第2話
私はカワイイ精霊に誘われ、森の奥へと向かった。
青い精霊は思った通り水系統の精霊らしい。
私が水を出したからそれに惹かれてやって来たみたい。
ちなみに名前は『スイ』と言う。
さすがにいきなりこんな人間が、精霊がいる森の奥に行って良いものなのか迷ったけどスイが言うには異世界から召喚される人間は基本悪人がいないとのこと。
もしかして、そういう事も考慮されて呼ばれてるわけ?
そんな事を考えているうちに拓けた場所に出た。
綺麗な泉もある。
スイが泉の方に行くと、そこから新たな精霊が現れた。
「母さん!」
スイがその精霊に呼びかけた。どう見ても子持ちには見えんよ。
大体15、6才に見える。し・か・も、すんごい美少女。
「スイ」
声まで綺麗なんて、パーフェクトじゃないですか!
「母さん、この人異世界から召喚されたんだって。森の中にいて、俺のことも見えるし会話まで出来るから連れて来ちゃった。」
「そうなのね、初めまして異世界の人。私はこのリインの森の番人をしている者です。」
「は、初めまして!私は五十嵐 美琴と申します。森の中で困っていたらスイがここに連れて来てくれました。」
するとスイのお母さんは嬉しそうな顔をした。
「あら、スイ。ミコトさんに名前を教えたのね。よっぽど気に入ったのね。ふふっ。」
「だって、ミコトはスゴく綺麗な水を出せるんだ!それに俺の姿も見えるし、喋れるし、そんな人間初めてで……。」
スイはなんだか照れくさそうにお母さんに話してくれた。
「ミコトさん、精霊が人に名前を教えるのは特別なんですよ。自分の力をその人に使うっていう意味だから。この子のことよろしくお願いしますね。」
えっ、よろしくって。もしかしてついて来るのかな?一緒に来てくれるなら嬉しいけど、こんな小さい子を連れてっちゃダメでしょ。
「あ、あの、さすがにこんな小さい子をお母さんと離せませんよ。とてもしっかりしてると思いますが。」
私の言葉を聞いて2人は顔を見合わせた。
な、ナンデスカ?その笑いを含んだ顔は。
「ふふっ、心配ないですよ。精霊は自分の動きやすい姿をしているだけですから。私だってかれこれ500年ぐらい生きてますからね〜。ちなみにスイはまだ50年ぐらいですけどね。」
!!さすが異世界。私の常識に当てはめちゃダメだよね。
「それで、ミコトさんはどうしたいですか?街に行きたいのであればスイに案内させますよ。それに、ここから近くてそれなりに大きい街に知り合いが居ますから何かと便利ですよ。」
そうだね、いつまでも森にいるわけにもいかないしスイもついてきてくれるなら行ってみようかな。
「では、お願いします。スイも本当に私についてきていいの?」
「うん、俺ミコトが気に入ったし。帰って来ようと思えば俺たち精霊はすぐにこの森に帰って来れるんだ」
おーー〜、さすが異世界。なんか二言目にはこのセリフだね。
でも、さすがにこの日本の時の洋服じゃあ目立つよね。
ん、待てよ。私の魔法ってイメージが大事なんだよね。もしかして出来ちゃう?聞いちゃう?
私はペンダントから本を取り出して話しかけた。
「ねえ、もしかして魔法で服も出来るのかな?イメージ出来ればいいんだよね?」
『確かにイメージが出来れば大丈夫だが、慣れないうちは無から創り出すのは難しいはずだよ。最初は元からある物を変化させていくイメージが良いんじゃないかな。例えば君のその服を、この世界の洋服に近づけさせればいい。ちなみにこの世界の洋服のイメージはこの図のような感じだ。』
お〜、まさか図解までしてくれるとは。
なるほど、ゲームに出てくるような服が多いのね。ふむふむ。
そうだ、せっかくだから魔法や物理攻撃にも強いイメージで作ろうかな。
私が本を見てウンウン唸っていると、スイが話しかけてきた。
「ミコト、その本って何なんだ?なんか魔力も感じるんだけど。何も書いてないよな?」
そっか、他の人には見えないんだっけ。書いてあることが。
「えっとね、この本は異世界で生きていくために必要なことが書いてあるんだよ。ただどうなっているか私もわからないけど、私以外の人には書いてあることがわからないんだよね。」
「ふーん、変わった本だな。嫌な魔力は感じないから悪いことは起きないと思うけど。」
へー、魔力にも嫌なものってあるんだ。精霊だから敏感なのかな。
とりあえず、服の改造をしちゃおうかな。
んー、まず全体的に魔法の力を纏わすように、それから物理的にダメージを受けないようなイメージを持って。うん、なんか服がホワホワ暖かい包まれてる感じになってきた。でも、これって本当に強くなってるのかな。それから、さっきの図にあったようなイメージね。まあ、魔法をメインに使うからローブみたいなのを羽織って、中は動きやすい服でブーツみたいなの履いてっと……。
意識を集中させて…………………ん、出来たかな?
目を開けて自分の服を確認してみれば、想像通りの仕上がりになっていた。
視線を感じてそちらを見てみれば、スイとお母さんがビックリしているのが見えた。
「ミコト!今の何?急にミコトが光り始めたと思ったら洋服が変わっていたよ!」
「あー、今ね、魔法で洋服を改造してみたの。だってあのままの服で街に行ったら目立つでしょ?」
「ミコトさんは不思議な魔法を使うのですね。たぶん特殊魔法の一種だと思いますが。私も永く生きていますが初めて見た魔法です。ただ、あまり人前で使うのはオススメしません。特別な力というのは良くも悪くも人を惹きつけますので…。」
そう言われたらそうだね。目立つのはマズイかな。今後使うときは場所を考えよう。
「はい、気をつけます。ご忠告ありがとうございます。」
私の言葉にスイのお母さんは笑顔を見せてくれた。
美人さんに微笑まれると幸せです!




