第27話「リトルマーメイド」
いや〜遅くなった!!笑笑
ちんたら書いてるよー!!!!
ギャアアアアアアアアア!!!!
ドリフト時のタイヤのスキール音とサツキの叫び声が重なり、はるなが不快に顔を歪める。
「ダメだよこれえええええ!!絶対幽霊だってばっ!!あぁぁぁぁ最近怖い系動画をネットで見すぎたせいだ!!オワタ、、、私呪われてオワタ!!」
サツキの喋りが今は本気でうざく感じた。
「サツキうるさい!!はあ、まったく。どこぞの漫画じゃあるまいし、、、現実でブラインドなんか使うなってーの!」
はるなはいちご牛乳をまた1口飲みドリンクホルダーに戻す。
はるなはワンハンドドライブから両手でハンドルを持つ。
いつもよりほんの少しだけ深い呼吸。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
目つきに感情がなくなる。
本気モードに入り、はるなの集中力が変わる。
榛名山のコーナーとコーナーの間のおまけともいえるストレートで後ろからべったりと張り付かれるギャラン。
はるなはチラッとバックミラーを確認する。
どこから背後についていたのか全く分からなかった。言い換えればそれははるなのペースにずっと寸分の狂いもなく合わせてきたということだ。
確かにペースは落として走っていた。
それでも、、、いまだかつて榛名山でギャランに食いつけたヤツはいない、涼音以外は。
しかもライトすらつけず。
技術うんぬんの前に完全なる無謀である。
「県外ステージに行こうと思った矢先にこれなんだもん。今までどこにいたんだか。まったく、、だからストリートは面白いんだよねぇ!」
ブレーキにコーナーがきたことを教えるようなソフトタッチからのフルブレーキングそしてアクセルを煽る。
クラッチを踏んでギアの繋がりを確かめるようにシフトダウン、はるなの華奢な指先がクラシックの指揮者ごとく動く。
そしてそれに合わせてギャランのミッションドライブシャフト、エンジンが指揮者がタクトを握り演奏が開始したかのように奏ではじめる。
精密機械が奏でる荒々しくも、お互いの性能全てを引き出すために生み出されたエネルギーは4つのタイヤ全てにエネルギーを注ぎ込む。
アウトインアウトとは言いきれない曖昧な走りでコーナーをクリアしていく。
ここはサーキットではない。ストリートであるがゆえ、常にセオリー通りにはいかない。
ドリフト中にはるなの視界に謎の車の車種が分かる。かなりコンパクトにまとめられた車。旧規格だ。そして少しはるなは目を見開く。
「え、マジで、、、?ビートって、、冗談キツすぎっしょ。」
軽自動車は下りで速い。
そんな迷信のような言葉を信じている人が多いが果たしてそうだろうか?
たった60馬力程度、その『たった60馬力』だからこそ楽しく走れるのだ。ある程度の速さまでは。
よく噛み砕いて理解してほしい。
チューニングという行為を
それはメーカーが決めてくれた走りのルールを壊す事なのだ。足回りを変えるマフラーを変える。
たかがホイールの大きさを変えることすら
それが走りにとって意味の無いものであるならそれらはメーカーに対する侮辱である。
自分の色を出す。個性を出す。
響きは良いが、それらの行為はクルマに対して何かを理解しようとするわけではない。
自分の考えを押し付けただけの、ただただ自分勝手。
峠を走るサーキットを走るということは、制限の中メーカーが莫大な時間とお金をかけ、より良い物を作るという思いからやっと生まれ出たバランスを、、、破綻させる事なのだ。
車を愛しているなどという生優しい言葉で済まされない。
その行為は破綻なのかそれともメーカーが限られた時間の中で出来なかった事なのか。
チューニングとは調律すること。
自分の大切な半身を喜んで切り刻む人が多いのが現実だ。車だから、乗り捨てるものだから。君達は大切な人もそう言って切り捨てるのか。
そうやってバランスがとれなくなった車が、軽自動車が速い訳はないのだ。極端に、乗りにくいクルマは操りにくく走らせにくい。誰もが楽しめる車ではない。それは言い換えれば操れない車などただの破綻車だ。
また小排気量で普通車と戦うという事は相手より圧倒的にテクニックがなければならない。いくら下りであろうとも。
幻想だけでは勝てない。幻想だけでは走り続けることなどできない。
しかし、例外はある。
その行為に対する意味を知る事で。
車を分かろうとする事で。
自分を分かろうとする事で。
時間と金をつぎこんだその中には、バランスの中で見えないようになっていたその車の本当の顔が見える。
ギャランもその一つだ。自分にとって都合の良いものではなく車にとって都合良く動けるように。ギャランの為に。はるなが全てを注ぎ込んだ。早く走るという行為を最優先させた結果、キセキが起きた。
自分でももう2度と同じものを組み上げることはできない事を知っている。
もう、偶然とキセキが出会うことはない。
「本気、、だすよ。」
榛名山名物の5連ヘアピン
はるなの最も得意とする場所に入るその瞬間、相手の戦意が無くなるのを感じそれと同時に減速していくのが分かった
「え!なんで!?」
相手はハザードを出して路肩に止まっている。
はるなもハザードを出し路肩に止まる。
「え?え?え?どったの??え?もうバトル終わり?決着ついたの?」
状況がうまく飲み込めていないサツキがはるなにたずねる。
「いや、5連ヘアピン入る前に相手の戦意が喪失したの、、、故障じゃないみたい。」
「なんだろ、、、あ!ドアが開いたよ!なんか待ってるみたいよ!」
サツキがはるなの肩をポンポン叩く。
はるなもどんなドライバーなのか気になっていた。いったいいつからライトもつけずに自分の後ろについていたのか好奇心をくすぐられる。
はるなはサツキに返事もせず車を降り、サツキもそれに続いて車を降りはるなの後を歩く。
相手はライトに照らされシルエットしか見えない。思った以上に小さい、、女性か?
「流石は涼音のNSX-Rに勝っただけはありますわね!!驚きましてよ、あたし!」
はるなが疑問を持ったと同時に影の主が話しかけてくる。
相手の姿が見える所まで見えて2人はビックリする。
頭からつま先まで全身黒ずくめのロリータ服、ふんわりと広がったスカート。きっと下にかなりの布量のパニエを下に履いているのだろう。そして地下アイドル並みの高い位置のツインテール。そして頭の上にちょこんと乗った小さなハット。
しかし驚いたのは服装ではない。
ふくよかなのだ
一部分だけであったら色気につながるが、そうではない。
全身なのだ、、そう、ぽっちゃりなのだ。小さな身長とあいまってどこかそれは愛くるしくみえた。
しかし、ふくよかだといっても顔はとても可憐で可愛らしかった。薄い化粧にもかかわらず、まつ毛は長く目は切れ長でぱっちりとした二重。全体的にハッキリとした顔であった。
「やびゃ、可愛いい!!」
サツキが自分の口を覆って小声で言った声を相手は眉を歪ませる。
「はあ、、、また私の美しさの虜にしてしまいましたわ、、、でもすみませんこと、ワタクシ、涼音お姉様しか興味がなくてよ。」
「「、、、、え?」」
2人が固まった、、。
榛名山は一瞬いつもの静けさに包まれた、、
とりあえずこれからもマイペースに書いていきやす!
よろしくぅ!!




