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空中部隊vs空中要塞 ~成熟した魔物達を添えて~

 それは、とある昼下がりのこと。


「あ、魔王軍幹部いたー」


 俺達がおやつを食べながら空中要塞でプカプカ浮かんでいると、ハイクリスタル製の窓から魔王軍幹部と思しき影を見かけた。


 要塞と同じくらいのサイズは有りそうな、金色の巨鳥。空中部隊の手先が来た時から警戒はしていたが、空中要塞を作ったことでようやく空を探しやすくなったのだ。


「重大事の割に、あんた平然としすぎでしょ……」

「そんな事言ってぇ、ニアの方こそあまり怖がってないだろ?」


 やたら冷静に突っ込んでくるニアにそう尋ねると、彼女はぐっと言葉に詰まったような顔をした。それから両手を顔に当て、いきなり呻き始める。


「嫌ぁ……。これ以上常識を失っちゃいけないって思ってるのに、レインと一緒にいると魔王軍幹部と雑魚の違いが分からなくなっちゃってるのぉ!」


 ふふふ、やはりそうか。「あ、なんだ。また魔王軍幹部か」みたいな顔になってたもんな。思ってた以上にPIOに染まってくれたようで嬉しいよ。


 俺が世界樹の木の実ジュースを飲みながらニアの成長を喜んでいると、空に浮かんでいた魔王軍幹部がこちらに向かってきた。


「レイン君。魔王軍幹部が来るよっ! すごい速さ!」

「確かに速いな……。街に戻って仲間の皆に知らせようかと思ってたけど、空中要塞で逃げ切れないならここで潰した方が良さそうか」

「街の皆じゃ、魔物軍団にもついてこれないしね……」


 俺が覚悟を決めると、スフィが割と辛辣な事を言った。……確かに、街の皆を呼ぶとスフィの負担が増すだけだというのは前回のデュラハン戦で感じていたけど。


 スフィとニアに渡した装備は評点会でも入賞し、俺は自信を持って彼女達に持たせる事が出来た。ならば守り切れるかと、俺は覚悟を決める。


「よし、全速前進だ! 空中要塞リバースタワー、臨戦態勢!」


 俺が叫ぶと空中要塞にいる魔物達が伝令を伝えていき、操縦班のリザードマンや狙撃班のスケルトンアーチャー達がせわしなく動き始めた。


 魔王軍幹部とその部下は空中部隊を名乗るだけあってあっという間に要塞の近辺までやってきたが、空中要塞をそう簡単に落とせると思うなよ?


「【裁く系の雷】発射! 【技能装填】・【回し蹴り】!」


 俺は空中要塞の四方から雷を出させつつ、【技能装填】で空中要塞を駒のように回す。すると高速で回ったことで雷の死角は一気に減り、大量の魔物達が雷に焼かれていった。


 雷を避けてなんとか俺達に接近できた魔物達も、空中要塞に回し蹴りされて死んでいく。空中要塞に回し蹴りされるとか、なかなか貴重な経験だよな。


「内側のブリッジは要塞の中で浮かばせてあるから、俺達が重圧で死ぬこともない」

「最初からぶん回すこと前提で要塞を設計してたってこと!? あんた何を想定してたの!?」


 ニアが的確な突っ込みを入れてくれたので、ちょっと満足。魔物カスタムと武器作りだけは拘りすぎちゃうからね、俺。


「左翼、敵の狙撃を受けました!」

「よし。修繕班のメタルスパイダーは復旧を急げ! それに伴い、ワーウルフ達は空いた穴から攻撃を加えるんだ!」


 各部の報告や俺の命令は瞬時に要塞中を行き渡り、要塞の空いた穴から狙撃部隊が敵を狙い始める。

 特にワーウルフの遠吠えは威力が凄まじく、アオーンと一声鳴くだけでワイバーンの群れが肉塊と化した。


 穴から狙えない位置にいる敵も空中を泳げるようになったマリンドラゴンが攻撃し、相手の戦力は俺がジュースを飲み終わる前に目減りしていく。


 魔王軍幹部である巨鳥だけは見た目に似合わぬ俊敏さで攻撃を避け続けていたが……こんな時に頼りになるのは、もちろんあいつだ。


「スライム、発進しろ!」

「フィシャアアアアアアアッ!」


 俺がスライムに命令すると、その命令を伝えられたスライムが……空中要塞からの発着口から勢いよく跳躍した。


 普通に考えれば、地面に落下して通常のスライムより無惨な姿になるしかない。だが俺のせいで色々な経験を得続けてきたあのスライムは、【従魔覚醒】を使う度に常識を超えてくるのだ!


