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白昼夢  作者: ダリー
デビュー戦
30/54

高校デビュー

高校に入った。

BL女子が海外に行くまで、BL女子が見つけてきたラーメン屋さんで一緒にバイトをする事になった。

オーナーの奥さんにキャラが似てるという理由だけで、かなり、優しくしてもらえた。

奥さん大好きオーナー。

もはや、バイトというよりは、全部のせのラーメンを無料で食べに行っている感じだった。

でも、私は、ニンニク臭がキツくてBL女子を残して早々にバイトをやめた。

一方で、BL女子のお相手は2次元だから匂いが関係ないのか、チャーハンにニンニクをのせて食べるという荒技まで生み出していた。


BL(ビーエル)

ボーイズラブの略。

男性同士の恋愛を描いた耽美な漫画の総称。


バイト最終日に初めてのバイト代をもらった。

帰り道にジェームス・ディーンのポストカードが売っていた。結構カッコよかった。

おじさんが誕生日だったから、なんとなく買って帰った。

ジェームス・ディーンの映画がやる日は好きなTVが見られない。もしくは、語られる。

それくらい、おじさんはジェームス・ディーンが好きだった。


たまたま、初めてのバイト代の使い道だった。

誕生日おめでとう!

と適当におじさんに紙の袋に入ったポストカードを渡した。

ジェームス・ディーンを見たおじさんは後ろをむいた。

メガネを上にあげながら、しきりに目をこすり拭く。

泣いていた。

それに気がついた母が爆笑していた。

泣きながら笑うおじさん。

私もなんで?と爆笑。


すると母は

「初めてのバイト代だからだよ」

と言った。


おじさんは、何も言わないでも、そういう事に気がつく人だった。

母とおじさんは、そういうところが良く似ていた。


もうちょっと、ラッピングすればよかったな。


※ジェームス・ディーン

1955年主演作デビューしてから、わずか半年で24歳という若さで亡くなった伝説の俳優。生き様や演技力で当時の若者に影響を与えた。主演作は3作品。


高校では友達がすぐできた。

越境して他学区まできた子だった。

家も割と近くて、電車の乗り換える駅が一緒だった。

一見、日本人形のようで、当時人気のバンドのボーカルに似ていた。

清楚で大人しい感じの彼女には、地元のワイルドなお友達も多くて悪い事を沢山知っていた。

なかなかの遊び人だった。

私のやった少し悪い事は全て彼女から教わったと言っても過言ではないくらい。

なのに、周りや先生は私が彼女を連れ回していると勘違いをしていた。

そして、天然と言われていた私がやると、

「またダリーさん?!もうしょうがないわね!」

とそんなに悪い事はしていないのもあるけど、諦め気味にわりとお咎めなしだったりした。

今思えば、清楚な彼女は、そこに目をつけていたのかも。一回も私です。と言ってくれる事はなかったし基本ダンマリだった。

気付くの遅い。

本当に頭のよくまわる賢い子だった。


清楚な彼女は学校終わりに真っ直ぐ家には帰らない。

基本、街でうろつく。

私はオタク気味で、直帰して家でのんびり漫画を読むほうが好きだったけど、彼女なりの優しさで街に連れだしてくれた。

当時はおかしい世の中で、一年中、ルーズソックスにセーターと短いスカートの女子高校生というだけで街にいる知らない人が簡単に奢ってくれた。

そんな事を知らない私は、まず、高校生が居酒屋に入れる事に衝撃を受けたし、知らない間に知らない人と飲む事になったのも訳がわからなかった。

カラオケも、気が付いたら知らない人がいて奢ってもらうことが多かった。

他の子といる時にはあまりない感じだったから、

多分、清楚な彼女の魅力だったのだと思う。


一方でオタクの私は奢られ慣れなど全くしておらず。

お会計の時に、おばちゃんのように、お金を渡す返される、渡す返されるの動作を繰り返し、相手を困惑させた。

皆も割り勘になっちゃうからやめろ。

とスマートで清楚な彼女に小声で止められる。

私は、刷り込みなのか、奢られる事が凄く苦手だった。

今も、あまり得意じゃない。オタクの悲しい宿命。

そして、このリアリティのない刷り込みが今後も私を苦しめる。


二日酔いの朝、遅刻した日に乗り換えの駅で偶然会って、そのまま学校に行かず、マックに行って軽く朝マックを食べてから、残りのポテトを持って仲良く登校して先生に怒られたりしていた。

