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十歳なのにモテ期きた

 試験が予想以上に緩かったせいで簡単にクリアしてしまった俺達は、レールを除いてすぐに冒険者の仲間入りを果たせた。

 俺とスフィ以外は活躍していなかったが、マスタースライムを倒したという功績の影響もあるようだ。


「ほら、あの子よ……」

「あんな小さな体で、試験官を二人も倒したの……!?」


 だが一番の誤算は、倒せない筈の試験官を三分で倒した俺の名が瞬く間に街中に広まってしまった事だ。どうやらこの世界の平均レベルは、思っていた以上に低いらしい。


「ねぇ、君が噂の射手君だよね? 今からクエストに行くんだけど、お姉さんと一緒に来ない?」

「あ、あのっ……! 私も後衛職の人を探しててっ! もし良ければ一緒に……戦ってくれないかな?」


 結果として、俺はギルドでクエストを探しているだけでも人に言い寄られるようになってしまった。

 特にこの世界では強さが男の魅力に直結するようで、十歳にも関わらずお姉さん達がめっちゃ話しかけてくる。


「そ、そうですねぇ……。確かに俺だけでスフィ達を守り切れるか不安だし、頼れる仲間はいた方が良いかも」


 言い寄ってくるお姉さんに、俺は必ずこう言うようにしていた。


 本格的な冒険者になったせいで、俺達は見習い用の初心者クエストがかなり受けづらくなってしまっていたのだ。

 スフィ達を守るためにも経験者は欲しかったが、こう話すと大抵のお姉さんは「ガキのお守りは嫌」とかいって逃げていく。


「お、良いよ良いよぉ! 強いと噂の君に頼られるのは、なかなか悪くない気分だねぇ」

「うん! 私友達少ないから、たくさんの人と冒険するの憧れてたの!」


 だが、今話しかけてきた二人は割と良いお姉さんだったようだ。俺の提案にも笑顔で頷いて、冒険についてくる気満々である。


 一人はちょっと胸の大きめの元気なお姉さんで、もう一人はスフィ並に控え目な女性だった。どっちもお姉さんらしく振る舞ってるが、ちょっと頬が赤くて俺を気にしているのが分かる。

 ……強ければモテるPIOの世界、最高かよ。


「だってよ皆! 冒険者のお姉さんがついてきてくれるらしいし、そろそろクエスト行かない?」

「う……俺はちょっと、遠慮するわ。腹が痛くてな」

「俺もだ。……ニアも行かないだろ? 初心者用クエストが空くまで待とうぜ?」


 俺がパーティーの皆に振り返ると、男二人は揃って遠慮した。

 彼らは登録試験で俺が雑魚ではないと分かってから弱気になって、ずっとこの調子だったのだ。お陰でクエストにも行けやしない。


「まぁ、それなら俺とスフィだけで勝手に行くか。お姉さん二人がついてくれるなら、スフィも安全だろうし」

「そ、そうだね! 私もレイン君と一緒なら、全然怖くないよ!」


 俺が今日の方針を決めると、スフィがそう意気込んでくれた。彼女は優秀なサポート役だし、これだけやる気があれば心配は要らなそうだ。


「じゃあ……行くか」

「ちょっと待ちなさい」


 初めての本格クエストにわくわくしながらスフィに声をかけると、いきなりずっと黙ってたニアが張りの強い声を出す。


 ずっと黙っていた分、余計に怖い。とうとう怒り出す気か……!?

 そんな事を思っていると、彼女は予想外の言葉を発した。


「私は行かないなんて言ってないでしょ? 私もあんたについていくわ」

「ニア!? どうしちゃったんだ!?」


 ニアが意外なことを言ったのを聞いて、彼女に気があったグランが慌てふためく。しかしニアは全く意に介さず、俺に近付くと手を握り込んできた。


「い、一緒に行きましょう……レイン」


 久し振りに、彼女が俺を本名で呼ぶ。それから急に顔を真っ赤にしたニアを見た俺は、思わず喉をゴクリと鳴らしてしまう。


 幼女二人とお姉さん二人に囲まれてのクエストに、胸の鼓動は自然と高鳴るのだった。



レイン・エドワーズ

射手lv.5

【弓術】lv.198

【散弓術】lv.33

【高速装填】lv.53

【強制装填】lv.8

【技能装填】lv.20

【背後射撃】lv.22

【近接射撃】lv.25

【緊急回避】lv.15

【投擲】lv.70

【空握】lv.11

【投擲許容量増加】lv.15

【索敵】lv.98

【索敵範囲拡大】lv.17

【砥ぎ師】v.47

【足払い】lv.12

【回し蹴り】lv.15

【風転撃】lv.15

【浮遊】lv.30

【単独撃破】lv.3

【並行作業】lv.38

【鷹の目】lv.20

【消耗品再利用】lv.25

【強制収容】lv.17

【愛撫】lv.31

【創造】lv.1

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