町中 前編
何とか投稿完了!
短いですが、ちょっとに諸事情で二分割させていただきます。
そして、私事ですがしばらく更新は停止します。
やらねばならぬことができたので、時間があればこれも更新していきます。
大きく開かれた立派な門を通り過ぎ中に入るとそこは大勢の人で溢れていた。
「師匠はここに来るの初めてでしたよね?しっかり手つないでおいてくださいね」
「だーかーらー、子供扱いしないでよ!」
そう口ではいうが、文句を言いつつしっかりと手を握ってくる師匠に口角が上がるが、知られたら一大事なので悟られないように前を向き歩き始める。
あの手紙が来てから何日かたって僕たちは、ひとつ隣の町に来ていた。教師の話を受けることになったので、明後日の遠出のためのものを買いに来たのだ。森で生活している僕らは基本的に自給自足できるが、遠出はもちろんのこと何日かに一回は買い出しに行かなくてはならないのだ。それにお二人はあの町に僕が行かなくていいようにもうひとつ隣の町のレリベイルに来てもらっているので、迷惑をかけてしまっている。いつもは僕一人なのでどうってことないが、魔法を使って体の補助をしているからといって年下の女の子を一つの町分歩かせるのは男としても弟子としてもいただけない。レリベイルのほうが品ぞろえがいいから大丈夫だよとは言っているが、師匠が気を使って僕に合わせてこっちの町に付き合ってくれていることを知っている。確かにレリベイルのほうが、自由交易都市の名に恥じない品ぞろえと商品の質がある。
しかし、今回の買い出しではあまり物を買う予定はなかった。なぜなら学園のほうに長期滞在するし、向こうで大きなものは用意してくれるということなので、2~3日くらいの下着やらなにやらを買うだけで済むはずだったのだ。こっちで揃う物のほとんどは向こうでも揃うし。
そもそも、僕は買い出しに参加するつもりはなく、本当なら今頃家で荷づくりをしているはずだった。僕としては、まだ下着類は使えるし、特に必要な物も思いつかなかったので、女の子として必要なものがあるんじゃないかな?と思い申し訳ないが師匠とリュー様に買出しに行ってもらって洗剤でも買ってきてもらおうと考えていたのだ。
しかし、突然師匠が、
「アレン!一緒に買い出し行こ!」
と言われたらもう従うしかない。
その時リュー様は、渋っていた。そして案の定、すぐに
「駄目です!アレンはあなたの荷物を準備するんですよ?そして、私たちは、アレンが買えないものを買いに行くのにマスターとアレンが一緒に買い物に行ったら駄目じゃないですか!そもそも、弟子とは……」
また始まってしまった。そう思っているとリュー様は師匠に何か耳打ちされると、はっとした顔になり速攻買出しに行くことを許可された。あれは何だったのだろうか?
「……レン」
なんか納得した顔をしていたし、あのリュー様が一回始まったお説教を途中で止めるのはなかなかない。
それに、前回のお説教は、師匠が手紙を書かなければいけなかったので、うやむやになってしまった。
「アレ……。」
だから、リュー様は相当な鬱憤が溜まっているはず。それなのに、また中断してしまうとは一体?きっと、物凄いことが……
「アレン!!」
「うわっ。何ですか師匠。突然大きな声を出して」
「突然じゃないよ!何回も呼んだのに全く反応しないんだもん。町に入ったばかりなんだから早くいかないとダメでしょ!」
あたりを見回すとこちらに刺さる視線の多さに軽く驚く。よく見ると僕たちを中心に少し空間ができている。
師匠は気が付いていないのか、繋いだままの手をブンブン振り回しながら憤慨している、
かわいい。だが、師匠の言った通りここはまだ町の入口なので早く進まなくちゃな。
「師匠!とりあえず行きましょう!人が割れてます」
「え?人が割れて……」
言葉が途中で切れる。顔が真っ赤になっていく。僕たちの状況に気が付いたのだろうか。
すると、突然手を引っ張り走り出した。身体能力を強化しているのか結構早くて、足がもつれそうだ。
「ちょ、師匠。待って」
そう話しかけるが、止まらない。しかも、どんどんスピードが上がっていく。恥ずかしさで無意識に魔力を全力で注いでしまっているのだろうか。師匠ほどの魔力を持っていると、とてつもないほどに強化されてしまう。たしか師匠は、おそらく同じ16歳の女の子の平均よりも筋力は低いはずだ、
しかし、師匠がひとたび強化すると師匠の研究の成果の効率的な魔法陣と師匠自信の魔力の多さも相まって自分の身の丈よりもはるかに大きいな岩を軽々と持ち上げることができたはす。結果的にその状態で町中を走ると大変ことになる。もうすでに舗装された道が若干へこんでしまっている。若干のところを見ると全力ではないっぽい。一応、僕も修行で体は鍛えているし、効果は低いが師匠のおかげで正規ではないが強化魔法も行使できる。
しかし、さすがに強化された師匠には敵わない。僕は諦めて、身をゆだねることにした。おそらく、人気のない広場にでも行くのだろう。景色から考えるともう少しで到着するので、周りに被害が出ないように気を付けながら手を引かれて走った。
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