僕、もしかして転生しちゃいました⁉︎
プロローグ
「う〜ん、今何時だ?」
ゆっくりと起き上がる。すぐそばには異世界転生ものの漫画がある。そうだ、昨日これを読んでたら寝落ちしたんだ。ゆっくりと、伸びをすると棚に大量には言っている異世界転生ものの漫画が見えた。僕はこういう本を読んでいるうちにいつしか、異世界転生してみたいなぁ、と思ってしまっていた。(ついでに、中二病にもかかってしまったようだ)
「8時30分だよ。大丈夫?友達との約束9時なんでしょ?」
……まったく大丈夫じゃない。僕は急いでご飯を胃の中にかっ込み、お母さんに行ってきますと伝えてから急いで家を出た。自転車に乗り、フルスピードで走る。今日はとても大事な日。僕の小学校の時の女子のクラスメートと久しぶりに再会しようと約束していた日だ。陰キャである俺にとって女子にプライベートで会える機会は一年に一回あるかないかレベルだったから、いけなかったら相当悲しい。
それなのに、なぜこういう日に限って寝坊してしまうのだろうか……。自分の出発に遅れていた自分に腹が立っていたのと、間に合わないかもしれないという思いが今回の事件を起こしてしまった。
僕は左側から飛び出してきた車に気づくのがコンマ数秒遅れてしまった。ドン!という強い衝撃の後、彼の意識は遠のいていった。
第一章俺の名前は?
次に目が覚めた時、彼の目線の先には真っ青な空が広がっていた。どこだろ、ここ?まさか異世界転生しちゃったとか?ま、まさかそんなことないよね?
「大丈夫?」
誰かが顔を覗いてきた。
「はっ!」
「痛っ!」
僕は咄嗟に起き上がったがそのせいで彼女の顔にぶつかってしまった。目の前にいるのは、目を見張るほどの美少女だった。彼女が来ているのは、ちょっとほつれているドレスだった。何でこんな服を着ているんだろう。それに打って変わって、僕はシンプルな白シャツと短パンという格好だった。
「ごめん!」
「いいよ、いいよ。初めましてだね。私は、アデル・アラーナ。君、不思議な格好をしてるんだねー。君の名前は?」
おでこをさすりながら聞いてくる。彼女はアデル・アラーナというらしい。そういえば、俺の名前は?うーん、なんだったっけ?
「早く教えてよ!」
「ごめん、ごめん俺の名前は……ヨーク・イェーガー。よろしく」
……適当に言ってしまったー!
「これからヨークって呼んでいい?」
「い、いいよ。じゃあ、俺もアデルって呼んでいい?」
「全然オッケーだよ。これからよろしく、ヨーク」
「こちらこそ。よろしく、アデル。……そういえばだけど、ここってどこ?」
「ここ?デルト大陸の、牙の丘だよ。」
デルト大陸?牙の丘?聞いたことないな……よーし!分かった!もうこりゃ完全に異世界転生っしょ!うん、そういう事にしよう。でも念の為、異世界転生には付き物とも言える、あいつらの存在について聞く。
「この世界って魔物とかって……」
「いるよ!めっちゃいる!」
よーし、こりゃもう完全な異世界転生だな。よーく、分かった。
「さっそくだけど、この牙の丘ってところを案内してくれないかい?アデル?」
「いいよ!ついて来て!それじゃあ、しゅっぱーつ!」
テテテテッテーン!
