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第23話 『Beyond your limits』

現実のはるなはギャランにスモークを貼ったり車高調入れようと考えたり楽しいドライブライフを過ごしています。


二台は狂った龍のように高速コーナーをクリアしていく。

たった4本のタイヤ全てに命と、技術を叩き込む。

ワンミスで命を失うかもしれない。

分かっていると思うが、車とはそうゆうものなのだ。自分も他人の命も奪ってしまう。

だからこそだ。非合法の中でしか生きていけない走り屋は必ず生きて返り、誰も傷つけてはいけない。


ただただ非合法。純然たる違反。ののしられ、けなされ、非難される行いなのだ。どんなに取り繕っても正当化など出来はしない。

ノーマルの車に手をかける。それは『普通』とは一線を画すということなのだ。

決して君の行いは誰も認めないし、認められない。


それでも、、分かっていながらそうゆう世界で生きれず、戦っている、、いや、戦うことしかできない人間達がいる。



ZC33Sはまるで雷撃のように全てを切り刻むように、圧倒的な存在感で走り抜ける。

そしてそれを追うFD3S。


「はははっ!!すげえ、すげえよ!だから県外遠征はやめられねぇんだわ!!」


世の中を天才と凡人で分けるならば、ナナは確実に天才の領域である。

天才と凡人には、決して埋められない差が確実に存在する。インプットしたものを確実に理解アウトプットし、それらをアレンジし自分の物にする。

FFのZC33Sは操作性がよく、使いやすいのはノーマルまで。FFはすべての機能をフロントタイヤ2本に集中してしまう。どんなにスズキが技術を集約した最高のFF車だとしても、だ。集中するということはその分タイヤの負担は大きい。チューニングすればその特性は顕著に表れる。

しかし、それらを確実に理解し乗りこなす。



車を操作し、速く走らせるという技術だけで見ればナイトウ、タムラより一歩先を行っている。



そして凡人の中にも天才、、いや、異端がいる。

色んな事が普通以下。職場でも学校でも全くパッとしない所かクラスの足を引っ張るヤツ。

しかし、自分の好きな事だけには異常な程の集中力の持続を見せる。


それがナイトウだった。


彼はそんな自分を認めている。自分を拒否したり、できなくて悩んでいるとかそんな次元で物事を捉えていない。

緩い左コーナーを2台とも絶妙なポイントのブレーキングでクリアしていく。



ナイトウは自分とREは似ていると感じている。

RE。それは世界から見捨てられたエンジンでは無いだろうか。

どの国も試作段階で諦めている。REを作り出した会社ですら撤退している。それをマツダの技術者達が挫折と挑戦を何度も何度も繰り返した。諦めずに貫き続けた信念の成果が技術の宝石のあとREだと思っている。


以前のナイトウも同様だった。周りから見捨てられ、社会から見捨てられ。人生を諦めていた。

ずっと引きこもりだった。毎日毎日ネトゲ三昧。そんな引きこもりのナイトウを外に連れ出してくれたのは家にあった親の軽自動車だった。


夜のドライブだけが救いだった。


そんな夜のドライブ中、ある店の前を通りかかった。夜中だというのにその人は楽しそうに車を整備していた。まるでおもちゃを買ってもらった子どもの様にキラキラした目をして。


「あの、、なんでそんなに楽しそうなんですか?」


その人は少しびっくりした後


「おっ!気になっちゃった!?どーせなら見てく?」



コミュ障でコンビニの店員とすらまともに話せないナイトウが久しぶりに話しかけた相手。そこは軽井沢のスクラップ屋、はやまるの店だった。


「面白い日もあるもんだなあ、こんな夜中な声をかけられるなんてさ。しかも2人から。」


「2人?」


ふと整備している車の運転席見ると、1人のいかにもネクラそうな女の子がいた。

それがタムラだった。


そして、、その時に整備していたのが今のナイトウとタムラのFD3Sだった。



それから2人はREに魅せられ、REと同じく小さな灯火を心に宿すのだが、、、その話は、またの機会がある時に、、。




「ナナ!気をつけて!FDの動きが、、、ううん、リズムが明らかに変わった!」


「ああ!?リズム!?」


FDとZC33の距離がコーナーを立ち上がる度に縮まる。


「なんで?車間が詰められてる!?立ち上がりが速い!?」

アンナが叫ぶ


闇にまぎれるようにZC33Sを追撃射程距離に捉える。

「っっっ、、、ざっけんなよ!!!ポンコツボロ車があああ!!!!こんな連続コーナーが続く所で差せるワケねぇだろがああああ!!!!」


「大丈夫、、落ち着いて。次のコーナーややツッコミ気味で!サイド引いて!」


アンナの指示にナナは的確に沿うようにサイドで荷重移動。ただでさえくるくる回るZC33Sを手足の様に扱う。



走りの中のリズム。それは確実にある。リズムをとるということは適度な力で車を操作するということだ。


どんな競技にでもいえる『脱力』それ無くして頂点には届かない。


雷の様に攻めるZC33S

アグレッシブは走りは観る者を熱くさせるがまだどこか荒削りな部分がある。


FDはゆるやかにコーナーに侵入しクリアしていく。狂った速度の中でゆるやかなペダルワーク、ハンドリング。


一切の無駄が無さ過ぎる。


「(入ったでござるな、、、。)」

タムラがゴクリと唾をのみこむ。


ナイトウは何度も言うが、ただの凡人だ。

ドライブ技術も確かにある程度の速さはある。が、どこか凡人の域を超えていない。しかし、REだけは、、、、いや

FD3S自身の車に乗る時だけは圧倒的に凡人を凌駕する。

というか、この車しか乗れないし乗りこなせない。



異端



まさにこの言葉に尽きる。

神様はナイトウに何の才能も与えてくれなかった。だからこそ突出してしまった。

凡人だからこそ到達してしまった。FDに乗っている時だけ、、しかも本当に本当に僅かな時間だけ、、、ナイトウは本質的は部分でFD3Sを理解する。



理解しようとした、FDを。

理解しようとした、妙義山を。



連続コーナーが続く中、立ち上がりでZC33Sに並ぶ。



イン側から侵入するFD


「行かせねえぇぞ!!!ゴラァあああああ!!」

叫ぶナナ


FDはありえないラインを通り、コーナーを脱出。


溝落とし


草木が伸びてほとんど見えていなかった。

蓋の有無すら確認出来ない場所に、当たり前のようにフロントノーズを寄せるFD



もう逆転はなかった。


ゴールに辿り着いた時には、、、、、


車3台分はあろう距離でZC33Sを突き放していた。


多くのギャラリーがいるのにも関わらず、誰一人声を発せずに勝負は終わる。



ナイトウの発する気に全員があてられたのだろか


妙義山にフワッとした風が吹いた。

まるでこの雰囲気を流すかのように。


FD3S vs ZC33S


FD3Sの勝利で幕を閉じる。




今回も、読んで頂きありがとうございます。

今後もマイペース更新で行こうと思います。

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