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TIPS 納屋の骨・真智視点

これはあたしに一番最近起きた追憶。


「真智たんよそうよ~」


「ム! イワンのよわむし!

あんたってこんじょう無ちね。

それでもあんた男の子なの?」


「だちて……」


「メ! だちてじゃない!」


「ヘイよりおくはさわっちゃだめって

真智ちゃんパパにおこられてたち?

それに……」


「それはそれ。

あたちはその骨のおくをみたいの!」


「ボクこわいよー!!」


「ほ~ら、イワンはただこわいだけなんでちね?」


このときみた記憶のことをざっと説明するとね。

あたしの同学年の幼なじみにイワンって言う気弱な性格の男の子がいたの。

あたしはいつもイワンと一緒に家の近くで合流して学校に行ってたんだけど、

その合流場所がこの記憶の舞台よ。

そしてそこにあったのは道路に面した古くて小さな納屋。


このときあたしの提案になかなかイワンが乗り気じゃなかったのには理由があるの。

それはね、

この納屋にはある特別な秘密があったから。


納屋の周りは隙間の狭いコンクリートの外壁で取り囲まれていたんだけど、あたしとイワンが待ち合わせで立っている場所だけコンクリートが一部壊れてて、そこから外壁の内側の様子が見えていたわけなんだけど……。


「ねえ、真智たん?」


「どちたの、イワン?」


「そこのすきまにもられた土のなかからみえるちろいの、骨かな?」


「これのこと?」


「あ~!! 真智たんさわっちゃダメ~!」


あたしはイワンの忠告を聞くことなく

素手ですかさずその骨を広いあげてしまったの。


「この骨、大きいでちね~w」


「ギャア~!!」


「イワンそんなひめいあげてなさけないでちね~w」


「真智たん、やめて~!

みつかったらおこられるよ~!」


あたしは最初は骨を大人の人、例えば父さんとか学校の先生に見せて詳しくしりたいと思ったんだけど、

父さんに見つかったらきっとあたし怒られると思ったから、自分で学校の図書室の本で調べたんだ。


「真智たんどうだった?」


「あれね、ニワトリさんのじゃなかった……」


「ちがうんだ!

でも、もうよそうよ~」


「イワン、きいて!

あれ、きっとネコさんの骨!」


「キ、キャア~!!」


「アハハ、またイワンおどろいてるw」


「真智たんはこわくないの?

ネコの骨とかふちゅ~納屋のすきまにはさまってたりちないよ?」


「ふちゅ~じゃないからあたしみたいの!

ほら、そのおくにも骨あるち」


「真智たんよそうよ~!

ねえってば~!」


「イワンうるちゃい!

う~ん、う~ん。

手がなかなかおくまでととまかないでちね」


あたしは身体を屈ませて、右手をめいいっぱいその塀の一番奥まで突っ込んで骨のある辺りをまさぐったわ。


「真智たんやめて! こわれる!」


「へ?」


『ドバドバドバドバ、ドドドドド』

「わあっ~!」

次の瞬間ね、あたしが手を引き抜く間もなく

盛られてた土が骨もろともあたしの手前になだれ落ちて来たのよ!


「あいたたた」


「真智たん大丈夫?」


「だ、大丈夫」


「ねえ、みてイワン!!」

あたしは起き上がり際に反射的になだれ落ちてきた盛り土のほうを向いたのよ。

そうしたらそこには……、

あたしが図書館で借りた図鑑に載っていた

ネコの頭蓋骨そっくりな骨があったわけ!


「わ、わ、わ」


「ムカッ~!

イワンっ?

ちゃんとこっち見てる?

ねえ?」


「あ、わ、わ、わ、わ……」


「イワン?

ねえイワン?どちたの?」


あたしはイワンが震えながら指差す方向を恐る恐る振り向いてみたの。

するとね……、

そこにあったのは人間の子供のものだと思われる頭蓋骨だった。

・・・・・・

そして、あたしがその頭蓋骨の辺りを見渡すとね、状態のいい胴体の骨も近くに……。


「キャアァァ~!」

流石のあたしも人間の白骨死体は恐ろしくて、

すぐにその場を飛び上がって距離を取ったんだけどね、

そのみた感じ小学生にしては少し大きめな白骨死体にはまるで死後誰かが体に被せたように服が着せられていたわ。


そして、あたし達がその服に縫われた名前をみつけた瞬間、

イワンのほうは立ったまま気絶してた。

一方あたしのほうはと言うと、

そのあまりのグロさに……。

『うっっ、

うおおおぇええええええ~っつ!

びちゃびちゃびちゃびちゃ、

ぴちゃっ、ぴちゃっ』

そう、吐いたところまでは覚えているんだけど……。


そこであたしのそのときの追憶はおしまい。












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