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第24話 『Never Gonna Be Alone』

マイペースな小説を読んで下さり、本当にありがとうございます。


風が、何かを感じたように止んだ。


うわああああぁぁぁぁぁ!!!

歓声が妙義山を包む。


「勝ったのは、、、俺達、、、

マッドハッター妙義だあああああぁ!!!」



ウオオオオオオオオオオオオォォォ!!!!



マッドハッターのメンバー全員が空に拳を突き上げる。


歓声を車内で噛みしめるタムラ。

「マッドハッターに入って良かった、、、ううん、ナイトウ氏と会えて良かったでござる!FDを見つけるまではずっと、、、ずっと1人だったけど、、、もう、1人じゃない。今は、拙者達の勝利を共に喜んでくれるメンバーが気が付けば、、、こんなにもいるでござる。」


「はぁ、、、、はぁ、、、拙者達の、、、人生で、、、かけがえの無い物はこのマッドハッターのメンバーとFDでござるな。」


ナイトウはもうギリギリだった。


「す、すまんでござる。久しぶりにカチッときたら、、反動がデカイで、、、、ござるな。もう、、、ハンドルも握れないでござるよ、、」

ナイトウは完全に満身創痍の状態だった。


たしかに勝った。

しかし、それは技術の差ではない。車の性能の差でもない。



ナナやアンナより『妙義山という場所を知ろうとした結果だ。』そこに尽きる。

相手をねじ伏せようと走るZC33S

そして、どこまでも妙義山という峠を知ろうとし、FDがどう走りたいか車の声に耳を傾け続けた結果がナイトウ、タムラの勝利なのではないかと考える。



他の場所だったら多分負けか、引き分けだろう。


しかし、ここはあくまでも公道なのだ。

走り続けるか、それとも離れるか。




その瞬間、FDのドアが外から開かれる。

マッドハッターのメンバーが迎えに来たのだ。

「お疲れ様!!ってやっぱり!おーい、みんなー!ナイトウさん運ぶの手伝ってくれー!!」


「ははは、、すまんでござるな。って!!」

ナイトウは数人の男子に担がれるとその場で一気に男子に胴上げされていた。


「ちょwwwwおまいらwwwやめるで、、、、ござるよwww」


ナイトウはイヤがるようなセリフを言いながらも、まんざらでもない顔をしながら胴上げに身をゆだねていた。


「すげーっすよナイトウさん!!あの追い上げ!!感動しました!!」


「あの最速エリアともいわれる、神奈川エリアのチームに勝つなんて!ナイトウさんとタムラさんはマッドハッターの鏡!いや、群馬エリアの鏡っすよおおおお!!!」

たった2人きりで始めたマッドハッター妙義。

気がつけば多くの仲間達と共に峠に生き、峠で

同じ時を過ごした仲間達。タムラとナイトウの走りに惚れた者もいる。しかし、皆が気付いている。


タムラとナイトウがいたから。


この2人が皆を引っ張ったからだ。

引きこもりだったあの頃の2人はもういない。

走り屋という本当に小さな小さな世界。

しかし2人は見つけたのだ



人生の宝物を。



ひとしきり盛り上がりが終わると、タムラはナイトウに肩をかしてナナとアンナに近づいていく。


「ちくしょう、、、ちくしょう!!」

ナナは泣いていた。人目もはばからずに。


「ナナ、、、」

アンナの手がナナの手をそっと掴む。

「分かってる、、、分かってるよ、、、そーだよな、、選ばれたんだよなコイツらは。俺達はFDに選ばれなかった。ただ、SWIFTには選ばれた、、それだけだよな。そして負けた理由も分かる。私情を挟みすぎた、、ごめん、、、。」


「「選ばれなかった??」」

ナイトウ、タムラが口を揃えて聞き返す。


アンナがこちらを向きゆっくりと話す。


「あなたたちのFD、、、もともとは私達が乗っていた車なの。」


「「、、、なあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」」

ナイトウ、タムラは驚愕の事実に固まる。


そんな2人を見つめながらアンナは淡々と語る。


「びっくりすると思った。私達も2人でそのFDを買ったの。正直、地元じゃかなり速い方だった。でも、、、、触れ合って初めて分かったんだ。自分達はFDに選ばれてないのが。

FDの恐ろしいくらいの旋回性能とかスピードとか、、なんだろう、、、そうゆうことじゃなくて。最後にFDを信じきれない、どこか自分達の車じゃない。そんなふうに考える自分達がいたんだ。

でもね、そうゆう気持ちを振り切りたくて、何度も何度も走り込んだけど、、、、やっぱりどこかいつも信じきれなかった。」


アンナが夜空をみつめる。

何気ない素振りなのに、美形のアンナかやると映画のワンシーンのようにも見せた。

そしてナナが泣くのをやめて語り出す

「そんな時だよ。後輩がZC32Sに今のスイフトの前期ね、乗っててさ。FD乗ってる時っていっつも難しい顔してケンカして、、ギスギスしてたんだよね。それがねZC32Sに乗って走った時は忘れない。

