04 乙女ゲームらしく終わりましょう。
3話が長かったのに、4話は短めです。
でも、テイストとしては4話は別物なのでこれだけで。
『魔法王に取り憑いていた、魔王の闇は消え去った。
魔王に汚された魔法王国の闇がここに浄化される!
厨二病な君声、魔王討伐しちゃうぞ☆ルートクリア。
魔法王フラグ回収』
おどろおどろしい魔王の謁見の間は一転して普通の煌びやかな謁見の間になりました。
あれです。全ての魔法は解けましたって、国中がキラキラ輝いているやつでしょう。
「光と闇の巫女よ。よく魔王の悪しき闇と戦ってくれた。感謝する」
あれが魔法王の服なんでしょうね。黒っぽい服から青と白の明るい服に変わってます。特徴的だった黒マントは青く仕立てのいいマントになってますし、確かあの刺繍は国章ですね。
先に水晶がついた杖も持っています。闇の宝石箱がどっかいっているので、あれが杖に変わったということでしょうか。
「あれ、戦いでしょうかねー」
夫婦漫才したら全てが終わってましたけど。
「な、魔法王だと? 魔法王が魔王に操られていたというのか」
「何ということだ」
「はいはい。地理的にオチはわかっていたのに、何を言ってるんでしょーね、この勇者様方は」
ピンポイントで各地のダンジョンを落としていったのも、魔法王国の砦を順に回っていたからです。たったか回れましたよ。
「魔法王よ。魔王ショーシミンの闇に負けず、再び光を取り戻せたことに祝福を……」
「あれ? ベアトリス様が闇の巫女モード終わらないんですけど」
「闇の巫女よ、感謝する……しかし、この国に残された傷は深い……」
落ち込む姿は格好良いです。杖を握りしめ、国を憂う姿は確かに格好良いんですが。
何でしょう。コント臭が抜けないんです。
「魔法王よ。魔王の闇は世界の敵でした。魔法王国だけがその傷を負うことはないでしょう。どうぞ私にもお手伝いさせてください」
「闇の巫女……」
「どうぞ名前を……ベアトリス・ボッシーニと申します」
「ベアトリス殿。美しい名だ」
「我が王国の友好の証として、私が魔法王に嫁ぎましょう」
「えええ、ベアトリス様!? 結構無理矢理な展開なんですけど!?」
「ベアトリス殿、その申し出を受け入れよう。魔法王の第一正妃としてお迎えしよう」
「いや、いいんですよ。国や貴族の格としてはあんまり間違っちゃいない判断ですし。え、ここにきて乙女ゲーム補正とかなの?」
さっきまでお父さん、お母ちゃんって呼び合っていたじゃないですか!
何かの補正ですよねこれは!
と、振り返ると攻略者である勇者様方がすっきりした顔でにこやかに笑っていらっしゃいます。
「ベアトリス……行ってしまうのか」
「ベアトリスはいつか手の届かないところに行くとわかっていたよ。残念だけど、これも定めだね」
「ベアトリスが幸せならばそれでいい。何、俺もすぐに可愛い嫁さんを見つけるさ」
「さらばだ、ベアトリス」
「あっれぇぇ!? あれだけ執着していたのに、あっさりしていません!?」
『魔法王ルート、ベアトリスクリアしました。
エリアの学園ルート再始動します』
「再始動ですって!?」
「エリア、今まで旅をしてきて君の明るさと素直さにどれだけ俺が救われていたか、君は知っているだろうか?」
「エリアのこと、少しいいなと思っていたんだ。いつからだなんて覚えていないな」
「国に帰ればもう一度学校か。エリアと通えるのが嬉しいよ」
「光の巫女としての役目は終わりだろ。ならば、次は一人の女性としての幸せを見つければいい。そう、俺と付き合って探してみないか?」
「今更フラグ立てられても回収する気になれませんから!」
終わりましょう、といいながら終わるのはベアトリスだけ。
一応次で終わりです。