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侍魂を見せてみた

 魔王軍幹部が街に着く前に決着をつけるため、緊急クエストの参加者は何台もの馬車に乗って報告のあった場所へと出向いた。


 俺達は十人乗りの馬車に乗っており、そこにはアーニャとネネの姿もあった。


「レイン君達が同じ馬車に乗ってくれて良かったよぉ……! 今から危険な場所に行くと思うと、どうしても心細いから……」

「本当は、レイン君達は街に残れた方が良かったんだろうけどね……。それでも君達がいないと、私きっと緊張で吐いてた」


 アーニャとネネが、心底ほっとしたような顔で俺達を迎えてくれる。緊張していたのはこちらも同じなので、仲間がいてくれてかなり助かった。


「レイン君は射手だから、後ろの方から攻撃するんだよね? 前は私達に任せて、援護射撃お願いねっ!」

「あ、いえ。俺は剣士なんで前行きますよ。一緒に頑張りましょう」

「え、剣士!? これまで弓バンバン撃っといて何言ってんの!?」

「まぁ射手でもありますけど」


 混乱したお姉さん達に昨日起こった事を説明しているだけで、馬車は魔王軍幹部のいる近辺まで着いてしまった。

 職業が増えたよってだけの話なのに、みんな理解に時間がかかるもんだなぁ……。


 話している内に緊張は解れてきたが、それでも俺の脳裏には泣き崩れるナーシャさんの姿がちらついている。もうだれも泣かせたくないと思うと、自然と体が引き締まるのだった。




 ミナ街を発ってから、一時間後。魔王軍の一味が目視できる位置まで来ると、冒険者達は地上に下りて陣形を整えた。


「ふはははは、無謀にも人間どもが立ちふさがってきおったわ!」

「あれだけの数で我々を止められると思ってるんでしょうかねぇ? 滑稽でなりません」


 ミナ街のランクD以上をかき集めた、冒険者集団。その数は優に百を越していたが、魔王軍達が恐れた様子はなかった。


 彼らは鯨のような大型の魔物の上に乗り、ミナ街のある方向に向かって草原を走っていたのだ。

 魔王軍を乗せて走るその魔物は、グランドケートスという水陸両用の大型魔物。その皮膚は並の装甲より固い上、十匹も連れてきたのだから余裕にもなるだろう。魔王軍幹部と思しきスケルトンとその側近は、グランドケートスの上で高みの見物を決め込んでいた。


「ふふふ。矮小なる人間どもよ、剣など持ってどう我々に対処するつもりなのだ?」

「攻撃の当たらぬ場所から人間どもを見下ろすのは楽しいですなぁ! ねぇジャグ様ぁ――ぁばぅ!?」


 その様子があまりに隙だらけに見えたので【音速矢】で様子を伺ったが……演技とかじゃなかったようで、普通に側近を倒せた。遠くの相手に攻撃を当てられたので、【狙撃】を習得する。


「ミ、ミータスゥゥゥ!? 嘘だろっ! まだ戦いも始まってなかったのに、いきなり敵の側近を殺す奴がいるか!?」


 余裕ぶっこいてたのが悪いと思うが、側近が殺された魔王軍幹部は大声で喚き立てる。それから仲間を鼓舞するためなのか、わざわざ名乗りを上げた。


「もう許さんぞ……。私はブラッディスケルトンのジャグ! 魔王軍幹部の名に賭けて、貴様らを一人残らずぶっ殺してやる!」


 その名の通り深紅に染まっている骸骨の号令で、グランドケートスが一気に加速を始めた。こちらの陣形目掛けて、凄いスピードで近寄ってくる。


「すげぇ、あの子本当に当てやがった……」

「最初の攻撃は任せろって言ってたけど、まさかそれで相手の側近倒すとは……」


 だが俺は事前に相手を狙撃すると冒険者達に伝えてあったので、ここまでは予定通りだ。俺が本当に攻撃を当てると思ってた人は少なかったようだが、気にせず次の行動に移る。


「ナーシャさんに街を守ると約束しましたからね、これくらいは当然です。じゃあ突入作戦を始めますよ! 【強制装填】・【散弓術】!」


 次の行動。それは、グランドケートス上部への突入作戦だ。


 俺は集まった冒険者達の中で最も近接戦闘力に長けた人を三人集め、彼らを【強制装填】でムリヤリ矢に番えた。そしてレベルの高くなった【弓術】スキルを使い、一気に放つ!


