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無力な抵抗

推理可能なヒントが出揃った時点で宣言を行います。

・シズル:魔法使いの少年。魔法の鎖を武器にする。

・弥那:着物の少女。素手で戦う。シズルに惚れている。

・ノルイ:中性的な剣士。血と魔力を吸う短剣を武器にする。

・グート:騎士風の青年。剣術を使うが不意打ちが得意。苦労人。

・シア:エルフの少女。シズルの義姉。回復魔法が得意。

・アーロイン:軍の研究者。あまり表情が変わらない。

・セリ:軍の研究者。アーロインに振り回され気味。






 ――

 ――――


「はぁ、はぁ……」


 人の手が入っていない寂れた廃墟を、一人の少年が駆けていた。

 肩で息をし、腕からは血を流して、誰が見ても満身創痍の状態であろう。

 いつ倒れてもおかしくない傷であるが、少年の目にはギラギラとした輝きが灯っていた。

 大通りに飛び出す前に一旦動きを止める。

 物陰に隠れて、周囲を警戒するようにギョロリと目を動かした。どんな小さな異常も見逃さないという覚悟を感じさせる動きだ。

 そして、安全を確認した所で、心臓が落ち着くのも待たずに飛び出した。


 瞬間、少年の首に衝撃が走って吹っ飛んだ。

 少年はゴロゴロと地面を転がり、咄嗟に受け身を取って身構える。

 視線の先には、先ほど不意打ちを決めた、騎士のような男が立っていた


「うん? 凄いな。仕留めたと思ったが」

「あんたのやり口はもう何回も見たからな……っ!」

「それもそうだね。同じ手ばかりで進歩が無いのは、騎士として良くない事だ。うん」


 青年はにへらと笑った。獲物が安全を確信した瞬間の気の緩み。その一瞬の隙をついた不意打ちが青年の十八番である。

 それさえ知っていれば、攻撃のタイミングは読みやすい。あとは、魔法で急所を重点的に守ればいい。


「待って待って! まだ殺しちゃダメだって!」


 横から、慌てた様子の声が聞こえた。

 チラリと目を向けると、中性的な剣士が駆けよってくる。手には短剣。それが血と魔力を吸う危険な魔剣だと少年は知っている。


「ごめん、ごめん。生け捕りにするのは苦手でね」

「気を付けてよ、もうっ! 聞きたいことが山ほどあるんだから!」


 ぷりぷり怒る剣士と、罰が悪そうに頭を掻く騎士を警戒しながらじりじりと後退する。けれども、二人は少年を逃がすつもりはないようだ。

 中性的な剣士が、猫のように嗜虐心溢れる目で血濡れの少年を見据えた。


「逃げちゃダメだよ。仲間殺しの裏切り者」

「……俺は誰も殺してない」


 血濡れの少年は犯行を否定する。

 けれども、二人が信じる事は無い。少年を犯人だと信じているからだ。

 それも仕方ない事だ。被害者は少年にしか使えない武器で殺されていたのだから。


「くそっ……」


 少年は苦虫を嚙み潰したような顔で二人と対峙する。

 真犯人の目星は、まだつかない。


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