表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犯人探し  作者: ずかみん
7/26

悲しいけれど、それも人間世界の一部だよ

『ねぇ、千夏。きみがしているのは、とても危ないことだよ』


 携帯画面の中で、黒い子猫が言った。


「分かってるよケットシー。でも、ほっとけない。この世はケダモノばっかりだ。どうなってんの?」


『悲しいけれど、それも人間世界の一部だよ。きみが責任を感じる必要はないんだ』


 ケットシーは、ネット上で無料配布されているおしゃべりソフトだ。

 画面に現れた黒い子猫が、おしゃべりの相手になってくれる。アルゴリズムは誰も知らないけれど、ほとんど人間と話すのと変わりないほど、自然な会話が可能だ。


 世界中で、びっくりするくらいたくさんの人が利用している、公開されてから、もう十五年にもなる定番ソフトだ。たいていの端末に対応している。


 あたしは、自分の部屋で、机の前に座り、調査の最中だった。

 この年頃の女子としては、何もない部屋だ。体にあう服は、使い込んでつるつるの制服と、部屋着しかない。


 パソコンのモニターは一つでは足りないので、お姉ちゃんのお金をつかって六モニター体制だ。お母さんは、あたしが株取引をしていると思っている。


 来ているスウェットはちょっと汗臭い。やばい、あたしの女子力は息絶える寸前だ。


「いま、調べてる奴らもひどいよ。すでに自殺者が三人。悪質なのは、きっちり追い込んで、必ず死なせること。お姉ちゃんを死なせた連中は、それでも、商品価値がなくなったら開放していたからね。暴力で口止めしてからだけど。でも、こいつらに比べたらまだ、ましだ。なにか知ってる?」


『さあ?』


「知ってるんでしょ?」


『言っただろ。ぼくは人間の世界には干渉しない。たとえそれが、どんなにひどい出来事でもだ。ぼくが出来るのはおしゃべりだけ。ぼくはきみたちと友達になりたいんであって、きみたちを家畜にしたい訳じゃないんだ』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