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第二話 成長

読んでいる方達に面白いと言ってもらえるようにがんばります。

 魔法を初めて見た時は、感動した。しかも動かせないとはいえ、『自分』が使っているのだ。魔力と呼ばれる力をジンが操るのが、俺にも感覚として伝わり、何となく理解できる。

今では普通に見慣れた「火弾」の魔法も、その赤くきれいな火の粉を飛ばして収束する様子、弾丸型に固定化した後、目標に向かい高速に飛んでいく様子、そして目標を貫いて爆散する様子は実際に目にするとすごい興奮を覚えた。ジンがチートな才能持ちだったのも幸いして、いくつもの魔法をすぐに使えるようになったのは我が事のように(実際に自分なのだが)嬉しかった。

・・・これで寝落ちしたある時、ジンが暴走して大怪我をしなければオチまで良かったのだけね。もっともその時の反省があり、俺の古武術を習うようになるのだから、人生何が幸いするかわからないものだ。


 そんな回想気味に考えに集中していると、声がかかった。

「シロウ、シロウ、聞いてる?もうすぐ終わるよ。」

ジンが返事をしない俺を気付かせようと呼びかける。あまりに単調な戦いに少し飽きて緊張感を無くしたようだ。いけない、普段師匠面をしている分、俺が気を抜いてはいけないよな。しかし戦闘自体は時間がかかるだけで、こちらが一方的に蹂躙している。

 今戦っている敵は、巨大なスズメバチの群れだ。場所は洞窟の中、奴らの巣が造られている。戦闘の流れはこんな感じだ。

 

 事前調査に基づき、洞窟の巣を遠くから確認する。

   ↓

 洞窟の入口を、炸裂魔法を付与させた弓矢で遠距離狙撃。

   ↓

 入口を塞いだ後、小さく土魔法で穴を作る。

   ↓

毒草を燃やした煙を、風魔法で流す。

   ↓

数時間後、入口を再び開け、空気を流して毒煙を散らした後、解毒草を飲んで突入。

   ↓

生き残りの蜂を全て殺して回っている。 ←イマココ!


スズメバチはしばらく動けない物ばかりだ。ジンは剣で的確に止めをさしている。経験値と呼べる、魂の欠片(シード)は火の粉のように舞い散るも、すぐにジンに吸収される。奴らは硬い表皮を持つが、ジンは剣に火の魔法を付与して、攻撃力を増して斬っている。これは一般的な魔法の使い方では無い。俺が習っていた古武術:神月流は退魔の呪術も兼ねている。所謂「霊力」を自分の武器、主に刀だが、に纏わせ、霊的且つ物理的攻撃力を高めて敵を撃つ。実際に幽霊や妖怪がいて、それを退治しているのだ。ただし実家はその分家で、俺が現場で悪霊退治した事など三度しか無い。しかも神童と名高い本家の跡取り息子、俺の数少ない親友の一人だ、それに他にも何人もいて簡単に終わったものだ。

まあそれをこの世界では「魔法」と組み合わせて、剣術を強化している。実はジンは遠距離範囲型の攻撃魔法が苦手で、あまり使えない。それを補う為に近距離攻撃力を高めたのだ。この世界では魔法の汎用的な習得は困難で、才能があるジンでもそれは変わらない。

ジンは遠距離は単体攻撃、近距離も単体攻撃か魔法付与しか扱えない。その代わり威力は戦争レベルまで使えるが。

 ジンはとうとう女王バチの前までやってきた。女王は3m位あり、腹が他のハチより数倍は大きい。ちなみに働きバチなどは1m程だ。その巨大な体が今動いた。こいつ、もう毒が抜けているのか!女王は羽を動かしたり顎を鳴らしたりと、体を確かめているようだ。しかし飛んで逃がすわけにはいかない。

『ジン、まだ完全に治っていない内に倒すぞ。こいつを逃がしたらまた巣を造られてしまう。』

「そうだね、これ以上森を荒らさせないよ。」

すると女王は突然襲いかかってきた。こっちは急いで避けるが、そのまま出口に向かわせはしない。

爆炎貫矢・連ファイアピアス・シュート

速度と貫通力に長けた魔法の矢を三つ生み出す。一つでは外れて、撃ち落とせない事もあるので、常に射撃は連続で撃つ様に教えている。羽を狙ったジンの矢は命中し、女王を墜落させた。すぐに突撃をするジン。近くで見るとかなり気持ち悪いが、グロ耐性はジンと狩りに付き合った数年で付いている。無論ジンも平気で攻撃を仕掛ける。女王は墜落しても、羽以外の損傷は無い。硬い表皮と耐久性は働きバチの比で無い。さらに大きく口を開け、こちらを向いた。この動きは毒液か。蟻の蟻酸のように、このオオスズメバチは毒を吐くことで知られている。もちろんまともに被ったら死にかねない。ジンは突撃の勢いを殺さず、口の射線を避けて接近する。

瞬擊強化(モーションブースト)

赤炎焼刃(ブレードフレア)

身体強化を掛け、魔法付与も掛ける。短時間のみの発動とし、自身の負担と瞬間速度の向上を兼ねた攻撃をする。すれ違いざまの一閃、振り向きざまの切り込み、反動と足場を利用しての連撃で瞬く間に女王は足を失くす。体を支えられない、芋虫状態まで弱らせて、止めを放つ。赤い光が首を断って、この洞窟のオオスズメバチの駆除は完了した。


女王も含めたかなりのシードを得て、ジンの位階は上がった。位階とはRPGゲームのレベルとほぼ同じ意味を持つ。ただゲームの様に細かい数値化で管理はされていない。パラメーターがあり、HPやMPがあり、スキルがある。この世界は残念ながらそこまでわかり易くは無い。位階は日本でいう資格に近い。○○何級とか、××二種とかのように、功績や資格試験で与えられる面倒なものではない。冒険者ギルドに登録した際に与えられるアイテムが自動的に測って教えてくれる。ギルド証とも呼ばれる、身分証明も兼ねた魔道具だ。魔道具とは魔法が付与されて、特定の魔法のみを魔力を払って使える様になる道具の総称だ。基本的に生活レベルの魔法は、大抵の属性をこれで誰でも使えるようになっている。さっき洞窟横に穴を空ける土魔法をジンが使えたのもこれらのおかげだ。

ちなみに値段は高価な物に該当する。基本的に魔力のある特別な材料を、長期間の儀式魔法の式を込めながら造るらしい。

 『今のジンの位階は、Cの3か。』


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