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白昼夢  作者: ダリー
本をおく
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やたらと丸い掲示物

今思えばちょっと私は変だった。

保育園時代

念願の日光江戸村に連れて行ってもらった時の事。

やんちゃではあったが、幼児にしては、駄々をコネない割と話せば分かる物分かりが良いタイプだった。

がしかし、そこで売っていたカエルの丸焼きを食べたいと普段はコネないダダをこねる。

絶対に食べたくない母。

カエルが食べたいと泣きだす幼児。

ウンザリする姉。

結局、私が勝ってカエルを食べた。

またある日は、

優しい先生達は子供達をサプライズで喜ばせようとクリスマス会の飾りつけを子供達に見せないように厳重に鍵までかけて行っていた。

めざとい私は、

テレビで見たヘアピンを使って鍵を開ける。

という技を実行に移し見事に部屋に侵入することに成功した。

こっそり中に入ると、脚立や椅子に乗りせっせと飾りつけをする先生達がいた。

ほう!と、それをしばらく眺めていると一人の先生が

「あっ!ダリーちゃんがいる!」

「あっ本当だ!ダリーちゃん!」

ばっと見る先生達。

「誰か捕まえて!」

本能的に中を嬉しそうに逃げ回る私。

「そっち行った!」

「ブロックして!!」

トムアンドジェリーのごとき大騒ぎ。

そして捕まる。

誰?鍵開けたの?開けた?と先生達の中から犯人探しがはじまりだした。

そこで、私は自慢げにヘアピンで開けたと言った。

しかし、おどろいてもらえず。

今度は誰がヘアピンを落としたんだと別件でモメ出してしまった。

開けた事には触れないのかいなと心で思った。

変な子慣れしてたのか、なかなか、面白い先生達だった。

その後、パーティがはじまり、サンタは登場と同時に一人の幼児にヒゲを指さしながら輪ゴム!!と叫ばれたことにより、

早々にヒゲについている輪ゴムの質問ばかりしてくる幼児達からの吊し上げにあう。

終始ヒゲで盛り上がるクリスマス会となった。

ある日は、実験と言ってボトルに汚い水をいれ放置して毎日眺めてはカビの作成をしたり。誰かのお父さんと絶賛不倫中の先生がいるのも知らず、当時不倫ドラマとして爆発的ヒットだった、金曜日の妻達の主題歌を歌いつづけたり。川に行ったら死んだ魚を捕まえて見せたり。プールの着替えの時に、乳もないくせに、恥ずかしいから男の子と一緒には、しかもこんな外では着替えられない。と主張したり。先生達的には、色々キツイ子供だっただろうに。得体の知れない作成物を気持ち悪がりながらも、あたたかく一所懸命に付き合ってくれた。

楽しい幼児期はあっというまだった。


小学生になってから私の生活は変わった。

母が転職をし仕事が1つになり地方出張が多くなったのだ。

生活も時代的に潤いだした。

私と姉は出張先が近ければ田舎の祖母の家に預けられたり、出張先に一緒に連れて行ってもらったりして休みがちだった。沢山のしらない県に行ったり、川でメダカを捕まえて遊んだりとのびのびと、いい経験ができた。

学校では相変わらず問題児。というか典型的な頭悪い子だった。

よく掲示物の画用紙のピンクは美味しい。と言って友達とちぎって食べ比べをしたりしていた。非常食と呼んでいた。さすがに絵の具には手を出さなかった。白いやつに手を出す猛者もいたけど、

