表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/53

マスタースライム

ちょっと奮発して、本日三本目の投稿です!

 【索敵】スキルは派生スキルがない限り魔物しか探知できないため、ニア達は目視で探すしかなかった。


 とはいえ、今の俺は歩くだけで周りの敵が死んでいくような状態なので危険は特にない。ひたすら全方位に矢を放ち、矢を拾っては放ち、スフィが拾ってくれたスライムの死骸をポケットに詰めていた。スキルレベルがぐんぐんあがるわ。


「ニアちゃーん、ファムちゃーん、どこー? やっぱりもう帰ったのかな?」

「メインの道は一本だけだから、そんなことはないと思うよ? グランー、ゲイルー、どこ行ったー? クエストはもう達成したぞぉ、単純計算で8周分くらいー」


 俺とスフィはパーティーの皆に呼びかけながら、どんどん鉱山の奥へ向かっていく。


 いくら子供の中で実力のあるパーティーだからって、ニア達は前へ行きすぎである。まぁ奥にいるレベルの高いスライムと戦ってレベルを上げたいって気概は結構だけど、射手がいなくても無事で進めるほどダンジョンの奥は簡単じゃない。


「足手まといな俺がいないからいつもより楽に進める筈、とか思ってるんだろうなぁ……」

「わ、私、レイン君は足手まといなんかじゃないと思うよ? いっつも後ろからサポートしてくれてたし、それに、今はこんなに強いし!」


 俺の呆れ声を気にしたのか、並んで歩くスフィが頑張って俺を慰めてくれる。

 この子は前世の記憶を取り戻す前の俺も、ちゃんと見てくれていたのか。それが分かると、かなり感動してしまった。え、この子天使ですか?


 ニア達の評価など今は本気で気にしていたわけでもなかったが、俺はスフィに心から感謝した。


「有難うな、スフィ。すごく元気出たよ、もう大丈夫だ」

「んっ……レイン、君……」


 さっきとは違って意識的にスフィの頭を撫でると、彼女はなついた子犬のように目を細める。この髪の触り心地を知ってしまうと撫でるの我慢できないなぁなんて調子に乗って撫で回していると、不意に新たなスキルを習得した。


・【愛撫】:対象を撫でることで気持ち良くする。レベル上昇につき快感が増す。


「あれ? 別に何か訓練していたつもりは……え、【愛撫】!? 何このスキル知らないんだけど!?」

「んぅ、どうしたのレイン君?」


 どうやら俺がスフィの頭を撫でて一定値以上喜ばせたから習得したスキルなのだろうが、ゲーム内では見た事のないスキルだった。まぁゲーム内ではプレイヤーを撫でるとか禁止されてたから当たり前だが、どうやらこの世界限定のスキルもあるらしい。


「だからといって【愛撫】はないだろ【愛撫】は……。間違っちゃないけど、語感がなんかいやらしいわ」

「いやらしい? ん、そういえば私、さっきちょっといやらしい気持ちに……」

「ちょっ落ち着いてスフィさん! それは錯覚! 錯覚だから!!!」


 なんかスフィが顔を上気させているが、流石にこれ以上はヤバい。いや、十歳と九歳なら特に問題はない、のか……? でもダンジョンの中だし……。


 俺は悶々とくだらない事を考えながらも、弓を射る手は休めずマシーンのようにスライムを殺戮していく。すると【愛撫】の影響が抜けてきたスフィが、突然大声を出した。


「みんな!? ここで何があったの!?」


 彼女の叫び声を聞いて前方に目をやると、先へ行ったパーティーメンバー三人が地面に倒れ伏していた。

 言わんこっちゃない……が、そんな事言ってる場合でもなかった。先へ行った四人の内、ニアだけが見当たらないのである。


「一体何にやられたんだ? ただの高レベルスライムに、ここまでやられるとは思わないし……。【索敵】」


 俺は【索敵】スキルを使ったが、頭の中に浮かぶ地図のどこにも反応はなかった。だが、レベルが上がりまくった【索敵】の範囲外にそう素早く逃げられるとは思わない。ならば。


「上かっ!」


 俺は咄嗟に上を向き、そこに案の定敵の姿を見かけた。鉱山洞窟の天井に張り付いたジェル状のそれは、脳内地図上で俺を示す点と重なっていたからなかなか気付けなかったのだ。


 頭上にいたのはただのスライムではなく、獲物を洗脳させるスキルを持つマスタースライム。その魔物は体内にニアを取り込み、ちょうど【洗脳】スキルを使っていたところだった。


「シャアアアアアアアッ!」


 俺に気付かれたマスタースライムが、天井から威嚇するような鳴き声を発する。するとスライムの体の中から服を溶かされたニアの上半身が飛び出てきて、彼女は虚ろな瞳のまま眼下の俺に剣を振るった。


「レイン君っ!」

「心配するなスフィ。今の俺なら大丈夫だ」


 だが振るわれた剣は、俺が手で叩くと彼方へ飛んで行った。スキルレベルを一気に上げた俺の【投擲】スキルは、ゲーム時代の経験もあって今や「掴んでないものでも投げられる」境地に達していたのだ。意識のない剣士が振るった剣くらい、簡単に弾ける。


 無茶な事をしたからか、【投擲】のレベルが一気に70まで上がった。


「レイン君、もう何でもアリなの……!?」

「まだまだ。これくらい、センスある奴ならPIO始めてから四日で出来る。本当のパワーインフレはここからさ」


 俺はニアを助ける事を第一に考えつつも、スキルレベルを一気に上げてくれそうな敵を見てニヤリと笑うのであった。



レイン・エドワーズ

射手lv.4

【弓術】lv.184

【散弓術】lv.33

【高速装填】lv.40

【背後射撃】lv.18

【近接射撃】lv.23

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.70

【空握】lv.5

【投擲許容量増加】lv.15

【索敵】lv.98

【索敵範囲拡大】lv.17

【砥ぎ師】v.47

【足払い】lv.10

【回し蹴り】lv.7

【風転撃】lv.5

【浮遊】lv.1

【単独撃破】lv.3

【並行作業】lv.38

【鷹の目】lv.20

【消耗品再利用】lv.22

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.5

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