表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/53

スキルがめっちゃ撃てるようになった

 ゴブリンロードを倒した俺は、森を早く抜ける事に決めた。


 魔物と戦って訓練したいという思いはあるが、今のスキルレベルで森の中に一人ってのはちょっと危ない。


「【索敵】。……よし、ここら辺には敵は少ないな」


 俺はスキルで敵の姿を探しながら歩き、どんどん街の方へと向かって行く。ニア達は【索敵】なんて要らないスキルだと言っていたけど、ピンチの時にはとても役に立つスキルなのだ。


「大事なスキルもまだまだ覚えられてないし、慎重に行かなければ……。【投擲】。【投擲】。【投擲】」


 そう呟きながらも、俺は緊張感なく石をそこら中に投げまくって【投擲】のレベルを上げていた。俺はちょっと、レベル上げ中毒なところがあるのである。


「お、敵発見。うーん、やっぱ逃げた方が良いよなー」


 そうこうしている内に強敵のオーガを見つけたが、逃げなきゃという気持ちとスキルレベル上げたいという気持ちの板挟みになってしまう。


 オーガかぁ……頑張ればなんとかなると思いたいなぁ。てかゲーマーとしては強敵にこそ立ち向かうべきなのでは……。

 そんな事を呑気に考えていると、オーガのいる方向から突然人の叫び声が聞こえてきた。


「た、助けてぇ!!!」


 目を凝らして見ると、俺が見つけたオーガは商人を襲っていた。【索敵】単体では魔物の反応しか捉えてくれないから、よく観察しなければ分からなかったのである。


 だが、この瞬間に俺が戦うのは確定した。今までの俺ならオーガなんて逆立ちしても勝てなかったが、ゲームの技術と知識でスキルの弱さを補ってやる!


「【投擲】。【足払い】。【近接射撃】!」


 俺は今にも商人のおじさんに噛みつこうとしていたオーガに、危険も顧みず全速力で駆け寄った。


 それから弓を投げつけて気を引き、振り向いたオーガに【足払い】をかます。そのまま一秒の間も開けずにオーガに投げつけた弓を空中でキャッチし、【近接射撃】!


「グオォォォォ!」

「なんだ、今の流れるような動きは!? というか君、まさかの子供!?」


 商人のおじさんは目が飛び出しそうなほど驚いたが、これくらいで驚かれては困る。


「本気を出すのはこれからですよ……【並行作業】」


 今の連撃は本気ではなく、おじさんから目を逸らさせつつ新たなスキルを習得するために無茶をしただけなのだ。


 同一対象に連続で、かつ素早くスキルを叩き込むことが習得条件のスキル【並行作業】。このスキルを覚えなければ、俺のゲーム時代のプレイスタイルは完成しない。


「グルォォォォォ!」

「【並行作業】・【緊急回避】・【投擲】・【投擲許容量増加】・【弓術】・【散弓術】・【高速装填】・【足払い】ぃ!」


 俺は八つものスキルを、混乱することすらなく同時に使った。


 PIOでは同じ瞬間に職業レベルの数までしかスキルを使えないという制限があるのだが、【並行作業】を使えばスキル同時使用可能数を二倍に出来るのだ。

 今は射手lv.4なので、8つまで同時に使える。しかしゲーム時代に二千個くらいのスキルを同時に使えていた俺からすれば、この程度で混乱する筈がなかった。


「うぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!」


 【緊急回避】で避けながら【投擲】で相手をよろめかせつつ、弓を撃って足を払う。【並行作業】を使うと各スキルの性能が下がってしまうが、それをチャラにするくらい激しい動きで敵を翻弄した。


「これで終わりだ、【空握】・【投擲】」


 俺はよろめいたオーガを見ながら、投擲スキルから派生した【空握】というスキルを使う。

 各スキルはlvが50上がるごとに純派生スキルってのを選択肢から選んで習得できるんだけど、さっき【投擲】しまくってたからlvが50を超えて派生できたんだよね。


 【空握】というのはその名の通り、空気を塊として握れるスキルである。殺傷力は低いが、基本的にどこでも【投擲】スキルを使えるようになるのが強みだ。

 空気の塊を投げつけられ、オーガは自分が何に攻撃されているのかも分からぬまま倒れた。


「た、助けていただいてありがとうございますっ! えと、子供に【擬態】したベテラン冒険者様でいらっしゃいますでしょうか……?」

「いや、俺普通に十歳の子供だけど」

「十歳!? 今の強さ、もう冒険者トップクラスに見えたのですが!?」


 おじさんは汗を垂らしながら呆然としていたが、それは流石にお世辞が過ぎるだろ。まだパワーインフレのパの字もないし。


「いずれにしても有り難うございます! 店に帰り次第、お礼をさせていただきたい……!」

「ははは、別に良いですってー」


 十歳に対して縮こまっているおじさんに、あまり気にしないよう言った。スキルレベルも上げられたし。


 でもこんな風に喜ばれるのも良いものだなと、俺はゲーマー時代にはなかった感慨も抱いていたのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.4

【弓術】lv.129

【散弓術】lv.12

【高速装填】lv.30

【近接射撃】lv.23

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.51

【空握】lv.5

【投擲許容量増加】lv.14

【索敵】lv.85

【索敵範囲拡大】lv.12

【砥ぎ師】v.47

【足払い】lv.9

【単独撃破】lv.2

【並行作業】lv.10

次回は今日の19時くらいには更新すると思います!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