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白昼夢  作者: ダリー
また本を開く
19/54

月が浮かぶ沼

今日は沼にまんまるの月がユラユラと浮かんでいた。

明るいしキレイだなと眺めていた。


何かが起こっている事を敏感に感じとった村の人が沼に来るようになってしまった。

皆、外側のほんの一部しか知らない様子だった。

1000ピースパズルで言う1ピースだけを持っているような感じ。

偉い人には興味があるから知りたいだけで聞くわけにはいかないと思ったのだろう。


どこから聞きつけたのか、

何かを知っていそうな私に探りをいれに来る人が増えた。

沼は揺れ、月が見えにくくなってしまった。

しまいには、石まで拾い損ねる。

私は何も分からないから分からないと正直に答えた。

むしろ、このピースは何なんだ?と質問を返して教えてもらう事が多かった。

皆、私が何も知らないと分かると、聞く前とは全く違う人のようになってから帰って行った。

その度に私という人間の価値を採点されたような気になった。

その穴を埋めるように、また、もくもくと石を拾い続けた。

石を拾わせてもらったというほうが正しい。

私よりもずっとずっと価値のある、ここにあるべきではない石達に拾うという行為をさせてもらった。


ある日、沼の持ち主に呼び出される。

沼から出ていくように言われる。


驚いた。


もう何年も沼にいる私は、新しくできた村の規則により沼にいる事を保証される事になっていたのだ。


保証される事自体に、対して魅力は感じていなかった。

でも、今までこの沼に来る人達と関わる事にどこか遠慮していた私。

保証されたら少し距離が近くなるのかな?もう少し一緒にいてもいいのかな?と感じていた。

さらに石を拾い続ける事ができる。

と期待はしていた。


理由を聞くと、

馬鹿にしているのかな?

これで納得する人がいるのかな?

と思ってしまうような釈然としない理由だった。

そのまま自分の意向と疑問を伝えた。


私が沼にいられなくなるかもしれない事をその人に相談した。

その人は、私が沼に正式にいなかった事を指摘した。そして後はいつも通り私を色々な所に連れて行った。


ある日また沼の持ち主に呼び出された。

キレイなお店だった。

何故だか持ち主の頭が上がらない有力者の人とその連れの者がいた。

完全に3対1だった。持ち主は私に困らせられていると有力者にすり寄った。

圧力をかけてきたとすぐに分かったが私は、無視してあえていつも通りに振る舞った。

ただ意向と疑問を伝え続けたが、不思議な事に

私が言う答えは相手が決めている様子で、

一方的で話合いには、ならなかった。

望む答えを言うのを待っている。

はなから、私の意向や話なんか聞くつもりはない。と確信した。


以前と変わらず、その人は私を遠くに連れ出し、気分転換をさせてくれた。

でも、私は少し疲れていたのか、どこか遠くに行くと体調が悪くなり座り込む事が多くなった。

前ほど遠くには頻繁に行けなくなってしまったけれど、近場に連れて行ってくれた。

その人は元気だから、本当は色々行きたいだろうな。

優しい人だなと思った。


また、呼びだされた。

私は母を連れて行った。頼み込んで来てもらった。

村の規則に詳しくそういう仕事をしていたのを知っていたから。

行くと、またあの3人であろうことかビールを飲んで盛り上がっていた。


その様子を目のあたりにした母は驚いた顔をした。

本来の話し合い以前の部分をまず話した。

すると、いきなり人を連れてくるのは卑怯だといいだした。

自分達はどうなのかと聞くと口ごもりお開きになった。


納得がいかないまま次の話し合いを待っていた。

ある日、一人で沼の管理は大変だろうからと髪の毛をキレイにまき沼にあわないヒールをはいた人を連れてきた。

そして、沼での事を全て教えるように指示された。


その人は、教えようとすると泥が汚い!と全く聞いてくれず。

かわりに毎日チクチクと私を針で刺した。


話し合いの日、私は沼の持ち主に必死で説明をしたが理解されることはなかった。

かわりに、沼で悪さをしている。何か得体のしれない薬草を食べている。沼にいるのをいいことに偉そうにしている。と言う噂があるぞと言ってきた。

驚いた私は、さらに必死に否定をした。

すると沼の持ち主は言った。

「そんなに必死になって。図星なのかな?」

とクスクス笑いだした。

あげくに母がいないのをいい事に事実無根な否定する事まで言ってきた。

私は絶句した。


数日後、他の沼にいる人にまで、まとめて退去勧告が出された。


沼には私の噂を聞きつけた優しい人達が一緒に戦うよと声をかけにきてくれた。


私は沼を出ることにした。

私は関係ない人に泥をつけてしまった。



砂時計をかえす


ピンクの蓮の花。

1枚花びらが取れてしまった。

4枚もあともう少しで取れてしまいそう。

私のせいだった。

その時そばにいたその人は、

「おかしいだろ、お前が見ていたのになんでこんな事になったんだ!」

と取れた花びらと花を持つ私にしきりに言った。

その通りだと思った。

取れた花ビラの根本からは白い液が流れていた。

私の手には白い液が、目からは、また何も流れなくなっていった。


空が明るくなってきた。

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