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パーティーの男がつっかかってきた

 【愛撫】でもみくちゃにしたニア達が目覚めると、俺達は大人しく冒険者ギルドへ帰還した。


 帰り道の途中で何体かのハードスパイダーを見つけたが、メタルスパイダーは現れなかったので難なく倒して素材を持ち帰る事が出来た。その素材を受付嬢の前に置くと、俺は開口一番に謝罪する。


「すいません。途中でトラブルがあったので、今回はハードスパイダーを20匹くらいしか倒せませんでした……」

「それでも十分多すぎるけどね!? えっ、というかこれメタルスパイダーの死骸!? この仕事を始めてから、私初めてこんなレア素材見ましたよ!?」


 集めた素材を見せると、ギルドの受付嬢は理解できないとでも言うように首を振る。こんだけ人数いるパーティーなら、メタルスパイダーくらい倒せて当然だと思うけど。


 ちなみにメタルスパイダーの素材は半分ほど【創造】で鎧にして、下着姿だったアーニャにあげた。

 急ごしらえだったが、彼女は「前の鎧より質が良いよ!?」なんて言って喜んでいた。お姉さんってお世辞がうまいものなんだな。


「あうっ、本当に強いんですねレイン君……。本格クエストに挑むなんて危険だと思っていましたけど、この調子ならすぐにでもランクD冒険者に上げられそうです」


 素材を受け取ったギルドの受付嬢も、ちょっと顔を赤らめながら俺を褒めてくれる。なんだ? この世界のお姉さんには共通で【お世辞】スキルでもあるのだろうか?


「まぁクエストは達成できたみたいだし、明日もこの調子でクエスト頑張ろう」

「そうだねっ! 今回は全然活躍できなかったけど、私も一緒に戦えるようしっかり鍛えるよ!」

「私も、次こそは前に出て活躍したいわ」


 今回の成果にわりかし満足していると、スフィとニアも同じ気持ちを示してくれた。ニアはまだトゲトゲしいところがあるが、前よりかは普通に喋れているような気がする。

 俺達とお姉さん二人を加えた五人なら、これからも頑張れそうだな。


「おいレイン、ちょっと面貸せや」


 だがそんな明るい気持ちも、正式なパーティーのメンバーであるゲイルの声によって妨げられた。


「さっきレールが起きてきたけど、なんかおかしくなってたぞ?」

「レインは強くて素晴らしい男だとか、尊敬しているとか言って訓練してやがった。ニアはお前と一緒にクエスト行くし、ファムもお前が格好いい気がしてきたとか言い始めたし……。登録試験の時といい、お前いったい何しやがったんだ!?」


 どうやら俺にやられたレールは、改心して地道な努力を始めたらしい。だがゲイルとグランはそれが不満らしく、俺を糾弾してくる。


「調子に乗ってるみたいだから、俺達がコテンパンにして立場を思い出させてやるよ。なぁ、ニアも一緒にこいつをこらしめようぜ?」

「そんなことするわけないじゃない。どうせ敵わないんだから、あんた達も余計なことしない方が身のためよ?」

「はぁ!? 本気で言ってんのかニアっ!」


 受けてくれて当然だと思っていた誘いが断られ、ニアに気があったグランが大声で叫ぶ。いや、好きな子にそんな提案する方が非常識だろ。


「ふ、ふん。まぁいい。スフィもニアもレインを手伝うなよ? 射手なんて一人だけじゃ何もできないんだ、俺とゲイルの二人で攻撃すれば負ける筈がねぇ」


 そう言いながら、グランとゲイルが俺に向かって剣を構える。あ、二対一なのは確定なのね。


「ちょっ。あなた達、喧嘩なんてしちゃ駄目ですよ!?」

「大丈夫ですよ受付嬢さん。冒険者ギルドを傷つけちゃったら後で直しますから」

「そういう問題じゃないよレイン君!?」


 受付嬢が喧嘩を止めようとしてきたが、俺はそれを丁重にお断りした。


 登録試験で圧勝した俺に戦いを挑むのだから、彼らはきっと何か秘策を用意している筈だ。

 ランクEだからとはいえ本格クエストに手応えがなかったため、ちょっと欲求不満だった俺は勝負を受ける事にしたのである。


「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ! スフィがいない今、射手のお前は近接攻撃に対応出来ねぇだろ!? 【毒の体】を持つ俺は、近接戦闘じゃ最強だぜぇ!?」


