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私と心先生と勤務時間

「えっと、次は204号室の田中さんを……」

 勤務時間中は慌ただしい。

 脳をフル稼働し、手足をあくせくと動かし、汗を流し、気がつけば勤務時間が終わっていることが多い。

 正直、看護師は大変だ。

 私にとっては。

 でも、この界隈、バイタリティ&体力オバケがいっぱいいる。

 医者にしろ、看護師にしろ、夜勤明けにディズニー行くとか、3日間の旅行のあとにそのまま夜勤に入るとか。

 そんな人たちが周りにはいっぱいいる。

「私にはそんな、元気、ないな」

 少しだけ足早に、でも、決して慌てている感じは見せずに、私は院内を回り回る。

 ようやく一通りやることが終わって束の間の休息。

「疲れたぁ……」

 私はナースステーションの椅子に腰掛け、大きく息を吐き出した。

「ちーなつ」

 そんな私の耳に届く声。

 ふと、視線を横に向けると、ナースステーション入り口からこちらに手招きをする心先生がいた。

 先生が勤務時間中にここに来るのは珍しい。

 私は重い腰を上げて先生のもとに向かう。

「どうしました? まだ労働しないといけない時間ですよ」

「わかってるよぉ。ただ、さっき見かけた千夏がしんどそうだったから、元気になれるモノをあげようと思って」

 先生は白衣のポケットから何かを取り出し、こちらに渡してくる。

 私は素直に受け取った。

「ビッグカツ?」

 私の手に乗るは、かの有名な駄菓子・ビッグカツ。

「それ食べてると、酒飲んでる気になれて元気になるの! ビールにめっちゃ合うんだよ」

 先生はとても嬉しそうに、さらにポケットから取り出し、袋を開けてさっと一口。

「うまい! ビール欲しー。あー、千夏と早く飲みに行きたいなぁ。ねね、今日はどこ行く?」

 キラキラと煌めく先生の瞳。

 酒のことでここまで楽しそうにできるのは、先生くらいかもしれない。

「ふふっ、先生は元気ですね」

 私は思わず笑ってしまう。

「そう? 勤務時間中だからかな?」

「かもですね。……今日はビッグカツ食べながら飲みたいですし、私の家で飲みますか?」

「いいの!? やった! 千夏、なかなか家入れてくれないから嬉しい!」

 先生は嬉しそうに胸の前で両の手を握る。

 まあ、毎度先生と飲んでる私も大概、酒バイタリティあるか。

 謎の自信を少しだけ深めながら、私は先生との飲みを楽しみに勤務時間を過ごした。

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