「うおおおおおお!? なんか人が飛んできたぞぉぉぉ!?」

「多少の矢なら弾けるけど、こんなの想定出来るかよっ! 避けられねぇ――!?」


 ケートスの上には攻撃できないと思われていた剣士達が簡単にケートス上部へと乗り込んできたので、魔王軍は一瞬であわてふためく。だが俺には【高速装填】があるため、魔王軍に落ち着く間も与えず冒険者を送り込み続けた。


 この作戦を冒険者の皆に伝えた時はパーティー以外の誰も俺を信じてくれなかったが、グランドケートス相手にはこれしかなかったので俺に頼ってくれたのである。【音速矢】で実力を示したのも良かったのかもしれない。


「レインのやつ、ほんと無茶苦茶するわね……」

「でも私達だって、スキルの練習したから負けてられないよ! そうだよね、ニアちゃん?」

「あんた、レインと仲良くなってからちょっと生き生きし始めたわよね」

「ひゅえっ!? いや別に、そんなことぉ……ないと思うよぉ……?」


 やる気を出してくれているスフィとニアには、俺が人を送り込んでいる間の護衛を頼んでいた。魔王軍も馬鹿ではないので人間カタパルトである俺を狙撃してくるが、スフィがスキルで守ってくれたりニアが飛んできた矢を剣で切り落としたりしてくれた。凄い芸当だ。


 昨日の訓練の成果を実感したのか、スフィとニアは戦いながらも満足げな笑みを浮かべている。昨日の訓練が役に立ってくれたようで、俺も嬉しい。


 そうして俺が送り込んだ冒険者達は先頭にいたグランドケートスを討伐し、後ろのグランドケートスの進行を阻んでくれた。


「うし……取り敢えず「事前準備」は終わったな。これでようやく、俺も剣士として戦える」


 俺はそう言いながら、【強制装填】を使って三本の「剣」を弓に番えた。


「レイン君、それで剣士として戦ってるって言うのは流石に無理があるんじゃない……?」


 スキル発動までに時間がかかる妨害術師のネネも俺達と一緒に地上に残っていたが、どうやら俺の戦闘スタイルに文句があるようだった。


 でも俺は、断固としてこれが剣士の戦い方だと言い張る! 矢の代わりに剣を使うと【弓術】スキルと【剣術】スキルの攻撃力が加算されるから、攻撃力がかなり違うのだ。


「サムライダマシイを喰らえっ! 【散弓術】……【弓術】・【剣術】っ!」


 兼業の強みをこれでもかと活かし、俺は剣の矢を敵に向かって降り注がせる。するとさっきから人を飛ばしまくっていた甲斐もあって、【散弓術】と【高速装填】が純派生した。


「純派生スキル……【千弓術】・【自動装填】!」


 【散弓術】の派生スキル【千弓術】は、弓に矢を何本でも装填できるようになるスキルだ。使いこなすために訓練はいるが……その訓練は、転生前にもう終えているっ!


 俺は予備の武器として馬車に詰め込んであった鉄の剣や空気の剣を数十本ほど弓に番え、物理法則すら無視したスキルの力で一斉に解き放った!


「うわあああああああああ! 剣の雨が降って来たぞおおおおお!」


 味方の冒険者がグランドケートスを止めてくれたお陰で、狙いを正確に絞らずとも敵の大軍に攻撃出来る。その間にも【自動装填】で馬車から剣が何本も俺の弓に集まってくるので、それをまた一斉に放っていった。


 しかも【自動装填】のレベルが上がったから、放った剣までこっちに戻ってくるようになった。こうなったら永久機関だ。


「なんかあの小僧と空の間で剣がグルグル回ってるぞ!?」

「あいつだ、あいつが剣の雨の元凶だ! あいつを殺せぇっ!」


 前線に行った冒険者の相手に必死だった魔王軍が、とうとう俺を倒す事に集中してこっちに向かってきた。


 でも少し遅いな。魔王軍幹部なんていう強敵と戦わせてもらったお陰で、職業レベルもスキルレベルも一気に上がってしまった。


「これでようやく、魔王軍幹部くらいとなら戦える状態になったかな」


 俺はそう言って、向かってくる敵を見ながら笑うのであった。



レイン・エドワーズ

射手lv.6/剣士lv.4/調教士lv.2

【弓術】lv.248

【散弓術】lv.78

【千弓術】lv.34

【高速装填】lv.100

【強制装填】lv.41

【自動装填】lv.22

【技能装填】lv.33

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.19

【近接射撃】lv.25

【剣術】lv.88

【遠隔剣術】lv.23

【剣防御】lv.8

【瞬突】lv.15

【回転斬り】lv.30

【調教】lv.41


【緊急回避】lv.31

【投擲】lv.89

【空握】lv.49

【投擲許容量増加】lv.24

【索敵】lv.103

【索敵範囲拡大】lv.17

【弱点捕捉】lv.18

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.35

【足払い】lv.28

【回し蹴り】lv.36

【風転撃】lv.43

【浮遊】lv.32

【単独撃破】lv.12

【並行作業】lv.43

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.72

【高速振動】lv.34

【創造】lv.41

【魔王の血脈】lv.38

【狙撃】lv.27

次の更新は、遅くとも12:30までには行う予定です!

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