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ある雨の日のこと

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 少し昔の話をしよう。僕がまだ私で、師匠とまだ出会ってない解きの話。

 少し昔の話をしよう。僕がまだ私で、師匠とまだ出会ってない時の話。

 少し昔の話をしよう。僕がまだ私で、師匠とまだ出会ってない時の話。

 そして、師匠と出会った日の話。

 それは、ある雨の日の出来事だった。今でも、いや、きっと死ぬその瞬間まで忘れることはないのだろう。あの日確かに雨は降っていた。それも豪雨といってよい日だった。

 しかし、雨は一瞬のうちにやみ、世界に太陽の暖かい日差しが降り注いだのだった。



 いつも通りの朝。誰にも起こされず、誰にも話しかけられない。体中から悲鳴が聞こえる。

 あれだけ、魔法を受けたのにいつもの時間に起きてしまった。習慣とは恐ろしいものだ。

 しかし、いつまでも、ぐだぐだしている暇はなく、急いで着替えて食堂に行く。

 何とか家族が来る前に席に着くことができたので、荒くなった息を整え椅子の隣に立って待つ。

 

しばらくすると父上と母上、弟が来たらしい。


「おはようございます。父上、母上。おはよう、アルディネール」


 帰ってくるのは父うっとうしそうな視線と弟と母からの蔑みのつぶやきがわざとなのか私の耳に入る。

 なんで、こんな子がこの家に… 我が母の言葉。

 おや?昨日あれだけ魔法を打ち込んだのに起きれたんだ。汚らわしい黒…本当に忌々しい 我が弟からの言葉。

 それに対して父は何も言わずに静観を貫いている。

 私は何も思わないし、思ってはいけない。

 御馳走様でした。と言葉を吐き、食堂から出る。

 声はもちろん掛けられないそう思っていた。

 しかし、今日は違った。


「おい、今日は話がある。午後になったらすぐに書斎にこい」

 父からの言葉だった。

「はい。わかりました」

 短く返し、足早にいつも通り図書室に向かった。


道すがら私は自分の境遇について考えていた。

 私は代々宮廷魔法使いを輩出している火属性の名門の貴族の家に身を置かせてもらっている。こんな扱いを受けるのは私が妾の子供なのが大きな理由だろう。私は父上と娼婦の間に出来た子で、娼婦の実母が死ぬことによって引き取られた子だ。

 なんでも、父上が若いころ冒険者として経験を積んでいいたときに出来た子供らしい。その時は、おそら避妊など考えていなかったのだろう。

 そして、ほどなくして母様は性病を患い死んだ。

 当時8歳の私にはあまりわからないことだった。それから、私はすぐに拾われた。


「どうか、我が子だけ育ててください。」


 それが母の最期の言葉だったらしい。

 正義感と貴族としての最低限の秩序からか拾ってくれた父にはとても感謝をしている。

 それからの二年間は貴族としてのふるまいなどを身につけるのに明け暮れた。

 幸い覚えは悪くなく、すぐに覚えられた。僕は、私に 言葉遣いは丁寧に 振る舞いは流麗になった。

 そこまでは、扱いも今ほど酷くはなかった。

 転機は、十歳の誕生日に行なわれた魔法適正判定。

 そろそろ、ふるまいも身に付けてられたということで、行なった適正判定。

 結果は悲惨なものだった。

 思えば、髪色が黒な時点からすこし…いや、だいぶおかしかった。

 属性は母様に引っ張られたのか火、風、水、土、木どの属性にも適性がなかった。

 魔力量も少なく一般市民に毛が生えた程度。

 絶望。一言で表すならそうだった。

 そこから、手のひらを返したように酷い扱いを受けるようになった。

 外には出してもらえず、誰にも話しかけられないし、話しかけることも出来なくなった。勉強も教師はつけてもらえず独学。

 一応、適性なしといっても適性が、まったくないわけではなく風属性と火属性にすこしだけあった。

 貴族の子としては、あるまじき低さだったが…。

 唯一よかったのは自由な時間が多くなったことだった。貴族の嗜みを強要されずに、今みたいに図書室に行かせてもらえるだけで、幸せだった。

 時折、窓に止まる小鳥やリスと戯れるのが至福だった。

 

っと、そうこうしてるうちに図書室についてしまった。

 さぁ、今日は何の本を読もうかな。

 古くなったドアを開けると、そこに広がるのは本の森。この家は、図書室の蔵書の量でも有名で、先代の当主様の代の趣味で、実用的な火の魔導書を中心に歴史書や礼儀作法が書かれた本、果ては絵本や料理本など娯楽関係のものもある。

 僕は特に、料理本が大好きで、ここにある料理本はすべて読んであると思う。時々、父上たちには内緒で、厨房を借りて料理を作ることがある。意外と好評で、最初は焼き菓子とか炒め物なんかしかやらせてもらえなかったが、今では煮込みものなんかもやらせていてもらっていて、無理を言って賄いなども作っている。

 窓に来る小鳥やリスなんかも気に入って食べてくれるので心がほっこりする。

 するとコンコンと窓を叩く音が聞こえる。

 窓のほうを見ると二匹の小動物が揃っていた。


「おっ。今日も来てくれたか」

 

噂をすればなんとやらとはこのことか、嬉しくてそんなことを呟きつつ、窓を開ける。


「今日もクッキーを持ってきたぞー」

 

そんな言葉を理解しているのか、小鳥とリスは私の手元まで来てクッキーを手から受け取る。小鳥のほうもいつも器用に食べていて、不思議に思うときがある。初めから私に慣れていたし、今も食べながら撫でさせてくれる。愚痴をこぼしたりすると言っていることを理解している節がある。


「もしかして人が変化していたりしてな」


 そんな風につい口からこぼれると、ビクッと体を震えさせる小鳥たち。どうしたのだろうか。

 すると、扉が開く音がした。入ってきたのは、使用人の一人だった。名前はわからないが、この場所の整理や本の搬入を担当していたはずだ。

 このことを察知したのだろうか。ともかくクッキーと一緒に見つからないようにこの子たちを外に出して、そっと窓を閉めた。

 そのまま後ろを振り向くと怪訝な目をしてこちらを見ている使用人がいたが、その視線を努めて気にしないようにし、ごく自然を装い元々用意していた火の魔導書を窓際の椅子に腰を掛け目を通す振りをした。

 しばしの沈黙の後、もう一度扉が開く音がして視線が消えた気がした。扉のほうを見ると使用人はいなくなっていた。

 ほっと一息をつき窓の外を見るともうすでにそこには何もなかった。

 まあ、仕方ないかと名残惜しみながらも本に目を落とした。

 突然ゴーンと響く時計の音。しばらく、読みふけってしまった。


「しまったっ!」


 読んでいた魔導書を手早く元の場所に戻し、駆け足で書斎に向かう。

 扉の前まで付き呼吸を整える。

 ノックをして入る。

 開口一番に


「申し訳ありっません父上!遅れました!」


 とあたまを下げる。


「っち。まぁいい顔を上げろ」


「はい。ありがとうござます」


「早速だが、屋敷を出ていけ」


「え?」



今回は続けるぞー

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