初めて車を買って2人で峠を走り出した時の事。2人でワクワクしながら笑顔であーだこーだ言って夜明け前まで走ってた事、、、

その時思ったんだ。あぁ、自分が好きなものがいつも自分に合うわけじゃないって。

スイフトも正直、どっか自分達の車じゃないじゃないかなとか思うよ。でもさ、、、人生って色んな道があるように2人でSWIFTで走る人生もまた、もう1つの形なんじゃないかなとか思うんだ。ZC33Sは32Sよりさらに自分達に近い立ち位置にある車だってのが顕著に感じられてね。」


ナナはZC33Sに視線を移す。

そしてアンナがナナに代わるように話し始める。


「妙義に有名なFDがいるって聞いて来てみたらまさかの自分達が乗っていたFDだとは思わなかった。、、それと同時に2人に対しての嫉妬とか色んな感情が溢れ出てしまったの、、、本当みんな、、マッドハッターや他のみんなにはごめん、、、ごめんなさい、、。」


ナイトウはギャラリーやメンバーの顔を見渡す。ナイトウの表情だけでメンバー達は何が言いたいのか分かった。


「その言葉は不要でござるよ。、、、みんな走り見ればその姿勢が分かるでござる。」


そう、分かるやつには走りを見ればわかる。

どれだけ真摯に車と向き合っているかが。


みんなより少し距離をおきながら、はるなはギャランにエンジンをかける

心地良いアイドリングの音にアンナとナナも気付く。


「次はアイツともやってみてえな、、。アイツの雰囲気もすげぇけど、、あの車、、どこにでも転がってるオッサンクルマじゃないね、、、なんつーか、、」


「周りの空気を震わせてる。『別格』。ドライバーもそう。」

ナナの言葉を紡ぐようにアンナが続いて話す。


はるなはギャランに乗りナイトウ達に近ずく


「、、また、来るね。そっちの2人は、、」


「アンナ」「ナナだ」


「アンナ、ナナ。、、、次回はあなた達2人のホームで、、、戦おう。」


挑戦的でもない、ただ『早く走る』という純粋な気持ちが瞳から溢れるような表情。


アンナもナナも何も言わず、こくんと頷く。


はるなはそれを確認するとギャランを動かしNAのヌケの良い音と共に闇に消える。


「拙者達も行こう。そろそろ警察が集まってきてしまうでござるよ。」


「了解、、行く前に1つだけ聞いていいか?」

ナナがナイトウ、タムラを引き止める


「ん?良いでござるよ。」


「あのドライバーの立ち位置は、、今どのくらいなんだ?」


「、、はるな氏でござるか、、まだ分からないでござるが、、、」


ナイトウ、タムラがアニメでお馴染みの仕草でメガネの位置を直す。


「下りでは多分、、、群馬エリアではかなり最速の部類に入るかと。しかし、、、」


ナイトウの言葉が途切れると、タムラが途中から話し始める。

「ここ、1発の速さなら、、の話でござる。バトルの仕方によっては前後入れ替えの何本かの勝負になった時、、、かなりツラいでござろうな」


「集中力が続かないってこと?」

アンナが疑問を口にする


「いや、正確には続かないんじゃないでござる。『続けることが出来ない』んでござる。はるな氏の走りは拙者達が走っている際の情報処理や記憶力のもっと上をいっているんでござる。、、あれは異常でござる。多分あれは、、」


「もしかして、、瞬間記憶力、、」

ナナがつぶやく


瞬間記憶力とは、その名の通り1度見た景色や風景、体験を写真のようにいつまでも記憶し続けるという特異な記憶力の事だ。

かなり稀だがそうゆう人間が実在する。


「正解でござる、、。しかも異常なレベルの。100キロを超えるスピードの中で目に見えるもの体から感じる車からの情報、それらを一気に処理してるんでござるよ。常人では見逃してしまうレベルの情報ですら、、、、多分はるな氏が見ている世界は、、サーキットやF1で活躍するプロと同レベルか、、、またはそれ以上なんでごさる。」


「マジかよ、、?じゃあアイツは、、、」


「いや、はるな氏は多分、、そちら側の人間ではござらん。拙者の見立てでござるが、、、あれだけの速さで走ることが出来ても、、才能に見放されているんでござる。」



「才能に見放されている??」


「はるな氏の走りはなんというか、、変な話なのでござるが、、、走る才能が全く無いんでござる。それを無理矢理に努力と記憶力で全てを補っているんでござる。元々無いものを補うというのは常人の何倍もの体力と精神力を使うんでござろう。」


ナイトウの分析は止まらない。


「だからはるな氏は必ず1回のバトルで決める。いや、決めざるを得ないのでござる。だからこそあの速さなのでござるが、、。しかし、実力が拮抗した相手が今後出て来た場合、何本かのバトルになった時、、、はるな氏はあっけなく負けてしまうかも、、、しれないでござる。」



はるなは妙義山の下りをやや攻めたラインで帰路につく。

クラッチを踏み込み、シフトチェンジする。当たり前のその動作。しかしその動作は自分につけられている大きな枷、その太い鎖を振り払い大地を踏みしめ1歩1歩に全てを賭け、ゴールを目指す登山家のようにも見えた。




そして、何事も無かったように妙義の夜が明ける。



妙義山 FD3S vs ZC33S


マッドハッター妙義 FD3Sの勝利で幕を降ろす。


現実のはるなに「私、走ってなくない!?」とツッコミを食らいました、、。

すみません、主人公を取り巻く周りのストーリーも深めたかったもので、、。

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