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第8話 日常のファンファーレ

とりあえず、日曜更新がなるべくできるよう書いていこうと思います。





それは、はやまるだった。



はやまるがはるなを支えながら涼音とギャラリーに向かって言う。

「ここ最近、コイツも車いじったりで寝不足でさ、また次の機会でどうかな?」





「はやまるさん、、」





「、、、はるなちゃん、この人は?」

涼音ははやまるの突然の登場にビックリし目を丸くする。



「えと、この人ははやまるさん。私のバイト先の人なの。」



「初めまして。軽井沢の駅近くでスクラップ屋をやってます。」

はやまるは笑顔で礼儀正しく涼音やギャラリーに頭を下げる。



「そ、そ、そうなんだ。」

涼音がなぜか緊張していた。





「え、、軽井沢、、、もしかして解体屋はやまるさん!?」

サンライズのメンバーが思い出したように会話に入る。



「あ、そうです〜。皆さんも車で困ったら解体屋はやまるに来てくださいね〜それじゃ今日は帰ります。」



はやまるは、ささっとはるなを助手席に乗せるとギャランを運転して帰ってしまった。



ギャランが帰って行く姿をみんなぽかんと見つめていた。

「涼音さん!そーだ思い出した!」

サンライズのメンバーが涼音に話しかける。

「え、え、何を?」



「俺達、金欠の時は、、っていつもなんすけど、実はよく軽井沢のスクラップ屋で安い中古のパーツ買ってるんです!そこに行く仲間のヤツらが、前からすげぇ冷たいけどめちゃくちゃカワイイ子がいるって騒いでたんすよ!俺も見に行ったんすけど、、さっきのギャランその娘ですよ!間違いないっす!」





「そっか、、、はるなちゃんそこで働いてたんだね、、ってことはさっきのお兄さんは!?そこの従業員!?」


「いえ!あの人そのスクラップ屋の社長です!会社の名前通り、あの辺や、知り合いからははやまるさんって呼ばれてますね。」



「色々ありがとう。そっか、、、、はやまる、、さん、、か。」

涼音は両手を胸にあてた。胸の高まりを静めるために。それがバトルの余韻なのか、はるなとの出会いに感動してなのか、それとも、、、、それはまた別の機会に。




最高のバトルが終わった。

ギャラリー、サンライズのメンバー達はポツポツと山を下り街へ戻る。



榛名山はいつもの静けさを取り戻し、朝になれば日常に戻る。陽を浴びて雄大なる姿に。



走り屋達やギャラリーも非日常から日常へ戻る。あるものは退屈な日常、あるものは多忙な日常。

皆、この日に得たエネルギーを日常で消耗する。



そしてまたとびきりの週末を待つ。





「、、、ん、、あれ、はやまるさん、、」


「よぅ、榛名山のシンデレラ。王子様のキス無しでも目を覚ましたな。」


「キモいセリフのおかげで、最悪な目覚めだわ。でも、、、、、ありがと。」


「なになに?おじさん聞こえなかったな〜」


「本当ウザい!ありがとうってこと!!」


「よしよし。、、、遅くなったけど、、、お疲れ様。よく、あのサンライズの涼音に勝ったな。」


「、、、まぁ、本当にギリギリだったけどね。次やったら手の内バレてるし、向こうは終盤でなんかスイッチ入ってたし、、多分、次は負けるかも。ギャランにも無理させちゃったし、、」


「まあ、お前がまさかここまでやるのは予想外だったわ。」


「それにしても私のギャラン足回り変えて本当に良かった。劇的に変わったよ。私もギャランもまだまだ早くなれる。本当、確信した。」


「ま、今回攻めすぎてギャランにケガさせちゃったけどな」


「言わないでよ、、、結構泣きそうなんだから、、」


バトル中である程度のアクシデントはしょうがないといえばそれまでだが、そう言ったはるなの目は今にも涙がこぼれそうなくらい本当に潤んでいた。



「わわわ分かった!!僕が悪かった!!ごめん!!だから泣くな!また一所懸命働いて直せば良いからな!な!僕もなるべく中古でいいなら程度の良いパーツ調べてやるから!」


「ホント?」


「約束する。」


「ちょろ、、。」


「え?」


「ううん、なんでもない。」


「あとは、、また週末はバイト頼むわ。悔しいけどお前がいると客の入りが全然違うんだわ、、」


「オッケー、じゃあ今日は家まで送ってくれる?」


「は?マジかよ?ギャランはどうすんだよ?」


「どっちにしろはやまるさんとこでちょこっと入院だし、私送ったら特別に乗って帰る事を許そう。」


「お前は女王様か?そしてなんだそのドヤ顔は」


「うるさいオヤジだな〜現役JKの車を運転して帰れるだけ有り難いと思いなさい。」



「分かった、分かったよ、、、。はあ」


「じゃあ、よろしく!私、明日学校だからもう少し寝るねー」





非日常は呆気なく終わる。

途方もない時間、人によっては膨大なお金を惜しみなく使い、それでも人々は非日常に飛び込もうとする。何も残らないし誰も認めてはくれない。どんなに美談として話しても、下らない与太話として一蹴されればそれまでの事。