「フィシャアアアアアアアアッ!」


 掛け声と共に、スライムが足元へと光線を放つ。すると足元にあった空気が……石となった。


 この新たに覚えた【外気石化】を使って上空へと至る曲線状の通路を形作ると、何かの拍子に背中から生えたスラスターを噴かす。そして石の道が地上へと落ちていく前に、スラスターの力を借りて巨鳥へと接近した。


「あのスライム、どんどん化け物じみてきてない? 私の鎧より速く滑走してる気がするんだけど……」

「ああ。ちょっと俺でも育てるの怖くなってきたんだよな」

「駄目じゃん!?」


 そんなやり取りもあったが、スライムは思いの他巨鳥を倒しきれなかった。


 空中に何本も石の道を作って巨鳥の周りを囲み、聖大剣で攻撃しているが……一向にダメージを受けた気配がない。


「仕方ない、俺も出よう」


 そう言って、遠距離攻撃手段のないスフィとニアは指揮室に置いたまま俺は発着口へと出向いた。


 レベルの高い鳥系魔物は、矢だけでなく弓による攻撃を軽減することがある。だから俺はこの時のために【遠隔剣術】から純派生させておいた、【剣域拡張】というスキルで遠くから剣による攻撃をしかけた。


「【剣域拡張】・【空腕】・【剣術】!」


 【空腕】で四本の腕を増やし、六本の跳躍剣で遠くから攻撃を加える。


 空中要塞の中で剣を振ってるだけなのに相手が傷付いていく様を見るのは、ちょっと爽快感があった。


「ググ……!」


 こちらによる攻撃が相当きつかったのか、巨鳥は苦し紛れで俺の方へと向かってくる。しかしこれで……終わりだ。


「【閃光剣】」


 相手にも見えぬほど速い輝く剣撃を浴びせ、巨鳥の首が落ちる。首を失った体だけは要塞に入ってきたが、なんとかスフィ達を巻き込まずに魔王軍幹部を撃破することが出来た。


 強さの割に経験値効率が良かったのか、剣士レベルも一気に9まで上がっている。それにこいつを倒した事で【不死狩り】スキルも手に入れたし、順風満帆……。


 は? 不死狩り?


「ちょっと待て、まさかっ!」

「クルルルルルルルルルルル……!」


 巨鳥は大きく鳴くと、その体を多色の炎に包んだ。


 その炎は頭を亡くした首の先まで包み込み、その炎が消えると元の頭が戻っていた。


「【蒼炎】」


 完全に油断していた俺は隣から炎の攻撃をまともに喰らい、要塞の奥に吹っ飛ばされる。


 どうやら目の前にいる魔王軍幹部は、不死鳥フェニックスだったらしい。



レイン・エドワーズ

射手lv.6/剣士lv.5/調教士lv.6/魔人lv.2

【弓術】lv.281

【散弓術】lv.102

【爆散弓術】lv.4

【千弓術】lv.49

【高速装填】lv.57

【自動装填】lv.30

【強制装填】lv.46

【技能装填】lv.39

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.19

【中継矢】lv.12

【近接射撃】lv.25

【剣術】lv.128

【遠隔剣術】lv.50

【剣域拡張】lv.17

【閃光剣】lv.5

【剣防御】lv.8

【瞬突】lv.15

【回転斬り】lv.38

【加重剣】lv.2

【大剣術】lv.4

【超大剣術】lv.5

【調教】lv.41

【魔物保有数向上】lv.48

【従魔覚醒】lv.37

【従魔活性化】lv.42

【魔人化】lv.15


【緊急回避】lv.38

【投擲】lv.93

【空握】lv.51

【空腕】lv.17

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.135

【索敵範囲拡大】lv.31

【弱点捕捉】lv.27

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.39

【風転撃】lv.48

【浮遊】lv.58

【浮動】lv.1

【単独撃破】lv.34

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.46

【愛撫】lv.72

【高速振動】lv.37

【創造】lv.98

【素材調合】lv.42

【魔王の血脈】lv.49

【狙撃】lv.27

【頑丈】lv.18

【一極集中】lv.10

【熱耐性】lv.3

【魔物合成】lv.43

【俊足】lv.9

【威圧】lv.32

【夜の声】lv.5

【魔力流】lv.12

【恐怖吸収】lv.48

【闇属性攻撃力上昇】lv.2

【水泳】lv.12

【剛腕】lv.43

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