こうして、新たな人生を歩み出した彼は、ヨークという名と、アデルという彼が前の人生で一生涯懸けても会うことがないだろうと思えるほどの美少女との交流、という経験を得た。
第二章暴食之王
牙の丘と呼ばれるとても広大な丘を歩いているときにアデルに質問してみる。
「スキルとか……」
「あるよ!色々種類があって、火、水、風、土、光、闇、未来、龍の8つの属性があるよ」
めっちゃ食い気味だなぁ、おい。未来予知のスキルでもあるんじゃないのか、この人。
「へぇー!アデルって何属性のどんなスキル?」
「えっと、私は未来属性の、未来予知!仲良くなればなっている人ほど未来でしようとしている事が見えるんだよ!」
まさかの予想的中してたー!まじかよ、スキルってこんなにわかりやすくていいもんなのか?話すだけで100%分かるよな。
「スキルにも属性って……」
「あるよ!」
「じゃあ、アデル……」
「私のスキルは未来属性だよ」
どんどん俺の話すところが少なくなっていくじゃねぇか。
「ちょ、ちょっ……」
「うん、分かった。ヨークと話すときには未来予知は使わないよ。それでいい?」
「う、うん。それでいいよ」
「話しにくかったみたいだね。ごめん」
「あ、ううん。気にしないで」
「そういえば、話している間に結構進んできたね。ここはどこ?」
「……わかんない!」
「はぁ⁉︎こういう時のための未来予知だろ!何で使わなかったんだよ!」
「こういうのは人がやろうとしていることが読めるだけでそれ以外は読めないの!それに、ヨークが……」
その時、辺り一面を震わすような、ドシン、ドシンという音がした。ゆっくりと後ろを振り向く。
「グォォォォォン‼︎」
振り向くと後ろにでっかい猪がいる。猪の正面にはとても長い牙が生えていて、明らかに敵意を持っている目でこちらを睨みつけてくる。
僕らはゆっくりと後ろに下がる。その際にアデルに聞く。
「この猪の未来読める?」
「う〜ん…無理!」
満面の笑みで返してくる。あ〜あ、こういう時って主人公が最強のスキルを発見するんだよね。俺にもないかな。一回試しておくか(死ぬ前に)!
手を前に出し、即興で思いついた名前を口にする。これが俺の発する最後の言葉かな。最期の言葉くらい中二病出したっていいよな。
ベルゼビュート
「暴 食 之 王!!」
何も起きないはずだった。ここで死ぬはずだった。はずだったのに……。
俺の手の先から、黒い、ネバネバした物が出てきた。そしてそれは僕の掌の先で小さな丸となった後、無数に分裂して、目の前の象に容赦なく飛んでいく。黒い物に当たった直後、猪の牙の一部がごっそりと抉られた。それは常に象の体を貫き続けた。
そして、数秒ののちにそこには猪の巨体はなくなっていた。
僕らは、しばらくボーッとしていた。そして、唐突に呟く。
「「えっ?」」
テテテテッテーン!
ヨークは、暴食之王のスキルを手に入れた!
第三章謎のスキル
ゆ、夢?だよな?嘘だろ?こんなスキルを俺は持っていたのか?
いまだに信じられない。隣にいるアデルはやっとのことで呟く。
「ヨークの属性も見てみようか。そしたら何かと便利だし、さっきのスキルの属性も分かるよ。ヨーク、この図を見て」
「これが属性分布図。属性を判断するために一般的に使われる物だよ。手をのせてみて」
ゆっくりと手をのせる。そうすると、分布図の上に線が引かれた。とても歪な八角形ができた。
「どれどれ、ふーん。闇と、龍がめちゃくちゃ高いね。あと、若干水も高いのね。でも、その代わりに光は殆ど0。ここまで歪になる人はなかなかいないよ」
俺は分布図をじっと見つめた。俺の推測だと、あれは闇属性と水属性を兼ね備えたスキルだろう。
「そういえば、ヨーク。さっきのスキルはどうやって発動したの?」
俺は咄嗟の思いつきで、あの……何だっけ?あ、そうだ、暴食之王を出現させた、ということを話した。
「咄嗟に!すごいなぁ。咄嗟に出したのにすごく強かったよ。この辺りに住んでいる人の中では一番強いかも」
……そんなに強い物なのだろうか?僕が本当に適当に思いついただけのものが。まぁ転生ものではよくあることだけど。いまだに信じ難いんだよなぁー……。
第四章野宿
そのまま、アデルは俺の強さをみる為だけに10kmも離れた街へと、行かないかと言い出した。
