Chapter4
学校の選挙も終わり、やっと書けましたChapter4
実は自分の中で結末は決まっています。
…挿絵ってどうやるんだ?
ブラジル。
首都:ブラジリア
面積:851万4877㎢
人口:1億8677.1万人
人口密度:22人/㎢
人口増加率:1.4%
主要言語:ポルトガル語
通貨:レアル
知っての通り、南米最大の国だ。この蒸し暑い国に入国したのはほんの数時間前になる。俺はWEが手配した4WDでジョナサンの所へ向かっていた。
ジョナサンに近づくほど胸騒ぎは大きくなり、それは焦りと不安感に変わっていた。緊張による感情ではなく、何か後に大きな出来事が起きる、そんな根拠のない恐怖からくる感情だった。早くこの感情は消した方が良い。恐らく、この感情は、そしてこの恐怖はあの夢から来ているのだろう。飛行機でブラジルに向かう途中でもあの夢をみたのだ。仮眠中よりも鮮明に。そして、飛行機での夢はいつもとは違い、仮眠中のような第三者の視点ではなく俺の主観からの視点だった。何より驚いたのは、俺が見下ろしていたのはジョナサンだった事だ。
もしかしたらこれは正夢なのだろうか。もしそうだとしたら俺はジョナサンを殺すことになる。
しかし、それなら一つ気になることがある。何故俺は涙を流していたのだろうか。同じような任務は何度もこなしてきた。でも、俺は決して感情的になったりはしなかった。感情を殺すのが監視官の仕事だからだ。それほどまでにジョナサンは俺にとって大きな存在になるのか…。
と、思索を巡らせるうちにジョナサンのいるキャンプについた。男が窓を小突いて、
「どこから来た」
「プルトー(冥王星)」
俺は答える。すると男は満足し、通してくれた。
ジョナサンにはもう連絡を入れてある。俺はジョナサンにスカウトされたことになっているのだ。
「待っていた。早速だが中へ入ってくれ」
白髪交じりの髪をオールバックにし、眼鏡を掛けた男がテントから出てきた。この男がジョナサンだ。40代前半のはずだが、もう少し老けて見える。
さあ、とジョナサンに急かされ、テントの中へ入る。
「すまんな、こんな場所で」
テントは中々大きく、テーブルが真ん中に置かれている。ジョナサンは俺の前にコーヒーを置き、さて、と腕を組んだ。
「エド・ホーガンス…だったか。本部から話は聞いている。まったく、君のような若い男が監視官か。老兵は早く引退した方がいいのかね…君、歳は」
「28だ」
「28。よほど才能を見込まれたようだ」
と言うジョナサンの目の奥は鋭く光っている。どうやら俺の実力を見定めているようだ。
「では本題に入ろう。このテントの周りには誰も近づくなと言ってある。君は私を殺しに来たのか…」
ジョナサンは葉巻をポケットから取り出し火をつけた。
「まだ決まったわけじゃない。ただ、不確定要素が絡んできたので、監視を強化するというわけだ」
「それで君が…ふむ…監視の強化、ね…」
そういうとジョナサンは葉巻を燻らせ始める。
「協力はしてくれるんだろう。私もこの仕事は早く終わらせたい」
「一か月以内に」
ジョナサンは目を閉じた。
「そうだ。何としても一か月以内に終わらせる。これが不確定要素の焦りだというんだろう。何とでも言うといい。一か月が私のタイムリミットだ」
そういうジョナサンには狂気が少し感じられた。ジョナサンは俺の腕をつかみ、
「いいか。君が私を殺さなければいけないなら、ためらうんじゃない」
夢の景色がフラッシュバックする。
「私を殺せといった本部の誰の命令でも、私を殺せ」
「やめてくれ、考えたくない」
俺はジョナサンの手を振りほどく。
「悪いな。私を殺す時に君がためらうと困る」
「どういう意味だ」
「じきに分かる。私の読みが当たっていればな」
と、ジョナサンの携帯が鳴った。
「はい…今からですか…はい…分かりました。向かいます」
ジョナサンは葉巻を消し、
「ゲイツに呼ばれた。話があるらしい。お前にテントを用意しておいた。休むといい」
そういうとジョナサンは外に停めてあったバンに乗り、走って行った。
俺は自分のテントに入り、置いてあった椅子に腰を掛ける。
と、無線機が鳴る。フランクからだ。
「さっきのジョナサンとゲイツの会話の暗号解析に成功した」
というのも、ゲイツはかなり高度な暗号変換通信を使っており、今までジョナサンとゲイツの会話はモニタリングできていなかったのだ。
「そっちに繋ぐ」
『…例の計画について話がある…今から会えるか…そうだ…私の自室へ来い…』
「例の計画…」
「そのような報告は今まで一切無い。恐らく奴は何か俺たちに隠してる」
「モニタリングできたことはジョナサンに教えるのか」
「いや、まだ伏せておく。何かがありそうだ。また進展があったら連絡する」
通信が切れた。
ジョナサンが俺たちに隠していることがある。それに例の計画…。
どういうことだ。