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『異世界のススメ』  作者: メイリ
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第4話

「ミコトォーーーー!」


ありゃ、スイが呼んでる。

早く戻らないと。

私は急いで森から出てスイの声のする方に向かった。


「ごめーん、スイ。ちょっと人助けしてた〜〜。」


「ごめんじゃないよ。探したじゃん。」


「本当にごめんね。それで、どうだった?」


「おい、本当に悪いと思ってるのかよ。しょうがないなぁ。まあ、結果を言うと大丈夫だ。ミルザから門番に話しをしてもらって入れるようにしてもらったから。」


「やったー、ありがとうスイ!」


私はスイに抱きついた。

てか、精霊って触れるんだね。

しかも水の精霊だからなのかひんやり気持ち良い。


「こら!離れろよ!」


スイが心なしか赤くなっているような。

もしかして照れてる?

ふっ、面白い。

私はここぞとばかりに触りまくった。

………そして怒られた。


「スーイ〜〜、ごめんよ〜〜。許して下さい。はしゃぎ過ぎた、反省してるよ。」


スイが私から離れたところで怒っている。

もうしないよ〜〜。


「もうあんな触るなよ!次やったら水魔法ぶっ放すからな!!」


怒ってるけど、きっと恥ずかしかったんだろうなぁ。

カワイイなあ〜。でも、言ったら怒られるから言わんけどね。


「うんうん、もうしないよ。さあ、ローランの街に行こう!」


スイはまだちょっと拗ねてるけど、私についてきた。

私達は門へと進んだ。

門のところで手続きする為の列に並ぶ。

私達の番がきた。


「身分証は持っていますか?」


「あ、あの、この街のギルドのミルザさんから連絡が来てると思うのですが。」


「あー、あなたがミコトさんですね。ギルド長から話は聞いてます。どうぞ、お入り下さい。ギルドへは門を入り大きい通りをまっすぐ進んで、噴水広場を左に曲がりちょっと進んだ所にある赤い屋根の建物ですよ。看板も出ているのですぐわかると思いますよ。」


「あ、ありがとうございます。失礼しまーす。」


私とスイは門番さんの横を通り抜けた。

スイは他の人には見えないけどね。

門を通るとそこは大きな街並みが広がっている。

どこか外国に来たイメージだ。

スイと一緒にまずギルドへと向かう。ミルザさんにお礼を言わねば。

でも、さっき気になる言葉が…。

なんかギルド長って言ってたような。もしかしなくても偉い人なの?


そうこうしているうちに、赤い屋根の建物が見えてきた。

あれかな?周りの建物より大きいし。


到着っと。

さて、中に入りますか。

ドアを押して中に入る。

中に入ると、人がいるカウンターと喫茶スペースみたいのがある。

待ち合わせ場所みたいな感じ?

とりあえず、カウンターへと近づいてみる。


「こんにちは!本日はどのようなご用件ですか?」


受付のお姉さんが笑顔で聞いてくる。

美人さんですなぁ〜。こりゃ冒険者さんたちがやる気出しますわ〜。

えっと、用件、用件っと。


「あの〜、こちらにミルザさんとおっしゃる方がいると思うのですが…。」


「ミルザですか?確かにおります。ギルド長にどんなご用件でしょうか?」


あっ、やっぱりギルド長なのね。

スイのお母さん、頼りになるって、なり過ぎの人じゃないですか。


「えっと、私はミコトと言います。たぶん、名前を伝えていただければわかると思います。」


そう、伝えるとお姉さんは確認しに行った。

突然見知らぬ人がギルド長を訪ねてくれば不思議に思うよね。

ちなみにスイはその間その辺をユラユラ飛んでいる。

ここでスイに話しかけても、みんな見えないから私が怪しい人になっちゃうしね。

ん、お姉さんが帰って来たみたい。


「お待たせ致しました。ギルド長がお会いになるそうです。ご案内致しますので、ついて来て下さい。」


私はお姉さんの後をついていった。

スイも大人しく後ろからフワフワついて来る。

階段を昇り、立派なドアの前に来た。

お姉さんがノックすると中から声がした。


「入っていいですよ。」


「はい、失礼します。ミコトさまをお連れ致しました。」


中に入るとこれまた綺麗な人が立っている。


「案内ありがとう。君は仕事に戻っていいよ。」


お姉さんは失礼します、と言って去っていった。


「さて、初めまして異世界のお嬢さん。私がギルド長のミルザです。」


そう言うとミルザさんは笑顔を向けてくれた。

うわー、スイのお母さんも凄い美人さんだったけど、ミルザさんも凄いね。

綺麗な銀色の髪を一つにまとめている。

目は吸い込まれるような藍色だ。

精霊の血が入っているという言葉も納得の美しさです。


「あ、はい。初めまして五十嵐美琴と申します。今回はありがとうございました。」


「久しぶりにスイが飛び込んできた時は驚いたよ。しかも、なんか必死に訴えてくるし。スイが認めて、スイの母親からも頼まれたら断れないよ。大船に乗ったつもりでいて。ここでの生活に慣れるまでいろいろ手助けするよ。」


「ミコト、これでひとまず安心だな。ミコトは魔法使えるんだからギルドで仕事こなせばそれなりに稼げるんじゃないか。」


「うん?ミコトさんは魔法が使えるのかい?異世界人で魔法をいきなり使えるのは珍しいね。もし良ければギルドで冒険者登録してみるかい?初心者用のクエストでも魔法が使える者だったら結構いい稼ぎになるよ。」


うーん、そうだね、ここで生活するなら何かで稼がないとね。

そういえばさっき戦ったウサギの角って売れるのかな。

ついでに聞いてみようかな。


「冒険者登録してみようと思います。ところでさっき大きいウサギと戦って角を獲ったんですが、これって売れますか?」


私が懐から出した角をミルザさんに見せると、ミルザさんがビックリした顔をしている。


「え、これって、ビックラビットの角だよね。なに、これ。こんなキレイな状態の角なかなかお目にかかれないよ。これミコトさんが切ったの?」


「はい、さっき森の近くで襲われている人がいて助けたんです。その時魔法で角をを切ったんです。ウサギは小さくなって森の中に消えて行きました。」


「へえ〜、さすが精霊に認められただけあるね。ビックラビットは角が弱点なんだけどなかなか硬くてきれないんだよ。だから普通は角じゃなくて身体を狙って倒す。そうすると倒した途端何故か角が消えるんだよね。薬にもなるから需要はあるんだけどなかなかのレア素材なんだよ。」


「ミコト、俺と離れている間になに危ないことしてるんだよ。ここは危険な生き物もいるんだから気をつけろよ」


「おやおや、スイは随分ミコトさんが大事なようだ。そうそう、その角は売ってくれるなら高額査定が期待できるよ。そうだなぁ、たぶん100万ルナぐらいかな。」


ええー〜ーー!そんなになるのー!

こんな角が100万円相当って。異世界スゴイ。

当座の生活資金にしましょ。


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