第29話 「トライアングルストレンジャー」
いかにギャランが異常かを語ったら長くなった笑
SNSや、ネットには一切出回っていない。
その場にいたヤツらにしか知られていない話がある。
ただそこで起きた事実がある。
何故か誰も言おうとしない話がある。みんな分かっているからだ。
その場にいた自分達が分かっていればいい。
榛名山では、もはや伝説級のバトル。
はるなと涼音のバトル
そのスタート地点にサンライズ榛名のチーム側にレイカはいた。
そして、その時の事をどこか悔しそうな顔で話す。
最初はバカバカしくて見る気にもならなかった事。
パッと見は本当にバカバカしいのだ。
なぜバトルになったのか、その実力を知らぬ者達には意味が分からなかった。
サンライズ榛名の
トップのケンスケじゃなく
本当のナンバー1の涼音がバトルをするという事実。
身内ならまだしも、外部の人間と。
情報漏洩しやすいこの時代に。外部に一切ひた隠しにしてきた涼音が榛名山で走る事実。そして涼音の存在感に負けず劣らずの車両。
販売当初、当時のホンダの技術者の全てをつぎ込み、スポーツカーとして昇華させた
NSXタイプR
片やスポーツレイアウトと呼ぶにはあまりにも未完成すぎるギャラン。
ギャランにも一昔前であればラリーで活躍していた栄光もあるにはある。
しかし技術の加速は待ってはくれない。
ランサーEvolution(進化)という名前にふさわしい進化をしが 三菱のスポーツ車両の技術全てを受け継いだのだ。
言葉は悪いが、ギャランなんて所詮はランエボの下位互換。
ランエボの出来損ない。皆そう考えているのではないのか。
「エボが買えないビンボー走り屋なんかを、、なんで鈴音お姉様は相手にするのかしら、、どちらにせよ軽いウォーミングアップレベルでしょう笑」
レイカは榛名山のスタート地点にあくびをしながら近づき、涼音の笑顔とNSXにメロメロになりながら近づこうとした際、隣からの異常な威圧感を感じた。
ギャランをチラ見した瞬間におぞましさを感じた。
なんなの、、このクルマ、、、、
圧倒的圧力、圧倒的威圧感、圧倒的異物感。
進化するべきでない車。許されない形で進化させてしまった異端の技術。
ギャランをランエボ並の車両まで昇華させる。現実的には可能だ。可能だが、あまりにも馬鹿げている。そんなことをするくらいならしっかりと人生をかける覚悟をもって高価なランエボを購入するべきだ。
やって見た事がない者には分からない。
果てしない労力と、ランエボが購入できる金額を注ぎこめば可能だろう。
要するにメーカーはそれほどまでに車体に手を加え戦闘力を上げているのだ。
たかだか2リッター程度の車に。
ジャパンチューンドが日本一。いや、世界を唸らせるほどの技術をもっているのだという事実。
そんな化物のような車を生産しているという事だ。しかも生産ラインにのせ何台も。
モアパワーを求めるクルマは世界には何台とある。
しかし、ポルシェがターボの強大すぎるチカラをコントロールし始めてから時代が変わった。
皆がポルシェを超えるために。
技術者達の狂気ともいえる手を加え続けたスポーツカーは、自然吸気という形を捨てターボという悪魔の力をコントロール下においた瞬間、ジャパンスポーツカーは唯一無二の存在となった。
ランエボはラリーという限定された場所で最強の称号を得るためにここまで昇華できた。しかしここまで戦闘機としてレベルアップさせてくれたの同タイプのインプレッサいうライバルと言える存在は大きい。
普通車とスポーツカーにはれっきとした差がある。
かけている時間が違う、技術が違う、速く走ろうとする技術者の想いが違う。
速く走ろうとする技術者達の夢を載せている量が違う。全てが違いすぎるのだ。
それなのに、、、だ。
スタート地点に入ってきたギャランを見た時に、気がつくと手が震えていた。これはなんなんだ?ランエボにはない異質な雰囲気。
根本的に何かが違う。
理解ができなかった。
この車両はランエボになろうとしていない。そうゆう立ち位置で車を組み上げていない。
ランエボと同様だ。
限定された場所で勝つために
この車は、、峠の下りだけで最強最高峰になるためだけに組みあげている。
レイカはその時初めてNSXが負ける予感を感じた。
頭を振ってそのイメージを振り切ろうとした。
その時のギャランのドライバーが忘れられなかった。
どうして?なんでこんな奴が突然でてきたの?
スタート地点からのとてつもない加速をするNSX、置いてけぼりにされていくギャラン。
性能差は圧倒的、、それなのにギャランの圧倒的存在感に何人かは気づいて気づかないフリをしていたのだ。
レイカはちらりとはるなのギャランを見る。
「こーしてみると本当に、、、異常なほどに仕上げてる車ですわね。たたずまいが普通じゃないですわ。そのへんのボロいオッサン車じゃない、、、。大違いですわ。一体どうゆう組み上げ方をするとこうなるんですの。」
確かにはるなのギャランはパッと見での変更点は少ない。しかし見るものが見れば明白だ。新車とはまた違う異質な雰囲気、車高の落とし方も絶妙なバランスであった。
むやみやたらにインチアップされドレス志向の車とは違う。タイヤの減り方を見ればどれほどの乗り方をしていたか全てが分かる。
「ほとんどは自分で組んだんだけど、、、」
「はああぁ!?ここまで仕上げるのに一人で!?ありえないですわ!!!」
「いやっ、、組んだんだけど、、はやまるさんの力が大きいんだよね、、」
「はやまる!?まさかあの軽井沢1番の変わり者って呼ばれてる?」
「あー、、確かに軽井沢では浮いてるよね、、景観をみだしてるだのいつもガラクタばっかり集めてるとか、、、あんな1等地で車屋だもんね、、」
はるなはバツか悪そうに笑顔を作る。
「そんな事じゃなくて!!あ、、あの人が組んだんじゃなくて、、教えた!?なんでなんですの!?」
「あー、、技術を残すってか繋げたかったって言ってたかな、、。まあ、足回りはどうしても上手くいかなくて一緒にやったんだ。」
「どーりでこの存在感、、納得ですわ、、、。」
レイカがやっと納得した顔をする。
久しぶりの更新だああああwwwww




