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海の龍の御伽話
かつてこの地域には龍がいた。
そして、龍は剣士によって倒され、剣士によって喰われたのだそうだ。
話は変わりーーー昔、近所に少年がいた。
その少年は、「あなたの足は海のもの。分け与えるのよ。」と親に教えられていた。
成長し、男の子は親とともに海へ降りた。
その後しばらくは、海は荒れなかった。
しかししばらくして、また海は荒れ狂い、漁師たちは連れ去られる。
海からは、こんな声が聞こえるのだそうだ。
「あの者の肉は、龍の肉ではない。龍の肉を返せ……龍の肉を返せ……」