さすがにアレには手を出してはいけない。

と本能的に思ったからだ。

無事白いチューブを舐めずに2年生が終わろとしていた学年最期の日、たまたま放課後残っていた私は先生の机とロッカーのお掃除を手伝った。

先生はお礼といって沢山の画用紙とついでに古いテストをくれた。

図工の先生の次に気の合う変わってるけど優しい先生だった。

そして、あろうことか私は新学年に入るまえにお友達を商売相手に売りさばいた。

値段は皆が名札に入れていた公衆電話用の10円にした。

めちゃくちゃ売れた。

売れたお金で趣味で集めていた千代紙を買いに行った。

古い新学年のテストは誰も欲しがらず、しょうがないから自分でやった。

ちなみに、やったところだけ翌年100点だった。皆も、これを買えば答えが出てるのに。と思った。

そして、稼いだお金は趣味の千代紙購入に当てられた。

3年生になると、学校いちの怖い先生が担任になってしまった。

まだ幼児な低学年なら震え上がるような人だった。

終わった。

同じクラスになった皆は目が確実に死んでいた。

紙を売り捌いたのバレてたか?と少しよぎる。

噂どおり、スパルタ塾のごときヤバさ加減だった。

まず、授業中にあくびをしようものなら、

歯を食いしばれ!

と言われビンタ。口の中でアクビする技を体得するも、だんだんと耳がやられていくのがわかった。

算数はストップウォッチとともに!漢字は意味不明に何回もノートが真っ黒になるまで書く。

どうやったらノートを早く疲れないで黒くするのかに頭を使う毎日。

覚えられる訳がない。

その不毛さに気がついた頭の良い仲良しの友達。

一人、また一人と来なくなって行った。

完全にホラー。

そんな中、私の親友は勉強は出来なかったが、いつもお咎めなしだった。

なんなら、先生の頭をはたいたりしていた。

聞いたら、たまたま、その子の親が先生が飲んでクダをまいているところに遭遇したらしく、見事に弱味を握ったらしい。

いいなあと言いながら、心底悪い人ではなさそうなので、なんとか合わせて、やり過ごしていた。


算数では公式的なものが苦手で前に進めない事がしばしばあったために、度々先生をイラつかせた。

林間学校というお泊まりイベントで、よるの体温を測る時に事件が起こる。なぜだか、私が使う体温計が片っ端から壊れていく。

箱に入った体温計は、全滅。

皆首をかしげた。我が家は何故か水銀の体温計を使っていたから、その事を伝えると保健の先生が持ってきてくれて無事に測れた。

なぜか、先生の弱みを握っている子が興奮気味に、私が、雷に打たれた話と山梨かどこかでやった、全国の少年団が集うキャンプでの出来事と、肩に何か入っている事とお尻の肉が一部なくなってくぼんだという、小学生らしいウソくさい話を先生に自慢気に話した。


ある日、先生の先生という人の研究のために謎のテストが行われた。

その後、謎のおじさんが家に来て、表のはじを指差して母を何やら説得していた。

母に聞くと

「この間のテストが一番端っこの少ない方だったんだって。塾に行った方がいいんだってさ。どうする?」

と聞かれた。

「ヤダ」

と答えた。

その後に何故かそのおじいさんと母と3人で焼肉に行った。母は、私に話す隙を与えないくらい、おしゃべりをした。

おじいさんは不服そうだった。

どうやら、そのお爺さんはもと東大生の先生の恩師だったようだ。

それから先生の私への厳しさは増し。

得意の小倉百人一首。

最後まで勝ち抜き私と学級委員含む4人で決勝戦になった。

試合が終わりダリーさんが1番でした。

と学級委員が報告した。

先生は、ちらっと私を見たあと、私はいないみたいに無視して2番の子の名前を呼んだ。

その子が優勝した。

一緒に決勝戦をした何故か優勝した子と残り2人も

えっ?と変な顔をして決勝戦をした4人だけキョトンだった。

そして私も行かなくなった。

20歳をすぎてから先生を囲む会に来ないかとお声がかかった。

面白半分で行くとメンバーは10人くらいのクラスの生き残り達だけだった。

相変わらず、私には冷たい。

先生は最近訴えられたそうだ。

先生は無実を証明する!と意気込み涙していた。

人のいい元学級委員でさえ、何も言えずに、先生の感情の昂りがおさまるのを待った。

その間、涙ぐむものはいなかった。

あえて言うなら、

先生、まだ、あんなやり方してたんだね。

よく今まで訴えられなかったね。

という思いが

全員の脳裏に浮かんだに違いないな。

という手ごたえはあった。


いい勉強になった。


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