それでも私達は非日常に飛び込む、何故って?そんなの決まっている。日常では冴えない私達が、何も無い私達が唯一笑い合い、熱狂できる場所がここだけなのだから。



こうして最高の夜はひっそりと終わりを告げた。



県立桜丘高校

軽井沢から少し離れた所にあるこの学校はその名の通り、この地域は桜が結構有名である。

時期になると毎年観光客が満開の桜を見にくる。はるなの通う学校も桜が多くあり、たまにテレビの撮影で使われたりもしている学校だ。



「ふわ、、、ねむ、、」

はるなはふらふらと歩きながら登校していた。



「やっぱり休めば良かったかなぁ、、、でも、休むとお母さんうるさいし、、はあ、、」



「おぉーっはよおおおおおぉぉぉーーっっ!!」



「きゃああっっ!!!」



突然横から絶叫のような挨拶とともに背中をドンと叩かれるはるな。



「、、ぁんた、、ねえ、ワザとやったでしょ、、、私が眠いの分かっててワザとやったなあああ!!!」



「てひひ、ごめんごめーん。あんまりふらふら歩いてるから、、、ってはるなさーん、、お顔が怖いんだけど、、、」





「怖くもなるわ!!!サツキってホントバカ!!全く!」

元気に現れたのは西園寺サツキ(さいおんじ さつき)はるなとは同じクラスの1番仲の良い友達である。



「ねえねえ、そんな怒んないでよービッグニュースがあるんだからあ。はるな〜実はね私も、、、、とうとう車買いましたー!!」



「えぇ!マジ!?」



「マジだよ〜やっぱ車はスバルでしょ!!とゆーことは!?」



「分かった!インプレッサだ!」



「ぶっぶー、正解は、、、BR-Zでーす!!」



「え?、、なんでBR-Z??86じゃないの?」



「86??何それ?ダディが中古は危ないし、いつ壊れるか分からないからダメーって言うから、、新車で選んでて。えーと、確かBR-ZのGTってモデルだったかなー?」



「えっぐ、、、最高グレードじゃん、、」



「でも、めっちゃ反対されて!なんかGTR??ってめっちゃゴツい車進められて!マジ無理って感じだったんだけど、たまたまスバルに行ったらBRZがすごいツルッとしてて可愛かったからソッコー決めたんだ!」



「はぁ、サツキんちはお金持ちだもんねぇ、、、いやぁ本当スゴイわ、、、」



「今日一緒にドライブ行こうよ!、、てかはるなも車買ったら教えてね」



「うんオッケー。、、って、、あ、、ごめん実は私も車買ったんだわ。正確には直ったって言うのかな、、。あれサツキ?どうしたの」



「、、、うえええぇん!!はるなが私に内緒事してたああああ!!!」



「ちょっと!違うって元々高1の頃からあったんだけどスクラップ寸前だったから動かなかったの!だから正確には買ってないのよ!!」



「それも知らないいいいぃぃ!!なんでもっと早く言ってくれなかったのおおおぉぉ!!!」

サツキは絶叫しながら、はるなの身体を首が取れそうなくらい揺さぶる。



「ちょ、、、死ぬ!!乗せるから!!見せるから!!!全部見せる!」



「ホント?」



「見せる、、、ホント全部言うから、、、ウプ、、」

はるなはギャランを乗る事になった経緯を話し始めた。

はやまるさんとは親同士が昔からの知り合いだった事もあり週末だけバイトする事になった事。働く中で工場でホコリだらけになっていたギャランと出会った事。

「はやまるさんにもね、もっといい車体あるんだから、やめとけって何度も言われてたけど。なんかね、呼ばれた気がしたんだよね。」



「、、、車に呼ばれる、、はるな頭大丈夫??ってはやまるさんって誰よ?」



「うるさいなー!!!良いの!!本当に呼ばれたの!私に乗ってみてって言われたの!!はやまるさんはバイト先の社長!話そうとしてるのに!!」

はるなは顔を真っ赤にしながら話す。


「おおぅ、感情の起伏が表情にあまり出ないはるながここまで恥ずかしがるとは!私、良いとこ攻めたね!」



「はぁ、、、サツキと話してると自分の性格忘れるわ、、」


「とにかく〜今日学校終わったら車見せてよ〜はやまるさんにも合わせてよ〜」


「あー、車はやまるさんとこ預け出るんだよ。」

「じゃあそこまで私の車で行こっ!初ドライブだぜぶぶーん!」


「オッケー、それじゃはやまるさんにも伝えとくね」


桜丘高校は県内でもトップ3に入る進学校である。なので基本的に通う生徒達は皆真面目であり高校3年ともなれば良い大学に進学するために塾通いなどする。



しかし、はるなは授業開始1時間目から、当たり前のように爆睡していた。





最後まで見て頂きありがとうございます。

まだまだ未熟な所ばかりですがよろしくお願いします。

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