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白昼夢  作者: ダリー
待合室
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夢のチケット

空港の待合室

一人、膝の上にのせた大きなボストンバックに顔を埋めて突っ伏す私。

私のキャラ的にありえないくらいの悲壮感だったと思う。いきなりの後悔。しか見えない背中の丸まり方。

横には心配そうな空港の職員さん。

他には誰もいない。

お面と謎なお腹壊しそうなジュースの旅館の売店みたいな無人の売店があるだけ。

私は、もう7時間、この姿勢のまま、ここにいる。


ここはパプアニューギニアのポートモレスビー空港。


29才の私は、色々嫌になっちゃって、日本から離れてオーストラリアに行こうとしていた。

やけくそ気味にとった破格値チケットは最悪だっ

た。

パプアニューギニアの待合室で8時間缶詰めチケット。

ラスカルとかいうキュートなお名前の強盗団がいるらしく。

しかも、ラスカルはかなり凶暴らしく空港の外には行かないほうがいいらしく。

そんだけ言われて女一人で出るわけがない。

で、一人しか買わなかった夢のポートモレスビー空港缶詰チケットとなってしまった。



通常運転の私なら空港職員さんと話まくってたと思う。

一回開けてそうな水だって

正露丸は最強!

と言って飲んでいたかもしれない。

もしくは、私から奪った緑茶を飲む職員に声を掛けて1本返せないか、もう一回交渉したと思う。


本当に誰も来ない。

誰も待たない。


2回くらい飛行機の乗り継ぎがあった、団体さんが横を通過していった。

親切な人が寝てて気付いてないと思ったのか、

飛行機きてるよ。

と教えてくれた。

あと5時間待つと言ったら絶句していた。


パプアニューギニアの人は優しかった。

落ち込み感を感じたのか、一人ずつ交代で何もいわずに横に座っていてくれた。

優しくしてくれて、ありがとう。

でも、お茶返せ。

と思いながら体力限界の私は寝てごまかしていた。


すると、トントントン!

起きろ!起きろ!という感じで肩を叩かれる。

時間には、まだなっていない。

飛行機に乗るよ!と言われた。

大分早いですけど??と急かされるようにロビーから出た廊下でチケットを見ようと立ち止まっていた。

奥から何人かの人をしたがえた、金髪の女の人がきた。

目があった。

吸い込まれてしまうような、きれいなきれいな目。

グレーでグリーンみたいなのがキラキラ吸い込まれるみたいな。

見とれてしまった私にニッコリ笑って通り過ぎた。

一人おじさんがいたから、今の人○○○○○ですよね?

と聞いてみたところ。

そうだよ?なんで聞くの?という感じで居なくなってしまった。

飛行機は小さな小型機で

乗ると大きな明らかにサイズが違う、革の椅子が数席。

そこに親しげな人と隣合わせに座り、周りに関係者がランダムに座っていた。


私はカーテンの奥

一番奥の普通の席だった。

誰もいなかった。

時々、グループの人が来て座ったりはしていた。

乗ってすぐに、食事がでた。

あれ?と思った。

この飛行機は小さいからか、レストランみたいな格好をしたボーイさんがきてワインを飲めるか聞かれ美味しいワインとチーズが出された。


無事シドニーに着いた。


これは夢だったのか、

はたまた、脱水症状の末か

売っていた仮面の魔術か

ノイローゼによるハッピーな幻覚だったのか

誰にもわからない。

不思議な夢のチケットだった。

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