ちなみに担任の先生は、ちゃんとバレないように別の袋にいれなさい!と怒っていた。

そんな感じで、清楚な彼女に世の中を教えてもらっていた。


また、友達が増えた。

フランスからの転校生がドイツ出身の子を紹介してくれた。

公立高校に進学した私。

私立に比べると帰国子女が少なく見た目にもわからない中、なんでドイツ?を連れてきた?!フランク王国か!?と笑った。


※昔フランスとドイツがフランク王国という同じ国だった時期があった。


この子が中々の強者で、のちに猛獣使いと呼ばれるくらい、人あしらいが上手くコミュニケーションの達人だった。

あっという間に、私を含めた学校内の選りすぐりの珍獣を集めてしまった。

しかも私なんか可愛いほうだった。

珍獣界では実は一番常識的と言われていた。


清楚な彼女と猛獣使いと私でいる事が多くなった。

猛獣使いはとにかく恋愛体質だった。

当時はコンパが流行っていた。

私達も、友達の中学校の友達の紹介というコンパにやたら行った。

猛獣使いは、わりとイキの合うグループが見つかると毎回、彼氏や彼氏寸前ができて忙しそうだった。

彼女の闇を知っている私は傍観していた。

一方で私は、とにかく恋愛的雰囲気にはならなかった。

負け惜しみではないと思うのだけど、多分。

知らない人と遊ぶのは好きだけど、

恋愛で1:1で!と言うと、なんか、正直苦手だった。

女同士で話すときは、嘘をついて合わせていたけれど、じつは家族に男がいないのもあってか意識し過ぎていたのか。

ありがたい事なのに。

私に向けて恋愛感出してくる男の子が生理的に苦手だった。

だから、たいていグループに一人はいる、お目当てのターゲットがいなかったであろう遊び人に相手をしてもらっていた。

単純に好かれたい要素がない会話ができるし、女脳だからモテるのか女っぽいところがあり凄い気楽だった。

もちろん、恋愛に発展する事はない。


ある日、新しく友達ができた。

学校で、違う棟にいた彼女にいきなり話かけられたのだ。

私は彼女を知っていた。

清楚な彼女が似ているボーカルのバントを好きな女の子だった。

彼女の彼氏は学校内にいた。

授業中に膝の上にのるくらい仲がよいらしい

と別棟にいる、うとい私に噂が流れてくるくらい仲が良いカップルとして有名だった。


バンドの彼女はしばしば、教室まで遊びにくるようになった。

ある日、バンドの彼女とクラスで話していると清楚な彼女が画家になりたい女の子を連れてきた。

「ダリーを描いた絵が学校の冊子の表紙になる事になって。

ダリーに聞かないで勝手に描いてしまっていたから、

と心配してるけどいいよね?」

と清楚な彼女に聞かれた。

絵が好きな私は逆にありがとう!とウキウキした。

バンドの彼女も凄いね!と

清楚な彼女とバンドの彼女もバンドの話で、盛り上がり仲良くなり、その日は終わった。

後日バンドの彼女と2人で、どれどれと見ると。


高校生が描いたと思えない素晴らしいタッチで描かれた、


机に突っ伏し、口半開きで健やかに授業中に居眠りする女子の図。


凄い上手だよね。

ダリーは、いつも寝てるイメージ私もあったよ。

私すごい寝るんだよね。15時間寝たりできるよ。

むしろ、足りないくらいでさ。

将来有名な画家になるね。

しかし、なんで、学校の冊子に授業中の居眠りを持ってきたのか謎だね。

絵がうまかったから、そこは見ない事にしたのかな?


と二人でたんたんと話した。

その数日後に。

修羅場がやってくる。


清楚な彼女と二人で帰っているとバンドの彼女が彼氏といたから離れた所から「ばいばい!」と手を振った。

これがまずかった。


3年生になった。

コンパの相手が同級生の友達から、○○高校、△△高校と結構有名な高校名に進化していた。


クラス替え。

バンドの彼女の彼氏と清楚な彼女が同じクラス。

私はフランスからの転校生と。

珍獣達は猛獣使いと。

バンドの彼女は別棟。


やたら、バンドの彼女が来るようになる。

私は猛獣使いとばかり一緒にいるようになっていた。

清楚な彼女はあまり遊ばなくなって昼だけ一緒だった。


ある日フランスからの転校生が教えてくれた。

清楚な彼女とバンドの彼氏が浮気して取ったらしいよ。


ああ、あの時かっ!

すぐわかった。

帰りにバイバイした日。

彼氏の目線が変だった。


清楚な彼女に聞いてみた。

当たりだった。

私が、声をかけたあの時、バンドが好きな彼氏は、ボーカルに似た清楚な彼女に一目惚れ。

クラスが同じになり彼氏から猛アタックがあったそうな。


二人とも一回終わりにしてから、アタックして欲しい。

とバンドの彼女に申し訳なく思った。


同じクラスのバンドの彼氏の親友が声をかけてきた。


「あの絵さ!マサルだよね!?

すっごい似てるから、すぐわかったわ!」

「凄いよね!」

あれ私マサルだっけ?

彼は気にせず、私をマサルと呼び続けた。

私はマサルということで、話がドンドン進行していった。


そして彼が去った後、

「私マサル?」

友達に聞いた。

「ああ!ダリー、バックに

すごいよ!!マサルさん描いてるから!」


※「セクシーコマンドー外伝

すごいよ‼︎マサルさん」

少年ジャンプという雑誌に連載されていたギャグ漫画。


私は、その日からマサルになった。

そして、理由を聞かれるたびに、すごいよ‼︎マサルさんを説明した。


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