「やだね、疲れるし。行って何になるのさ」
「良いじゃん!ね?行こう?」
彼女のキラキラとした眼差し。こういうのに俺は弱い。渋々承諾した。元々の場所すら分からなかったし、10kmも離れていたせいで、結局着いた頃には、真っ赤な太陽が沈みかけていた。
「はぁ〜。疲れた。街を見るのは明日にして今夜はここらの何処かの宿に泊めてもらおう?」
「いいね!ところでアベル、それなら持ってるよね?マネル」
「マネル?」
「……まさか、マネル持ってないの?」
「うん」
「…どうするの!」
「マネルっていうのはこの世界の通貨よ!常識よ!」
「じゃぁ、今日はこの調子で行くと……」
「……野宿だよ」
こうして、俺らはせっかく街に来たのに、野宿をする羽目になったのだった。
「ならアデル、テントはあるってことだよね?」
「もちろんあるに決まってるじゃない。あ……でも」
「どうしたの?」
「一個しかないわ。片方本当に野で寝ることになりそうね。
「なんで?一つのテントでも全然二人とも入れるじゃん?」
「いや…あの…なんていうか…」
「はっきり言ってくれます?」
「いや、男の人と一緒にテントの中に寝るのはちょっとどうかなって、私の中で葛藤してただけ」
「そう?そんなに葛藤するほどでもなくない?」
「ふ〜ん、あなた、どうやら無知のようね。それなら、心配ないか」
「無知とは何だ。無知とは」
「まぁ、いいじゃん。良いほうの無知なんだし」
「良い方って…」
と、いろいろ話している間に、テントが組み上がった。アデルが、魔法を使って火を起こした。俺は相変わらず、ずっと質問攻めをしていた。アデルは答えなかった。
「うるさいなぁ、どんだけ追求してくんの?早く寝て、早く!」
「わかった、わかった。それじゃあおやすみ……ん?」
「スー…スー…」
「もう寝たのか、早いなぁ」
アデルの寝顔をじっと見つめる。
「こういうところがあるけし、まだ会ったばっかりだけどやっぱり可愛いなぁ、アデルは」
アデルはゆっくりと寝返りを打った。
「じゃあ、俺も寝よ。おやすみ、アデル」
ヨークが寝た数分後にアデルはゆっくりと起き上がった。顔はいまだに赤面していた。
第五章 スキル研究
翌朝、アデルより先に起きたヨークは朝食を作ってあげて、アデルをびっくりさせようとしていた。なんせ初日からお世話になったからね。
彼女の冒険用具から鍋を取り出し火をつけた。これは昨日の夜、アデルが使っていた火の魔法だ。
「スープには、出汁が欲しいなぁ。昨日の猪の肉なんかうまそうだからなぁ。ほんと
リリース
返却して欲しいな」
そう言った途端、俺の手からまた昨日の暴食之王が出てきた。そうすると今度は、パッと俺の目の前に昨日の猪が切り刻まれて出てきた。
テテテテッテーン!
ヨークは、リリースのスキルを手に入れた!
「ふぇ?」
気の抜けた声を思わず出してしまった。アデルは……起きてないみたいだ。
「ま、まぁ何はともあれこれで出汁は手に入ったし、料理スタート!」
俺は、小学校6年生で作った味噌汁作りの経験だけを頼りにしてこれを作った。そして他にも野菜炒めを作った経験を活かして、野菜ならぬ野草炒めを作った。(ちゃんと自分で毒味はしてるよ)自分にしては結構の自信作。と、その時。
「ん〜、おはよう、ヨーク。なんか良い匂いがしたから起きてきたもんで……」
「ジャジャーン!今日の朝食は俺が作りました〜!今日のメニューは、昨日の猪で出汁をとったスープに、野草炒め〜!ちゃんと全部毒味はしてるよ!さぁさぁ!食べちゃって!」
「え!本当に!ありがとう!いただきまーす!」
ゆっくりと彼女は食べていく。
「どう、美味しい?」
彼女はこちらを向いた。驚いた。彼女は泣いていた。何かまずいものとか、苦手なものでも入ってたかな?
「どうしたの?大丈……」
「…おいしすぎるよ!」
「え?」
「特に、このスープ!出汁がしっかり染み渡ってて感動するほど美味しい!」
「あれ?俺そんなに工夫してないけどなぁ…」
「何?何かスキル使った?」
涙を拭いながらアデルが聞く。
「…あれか!」
話は数分前に遡る。それはスープ作りを始める前。
「さてと、まずは
ウォーター
水を使って。うそうそ、冗談。ってあれ?」
いつの間にか鍋の中には水がいっぱいに入っていた。
テテテテッテーン!