 細剣を構えながら、ゲイルが俺の方へと直進してくる。


「最強っ!? マジでか!? 【創造】・【技能装填】・【風転撃】!」


 欲求不満だった俺は最強という言葉に心を踊らせつつ、【創造】で鎧の鉄を弓に纏わせた。

 それから【風転撃】の効果を弓に付与して弓をくるくる回すと、弓の鳥打の部分に当たってゲイルの細剣はポキリと折れる。


「剣が折れたっ!? そんな、これじゃ戦いようがないっ!」

「秘策はないのか……。じゃあお前は囮なんだな、さっさと倒そう」


 近接最強宣言が嘘だと分かると、俺はがっかりしながら【過剰砥刃】を発動。ゲイルの鎧を殴り、鎧を溶かすように削りながら拳を腹に直撃させた。

 併せて使った【投擲】スキルにより彼の体は吹っ飛んで、壁に当たって倒れる。ここまで30秒くらい。


「よくもゲイルを! おめぇを切り刻んで、その余裕そうな表情をぐちゃぐちゃにしてやるっ! 【加重剣】!」


 接近したグランは仲間が倒れても怯まず、スキルを発動しながら剣を振るってきた。


 【加重剣】というのは攻撃すればするほど相手にかかる重力を強くするスキルで、長期戦に強いなかなか良いスキルだ。育てると重力を切るスキルとかにも派生するしな。


「はっ、これでお前はちょこまかと動けなくなったぜ……!」

「え? いやそんなことないぞ?」


 攻撃を終えたグランが、ドヤ顔でそう言ってくる。だがその発言は正しくなかったので、俺は間違いを指摘するために彼の目の前でぴょんぴょんと跳び跳ねた。


「んなっ……なんでだっ!? 重力系スキルの耐性なんて、何年もかけなきゃ習得できない筈じゃ……」

「いやそんなのは持ってないけど。お前の攻撃、そもそも俺に当たってないし」

「は?」


 俺がグランの手を指差すと、彼は振り下ろした自分の両手に視線を落とした。そこにはさっきまで握られてた剣の姿はなく、ただただ空気だけを握っている。


「何ぃっ!? いつの間に剣がなくなってたんだ!?」

「普通に【音速矢】で剣を吹っ飛ばしただけだぞ? その反応、やっぱ気付いてなかったのかよ」

「はあああああ!? いつの間に矢を放ったんだ、全く見えなかったぞ!?」


 何が起こったかを丁寧に教えてやって、ようやくグランは何が起こったかを理解したようだ。


 油断させる作戦、って風でもないな。単に力量を見誤ってただけか。


「全力で攻撃する必要はないね、【投擲】」


 俺に対抗できる秘策がないなら全力で叩き潰すのも可哀想なので、グランを適当に投げて壁に飛ばす。ここまで一分半……ちょっとかかりすぎたかな。


「ゲイル君とグラン君を、こんな一瞬で倒すなんて……」

「やっぱりこうなったわね。ねぇレイン、あの……」

「ん、また体が火照っちゃったのか? 流石にここで脱がすわけにはいかないから、服越しで我慢してくれ」


 俺がスライムスーツ越しにニアを強く撫でつけると、彼女がいつも以上に色っぽい声を出す。


「はぁっ……あっ……はぁっ……」

「う、うあああああああ! 嘘だっ、ニアぁぁぁぁっ!」


 それを見たグランは完全に心が折れてしまったようで、大号泣しながら冒険者ギルドを飛び出していってしまった。


 おっと、何か勘違いさせちゃったかもな……? ニアは未だに俺に冷たいし、火照らせる魔物の攻撃がなければここまで体を許す事はない筈なのだが。


 まぁ、グランが【愛撫】マスターになったらこの役目も代わってやりますか。頑張れグラン。



レイン・エドワーズ

射手lv.5

【弓術】lv.200

【散弓術】lv.33

【高速装填】lv.57

【強制装填】lv.8

【技能装填】lv.26

【背後射撃】lv.22

【音速矢】lv.6

【近接射撃】lv.25

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.81

【空握】lv.11

【投擲許容量増加】lv.15

【索敵】lv.103

【索敵範囲拡大】lv.17

【弱点捕捉】lv.9

【砥ぎ師】v.51

【過剰砥刃】lv.15

【足払い】lv.12

【回し蹴り】lv.20

【風転撃】lv.19

【浮遊】lv.30

【単独撃破】lv.4

【並行作業】lv.38

【鷹の目】lv.26

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.61

【高速振動】lv.1

【創造】lv.15

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