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二話 優しい男と偉そうな男

声が通った瞬間、野次馬たちがその場に跪いた。

あんなに俺に不思議そうな目を向けていた全員が、軽く地面を見つめながら、次の言葉を待っている。

その光景に唖然としていると、声の主が少し微笑みながら続けた。


「いつも言ってるけど、そんな大げさにしなくてもいいよ。それで、どうしたのかな?」

「ジニア。早く行かねばならないだろう。何でもかんでも首を突っ込むな。」


後ろからまた別の誰かが出てきた。

どうやら先程の優しい声の主はジニアという名前らしい。

少し長めの青い髪を一つにまとめ、着物と羽織を身にまとった、見るからに優しそうな男だ。

周りの態度からそれなりに高い地位の人間なんだろうと思いながら、もう1人の方を見る。

もう1人は、偉そうな堅苦しい顔をした男で、白いウルフの髪が印象的だ。

こちらは全体的にダボっとした和風の服を着ていて、それなりに格好が良い。


「まあまあ、いいでしょ?それに、困っているようだし。」

「はぁ…。」

「それで、どうしてみんなここに集まって…。」


白髪をなだめ、もう一度周りの野次馬たちに問いかけようとしていた。

しかし、その問いかけは、俺を見た瞬間途切れた。


「…君は、何処から来たのかな?あまり見ない顔だし、それに、もしかして人間?」

「そうだけど、その言い方は…。」

「無礼者!!ジニア様に向かって慣れた口を聞くなど…!!」


口を開いた瞬間、野次馬から罵声が飛んできた。

なんなんだよ!

こっちは何もわからない迷子だぞ!

と、頭の中でさらっと迷子を認めていると、少しばかり黙っていた白髪(はくはつ)が話し出した。


「うるさいぞお前も。…面倒なことになってきたな。ジニア。これは連れて行った方が早いだろう。第一、放っておくと大問題になりかねない。」

「そうだね。どっちにしろそうするしかないだろうけど…。」

「ということだ。今この場にいる者は早く戻れ。」


白髪がそういうと、野次馬たちはさっと何処かへ行ってしまった。

残された俺は、ただ2人を見つめてばかりいた。


「じゃあ、君。立てるかな?」

「立てるけど…結局、ここは何処で、お前らは誰なんだよ。」


先程から答えを知ることができていない質問を2人に聞いてみる。

俺の言葉を聞いた2人は、少し驚いたような顔をした。

そして、ジニアとかいう男が、あまりにも予想外な答えを言った。


「__ここは神や精霊が住まう、異界”ベルギア”。僕らは、ここを統治するちょっと偉い神様…かな。」


…………………………。

今の答えから、俺の置かれた状況を導き出すとすれば、答えは一つ。


「異世界転生…?」


いや夢であれ。

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