ヨークは、ウォーターのスキルを手に入れた!
「俺まだ水入れてなかったよね?まぁいっか。さてと、それから……」
(※ここからはしばらくアデル視点です。)
「というわけなんだ」
「ヨークってさ、スキルを咄嗟に発動させるの得意だよね」
「ん?どういう意味?」
「なんかしたら絶対スキルが発動するもん」
「ふーん。まぁいいや。食べて食べて。」
「本当はこれって相当すごいことなんだけどなぁ…。あと、そういえばこの出汁ってどうやってとったの?」
「なんか、返却、って言ったら昨日の猪が出てきた」
「うん、やっぱりなんかしたら絶対スキルが発動してるね」
「やっぱりヨークは優秀だね。こんな人が彼氏だったら一生生活困らなさそう」
「ん?なんか言った?」
「ううん!何も言ってない」
よかったー!ヨークには聞こえてなかった!アデルは心の中でガッツポーズをとった。ああいう呟きはあんまりヨークに聞かれてほしくないなぁ。それに昨日の……あの…あれでちょっと、ヨークの事、好きになっちゃったっていうのかな?…正直、今日のことも本当に嬉しい。
彼女がそんなことを思っているのも知らずに、彼も隣に座り、黙々と食べ始めた。チラッと、ヨークの方を見る。いうほどっていうわけでもないがイケメンだなぁ…。意外と。昨日の言動からは想像できないけど。
気がつくと、二人ともちゃんと完食していた。ヨークとアデルは一緒に片付けをして、街にゆっくりと入っていった。
(※ここからは、再びヨーク視点です)
第六章 自分が倒した猪はこの辺りで最強の魔物!?
ここでアデルに僕は提案した。
「昨日の猪の肉がまだ残ってるんだけど、これ売ったらなんだっけ…マネルか!マネルが手に入れられるんじゃないか?」
「グッドアイデアだね!ヨーク!そうしよう」
ゆっくりと精肉店に行く。
「すみません!これ買い取って欲しいんですけど」
「あいよ!…で、これはなんの肉だ?今まで見たことがないが…」
「ヨークが倒したでかい猪です!」
「……でかい猪……だと?」
「おーい!みんな大変だ!こいつがパイアを討伐したぞー!」
「パイアを討伐したって?おい、それ本当か!」
「パイアといえばここら辺で最強の魔物じゃねぇか!」
え?
「すごいねぇ!」
「ところでおまえさんその猪の牙はとても長かったか?」
「はい。とても長かったです」
え?あいつ如きがこの辺りで最強の魔物なの!?(暴食之王がなかったら死んでた奴がよくそんなこと言えるな……)
「うん…話を聞いているとどうやら本当のようだ。そしてこの肉も相当極上もの、しかもまだ新鮮だな。よし、ならこれを25000マネルでどうだ?」
「な?25000マネルだと!」
「ていうか、なんでそんな出せるんだよ」
「この大陸全体に店舗を展開しており、ここが本店だからな」
「本店なのにこんなボロいの?」
「節約だよ、節約♪」
「まぁ、どうでもいいや」
「スッゲー!そんだけあれば一軒家が楽々買えるよ!」
「じゃ、じゃあそれでいいですよ」
「決まりだな!」
僕らは握手をした。
テテテテッテーン!
ヨークは25000マネル(この世界で一軒家が楽々買えるお金)を手に入れた
僕らは速攻で家を売っている店に行った。そして速攻で安めの家を買った。
中に入ると、広めのリビングがあった。と言っても俺のいた現代風ではなくて、中世の石造りの家らしかった。
一軒家って確か、3500万くらいかかった気がするな。………てことは1マネルは1750円!安いのか高いのかわからねぇ!ん?待てよ。0を一個忘れてる。ってことは17500円!こりゃ高えな。で、今のこの家が20000マネルだったから…残りは5000マネル…。八十七万五千円!!大富豪じゃねぇかよ!
こうして彼は、ヨークという名、美少女アデルとの交流、数々のスキル(あと、マネー!!)を手に入れた!
次のステージに進みますか?
→YES →NO
→YES →NO
ロード中です。少々お待ちください。
To be continued.