲物まで死んでしまう。ニアに強い刺激を与えて【洗脳】を解かなければ、人質をとられているも同然なのだ。


「ニアを傷つけずに解放するには……。はぁ、やっぱあれしかないよなぁ」

「あれって?」

「【愛撫】だよ」


 小首を傾げるスフィに隠さず言うと、さっき気持ちよくなったのを思い出したのかスフィは一気に顔を赤くした。


 でもまぁ、人命救助のためだ。やるしかない。


「【強制装填】・【技能装填】・【浮遊】!」


 俺は倒れているパーティーメンバーの持っていた盾を弓に番え、【浮遊】の効果を付与してから放つ。


 飛んできた浮く盾をニアがスキルで叩き落とそうとしている間に、俺は盾の裏から全速力で走って彼女に近付いた。


「恨むなよ……【愛撫】!」

「あふっ、……あんっ!」


 服が溶かされて全裸になった少女の体を、流石に申し訳なさ全開で撫で回す。すると俺の技術が上手いのかニアが敏感なのか、【愛撫】のレベルが信じられない速度で上がっていった。この一瞬で10上がるとか嘘だろ!?


「あっ、あっ……ふぅ……んぅ……【高速拳】」

「こっちには盾があるから当たらないよ」


 息を荒らげながらも、ニアがマスタースライムの意思に従ってスキルを放ってくる。


 両手で撫で回しているので本来なら防ぐのも大変だったろうけど、盾を良い位置に浮かせていたので少しずれるだけで攻撃を防げた。これからも【技能装填】の良い使い方を模索していきたいところだ。


「そして、これで……終わりだぁ!」

「いや、あっ、あぁぁぁぁぁっ!」


 限界まで撫で回していた俺は、最後の一撫ででとうとうニアの【洗脳】を解ききった。マスタースライムにとって異物になった彼女が、ひとりでにスライムの体から出てくる。

 全裸でベトベトの少女は、マジで事後感が半端ない。記憶に残ってない事を祈る。


「スフィにもこんなとこ見せたくなかったしな……。許さないぞマスタースライムっ! 【近接射撃】!」


 えらい現場を見てちょっと興奮しているスフィを横目で見てから、俺はマスタースライムの頭に全力の一撃を撃ち込む。


 俺の技術と激情の詰め込まれたその矢は、とうとう【物理半減】スキルを持つスライムの脳を貫通した。同時に、強敵を倒したためかとうとう職業レベルが射手lv.5になる!


 素直に喜んでしまうゲーマーな俺がいるけど、まぁ今は喜んでる場合じゃない。この場をなんとかしないとな……。

 俺は強敵を倒した達成感に包まれながら、弓で飛ばしたり撫で回したりしてしまったパーティーメンバー達の体を見遣るのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.5

【弓術】lv.195

【散弓術】lv.33

【高速装填】lv.53

【強制装填】lv.8

【技能装填】lv.15

【背後射撃】lv.18

【近接射撃】lv.24

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.70

【空握】lv.5

【投擲許容量増加】lv.15

【索敵】lv.98

【索敵範囲拡大】lv.17

【砥ぎ師】v.47

【足払い】lv.10

【回し蹴り】lv.14

【風転撃】lv.8

【浮遊】lv.30

【単独撃破】lv.3

【並行作業】lv.38

【鷹の目】lv.20

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.31

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