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○○高校生の日常と憂鬱

早朝高校生の目覚めと恋心

作者: みーこ

拙い文章に誤字脱字誤変換が多々あると思います。

細心の注意を払っておりますが、もしもそういうことがあった場合、お時間があればご指摘ください。

「やーぁおはよう私の愛しの愛しの奏良(そら)ちゃん!! そろそろ起きないと私が王子様かわりに目覚めのキスを」

「もう起きてるからパッチリ目ぇ開いてるから!! なんで普通にちゅーしようとしてんだこの兄貴はぁ!?」

静かな朝に騒がしい悲鳴が響き渡る。もしもここが住宅街だったら訴訟モノだ。しかしながらここは住宅街ではなく大きな屋敷の一室。どれだけ叫んでもわめいても迷惑するのはその屋敷の中の人のみ。それを知っている少女――奏良は思う存分叫んで悲鳴をあげる。

「いい加減にしてってば(けい)兄!! また出禁にするよ!?」

「それだけは勘弁してくださいごめんなさい」

そして、この家では割と良く見る怒鳴る女子高生と土下座する成人男性の謎の図が出来上がった。

 それでも奏良は油断せず、家族一シスコンな兄がいつまた抱き着いてくるかを警戒しジリジリとベッドの端の方へ後退する。昔この状態から更に飛び掛かってきたこともあるから、この兄は油断ならない。この家族一の変態だと奏良は思っている。

「いーかげんにしろよー敬ー。奏良が機嫌悪くして引き込もったら誰がこの家の癒しになるんだよ。あと、じいちゃんの視線が怖くなる。あれは超怖い」

「今日は僕の店でコンサートがあるんだ。このコンサートをドタキャンされたら困る。僕が常連さんに怒られてしまう」

いつのまにか奏良の部屋の入り口に、彼女の二人の兄が、毎朝飽きずによく起こしに行くな、と呆れた様子で立っていた。

 二人は、言ってることこそバラバラだが、共通するのは奏良から離れろ、と、怒られたくない、というところだ。

 奏良の部屋に入り敬を引っ張り出した兄達に向け彼女はグッと親指を立てて二人の兄を褒めあげる。

「ナイスタイミングだよ天海(あまみ)兄ぃ(いと)兄ぃ!」

ここまでされながら敬は悪びれることもなく。

「いいじゃないかー別にー。大人のお茶目さ」

「じいちゃんに怒られるだろ!!」

「お爺ちゃんに怒られる」

「それはとても困るな!」

兄妹4人の共通認識の1つに、決して祖父を怒らせるな、というものがあるくらい、祖父は怒ると怖い。

 とはいっても、最近は角がとれて丸くなってきたようだが、それでも血圧的にもなるべく怒らせないように気を使う。

 そして、少し放置され気味の末妹、奏良は口元をピクピクとひきつらせながらも笑顔を取り繕う。

「さてさて、うちの兄貴ども? 私はそろそろ学校へ行く仕度をしたいと思うんだけどなあ」

「ん? 勝手にすればいいだろ?」

敬の襟首を掴みいい加減反省しろと部屋の前で怒っていた天海はキョトンと何でもないように言う。

「扉の前にいられると奏良ちゃんには邪魔かなあ? ご飯食べたいからどけ兄貴ども」

最後にはすっかり口調が変わり早朝の機嫌の悪さが見事に露呈した。そんな不機嫌な奏良に苦笑しつつ、兄弟一のしっかり者と名高い愛が纏める。

「それじゃあ、食べにいこう。お爺ちゃんもお祖母ちゃんも待ってる」



時も場所も変わり



「もー、機嫌なおしてよひーとーとーせー」

「………………。」

「悪かったってー。朝一緒に高校行こうとか奏良ちゃんにメール送ってー」

「………………………。」

朝食を囲みながら異義絵梨乃は軽い口調で弟――人生(ひととせ)の初恋を茶化しながら応援する。

「でもさ、こういうところで点数稼がないと、なんのために奏良ちゃんと同じ学校に」

「余計なお世話だっての。そんなことしなくてもどうせ通学途中で会えるってのに……」

絵梨乃の話を遮り仏頂面でトーストをかじる。絵梨乃はそんな彼をからかう様にくっくっくと笑い、食器を片付けるため立ち上がる。

「それもそうだね~」

にやりと笑いいつも以上に簡単に引き下がる絵梨乃を見て、人生の背中に冷や汗が伝う。

(随分あっさりひいたな……。いつもならこのあと何かしらおまじない教えたり寝癖に文句言われたりするもんだが……。あれ? 何か、嫌な予感、が)

彼の予想はあっさりと的中する。

「それじゃあこのメールにお断りを入れていいんだね!?」


<re:入学式だけど>

<奏良>

おっけーおっけー。

じゃ6号の前集合ね

それにしても、ヒートから誘って来るなんて

珍しいねー。雨でも降るのかな?w

そんじゃああとでね(*・∀・*)ノ


「やめてくださいお願いします!」

びしりと格好つけて示された画面を読む間もなく人生は慌てて彼女からスマホを取り返す。

「あはははは!あー面白!ごちそうさまでしたーっと

じゃあ頑張って奏良ちゃんエスコートしなよ?

食器はちゃんと流しにね。時間にも気を付けてねー」

「うるせー……。あーもうなんでこんな……」

人生はそのまま机に突っ伏し、頬の火照りが消えるのを待った。

彼の幼稚園からの初恋が実を結ぶのは、そして、奏良が彼の思いに気付くのは、まだ遠そうだ。

(つか、ぜってぇ言えねぇ……)


「それじゃ、行ってきまーす!」

「そんじゃ、ってきゃーす」


 二人は今日、斜間ヶ丘高校に入学する。

 そこで一体どんな体験をするのか、どんな青春をするのか胸をときめかせながら。


お目汚し失礼いたしました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オーソドックスにも感じますが、昨今の商業的作品ばかりを見ていると、逆にこのようなものに新鮮さを感じ、どんどん読みたいと思いました。 [気になる点] 良い点に反して言うならば、やはり「ありふ…
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