表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/53

海竜、ちょっと陸に上がってくれ

「すいません、船よりマリンドラゴンの方が早そうなので……お先に帰らせていただいてよろしいでしょうか?」

「うぇっ、いいいいでででですけど!?」


 マリンドラゴンを捕まえた俺が船に戻ってそう聞くと、船長は異様なくらい震えながら頷いてくれた。


 寒い中ずっと待ちぼうけてればそりゃそうなるよなとか思いながら、俺はマリンドラゴンを街に向かって走らせる。すると隣にあった筈の船は一瞬で見えなくなり、一時間以上かけて出たはずの街がもう遠くに見えてきた。


 流石マリンドラゴン。海の中ではめちゃくちゃ速いな。


「何で私達、マリンドラゴンの背中に乗ってるんだっけ? これは夢……?」

「レイン君、とうとうドラゴンまで仲間にしちゃうなんてすごいよっ! まだ調教士になって数日なのに、もう最強の調教士なんじゃない!?」

「あっ……」


 スフィが竜に感激しながら俺に抱きつくと、ニアがちょっと寂しそうな声を出した。風で寒いし、俺を暖炉代わりに使いたいのかもしれない。


「いやいや、最強の調教士にはとてもじゃないけど及ばないよ。俺はまだ病原菌を使役できないし、何よりスライムでさえ輝かないんだぜ?」

「レインは何語を喋ってるの今?」


 俺は調教士の奥深さを語ったが、ニアには一切理解されなかった。悲しい。


 まぁ上流の調教士はPIO民にすら理解されないニッチな世界で生きてたから、正直仕方ないね。調教士ってほら、美学だし。


 ライバルだった調教士と切磋琢磨した時代を懐かしみながら、俺はニアを手招きした。すると嬉しそうにトコトコとマリンドラゴンの背を歩いてきて、俺にぴとっとくっついてくる。二人とも体温高くて俺も助かるわ。


「キュオオオオオオオッ!」


 そうして皆で暖を取り合っていると、唐突にマリンドラゴンが大声を出した。


 何事かと思ってマリンドラゴンの前方を見遣ると、何故か港から狙撃特化装備をしている射手の集団が見える。【鷹の目】で確認すると、彼らはどう見てもこちらを狙っていた!


「な、なんであの人達こっちを狙ってるんだ!? 俺達が何をしたっていうんだよ!?」

「いやどう考えてもこの竜が原因よレインっ! 私達、どこからどう見てもドラゴンに連れ去られた子供達だから!」


 そうなの?


「それは……なんでドラゴンを使役した調教士だって発想に繋がらないんだ?」

「ドラゴンを捕まえた人なんて、いるわけないからだよぅ!」


 スフィが叫ぶと同時、港の方から無数の矢が飛んできた。狙いは正確で、俺達には当たらないよう配慮されている。


 でももちろん、そう易々とマリンドラゴンを傷つけさせるわけにはいかない。


「【調教】・【従魔活性化】・【技能装填】・【過剰砥刃】!」


 俺が従魔強化系のスキルを使うとマリンドラゴンは機敏さを増し、【水流撃】を放ちながら前後左右に超高速で移動することで水の壁を張った。直進してきた弓は、水の壁に当たって全て撃ち落とされる。


 【追尾矢】が使われた鉄の矢だけは数本当たってしまったが、マリンドラゴンに【過剰砥刃】を付与していたので触れた瞬間に鉄が溶ける。【追尾矢】を使うと矢の威力下がるから、自力で当てた方がいいよ?


「おいなんだあの竜……! 竜って動きが大雑把な事だけが弱点なのに、一流の剣士みたいな動きしてたぞ!?」

「てかあの人質の子供、竜に協力してなかったか!? してたよなぁ!?」


 攻撃を防がれた射手達が動揺しまくっている内に、俺達は港へと着くことが出来た。ちょっと誤解を解かなきゃな。


「あの、警備員さんご安心下さい。このドラゴンは俺の従魔ですから」

「はあああああああ!?」


 俺がマリンドラゴンについて説明すると、港の警備員達は全員が顔を引き攣らせながら叫んだ。


「じょ、冗談いっちゃいけないよ君。ドラゴンなんて仲間に出来る筈が……」

「マリンドラゴン、【水流撃】頼む」

「ギュルルル!」


 俺がマリンドラゴンに頼むと、嬉しそうに叫んで上空に向かって【水流撃】を放った。港に虹がかかったねぇ。


「う、嘘だ……。こんな子供にドラゴンが従う、だと?」

「馬鹿な……そんなこと出来るなら調教士最強じゃん……」

「転職しよっかな……」


 マリンドラゴンを見た警備員達は、魂が抜けたように呟いていた。


 しかしスフィや警備員でさえドラゴンを使役した調教士の存在を把握してないなんて、いくらニッチな職業だからって調教士の扱いが悪すぎるな。今の俺程度の調教士だって、頑張れば竜くらい普通に捕まえられるというのに。


「ってことで、入港しますね」

「いや何言ってんの!?」

「え、あっ。そっか、この港って竜を船扱いしてないんですね?」

「当たり前だよねぇ!?」


 えー、竜も港に入れられないとか調教士の人権なさすぎるなこの世界。


 【強制収納】で入れるには大きすぎるし、強行突破して一旦湖にでもいてもらうか。


「【強制装填】・【千弓術】!」


 俺は港に降りると海の水を大量に弓に装填し、それを上空へと放って遠くにある湖へと飛ばした。

 放った水が湖に落ち切る前に、強化しまくったマリンドラゴンが【極泳】というスキルで滝登りするように水を辿り、空中で弧を描いて湖へと向かって行く。


 湖竜になっちゃうけど我慢してね。


「射手って何だっけ……?」

「弓を使う職業の事ですよ?」


 警備員が弓を構えながら呆然と言ったので、俺は丁寧に教えてあげるのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.6/剣士lv.5/調教士lv.4/魔人lv.2

【弓術】lv.271

【散弓術】lv.102

【爆散弓術】lv.4

【千弓術】lv.46

【高速装填】lv.57

【自動装填】lv.30

【強制装填】lv.46

【技能装填】lv.39

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.19

【中継矢】lv.6

【近接射撃】lv.25

【剣術】lv.123

【遠隔剣術】lv.35

【閃光剣】lv.1

【剣防御】lv.8

【瞬突】lv.15

【回転斬り】lv.38

【加重剣】lv.2

【大剣術】lv.4

【超大剣術】lv.5

【調教】lv.123

【魔物保有数向上】lv.31

【従魔覚醒】lv.3

【従魔活性化】lv.25

【魔人化】lv.15


【緊急回避】lv.38

【投擲】lv.93

【空握】lv.51

【空腕】lv.12

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.112

【索敵範囲拡大】lv.31

【弱点捕捉】lv.27

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.36

【風転撃】lv.48

【浮遊】lv.47

【単独撃破】lv.34

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.46

【愛撫】lv.72

【高速振動】lv.37

【創造】lv.49

【魔王の血脈】lv.48

【狙撃】lv.27

【頑丈】lv.18

【一極集中】lv.5

【熱耐性】lv.3

【魔物合成】lv.34

【俊足】lv.9

【威圧】lv.32

【夜の声】lv.5

【魔力流】lv.12

【恐怖吸収】lv.46

【闇属性攻撃力上昇】lv.2

【水泳】lv.12

【剛腕】lv.23

少しでも面白いと思っていただけたら、下からブックマーク登録やポイント評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