プロローグ
魔人。
それは人を超えた人。人間の数十倍もの力を持ち、いつの時代からか世に出現し、その圧倒的な魔力で民を震え上がらせた、畏怖される存在。
人間には使えない不思議な能力を操り、寿命も延びて中には千年以上生きる者もいる。およそ十万人に一人の確率で、人間からの突然変異を遂げる。ある日、突然その才能に目覚めるが、あまりにもその力が強大すぎるがゆえに、心を取り込まれ邪悪に染まる者が多かった。
彼らの暴走はやがて世界中を巻き込む戦争を起こし、一度はほとんどの人類がこの世から消滅した。
そして魔人たちは進化を遂げ、次第に自分たちの力をコントロールできるようになっていく。力の暴走を克服した魔人が新たな魔人の才を持つ者を鍛え、その連鎖を続けることにより異端者を出さないように努めてきた。
だが……それでもやはり、どうしても広い世界、全ての才に目覚めた魔人を鍛えることができず、悪に堕ちる者も出てしまう。彼ら、はみ出し者を人は〝異魔人〟と呼んだ。
時代は進み……人間社会が多様化し、犯罪も増加を辿る中、そんな異魔人たちを利用し、私欲を満たそうとする悪人たちも現れ始めた。これは、異世界で起きる、魔人たちの戦いのお話。