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三題噺もどき5

可愛い×可愛い

作者: 狐彪
掲載日:2026/03/13

三題噺もどき―はっぴゃくよんじゅうに。

 




 自転車を押しながら、校門へと向かっていく。

 途中、グローブを持った学生とすれ違う。

 テストが終わったその日から部活再開か……たいして強くもない野球部なのに、大変なことだ。何か大会でもあるんだろうか。運動部はそれなりに大会や練習試合をしているイメージがあるが……こんな中途半端な時期にするんだろうか。

「……、」

 少し冷たい風が吹くが、陽が照っているので少し汗ばむ。

 昼間はどうしても……雨が降ったり曇ったりしない限りは暑さが勝る。

 これでも先週よりは気温が低くなっているらしいが、体感何も変わっていない。夜は寒いと思うけれど。

「……」

 校門を出てすぐのところで立ち止まり、邪魔にならないようによける、一応。

 多分、もうほとんどの学生が帰っているだろうし、それ以外は部活に勤しんでいるだろうから、校門を通る人はあまりいないだろうけど。

「……」

 一端、自転車を止め、スマホを取り出す。

 後ろに背負っているリュックのポケットの中に入れているので、すぐに手に取れる。

 ただこれ、そのうち落ちていやしないだろうかと少々不安になる。

 まぁ、穴が開いたりしない限り落ちることはないだろうけど。

「……」

 時間を確認し、少しだけゲームを開く。

 そんなに時間はかからないだろうけど、ちょっと時間つぶしに。

 とはいえ、放置ゲームなので、特にすることはない。

 ただ何となく開いて、なんとなく眺めているだけ。

「……ん」

 そうして、ほんの少しの暇つぶしをしていると。

 足元に何かが近づいてきた。ただの葉っぱかと思ったが、全くそんなことはなく。

 黒い少し細身の猫だった。

「……」

 この辺りはよく猫がいるらしいが、この猫、人懐こすぎないか。

 小さく口を開き、に、と鳴いている。

 所謂地域猫というモノなのか、野良にしては毛艶がいいような。

「……撫でて良いの」

 スカートが地面に付かないように、太ももに沿わせながら膝を折る。

 そうやってかがんでも逃げないあたり、やはり誰かに飼われているか地域猫だろう。首輪はないようだから、野良かな。どこの子だろうか。

「……」

 スマホをリュックに直しながら、もう片方の手でするりと撫でる。

 さらさらとしているのに、どこかふわふわとしているような、不思議な感触が返ってくる。

 すりすりと体をこすりつけてくるから、うまくなでられない。

 可愛いなぁ、猫。家で飼うことは出来ないが、犬よりは猫派なので、こういうタイミングがあればずっと撫でていたい。

「……」

 可愛い。こういう時って、可愛い以外の感想が出てこないんだけど、どうなんだろう。みんな可愛い以外の感想あるのか。

「……」

「……」

「おまたせ~」

「!!」

 そのふわふわを堪能していると、後ろから声がかかった。

 ちょっと担任に捕まってた~と言いながら、長い黒髪を風にされるがままに、自転車を押してきた。あの子だ。

「あ、猫ちゃん」

「かわいいよ」

 他に人が来ても逃げないのかこの猫。

 ホントに人なれしている上に、人懐っこいんだな。

 私と同じように自転車を止め直し、横にしゃがみ込むあの子。

「え~かわいいねぇ」

「ね」

 そういいながら、さらさらと猫の体を撫でている。

 ニコニコと楽しそうに。

 猫もまんざらでもないようにするすると移動したり、身体をこすりつけたり。

 小さな声で、鳴いて見せたり。

「よしよし、いい子だねぇ」

「……」

 可愛いと可愛いは、最高に可愛いんだなと思う。

 好きなものと好きなものはいくら掛け合わせても、倍にしかならないんだなと。

 今この時をカメラに収めたいと思いつつ、目に焼き付けておこうと。

「可愛いねぇ」

「……」

 かわい。










 お題:猫・グローブ・ゲーム

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